24時間を有効に使うには? 「小さな習慣」の連鎖反応で生活を変えよう!
公開日:2018/12/27

ショートスリーパーなのか、早食いなのか。人に与えられた一日の時間は等しく24時間のはずだが、これもあれもこなす多忙を極める人はそれ以上の時間が与えられているように見えることがある。
時は金なり、という。時を生み出せるなら、万金に値する。なにかにつけて「時間がない」を言い訳にする私たちが、例えば、時間をより効率的に使えたり悪習慣をやめたりできれば、有益な時間が増え、実質“一日に使える時間が増えた”ことになる。
ダイエットをしたいが、甘い物は減らしたくない。ジョギングをする時間はない。巷のダイエット法の一部では、ちょっとした行動を習慣化することが掲げられるが、この習慣化がなかなか難しい。
『やめられなくなる、小さな習慣』(佐々木 正悟/ソーテック社)によると、その訳は、多くの人が習慣について正しい理解を得られていないからだ。
(1)英語の勉強
(2)挨拶や散歩
(3)禁煙・禁酒
本書によれば、例えばこの3つの習慣はそれぞれタイプが違う。
英語の勉強はトレーニングタイプで、スキルアップのために習慣として練習すること。挨拶や散歩は日課タイプで、特別な能力がなくても日々繰り返せること。禁煙・禁酒は禁止タイプで、何らかの悪癖をやめようと意識的に禁止を続けていること。
まず、この3タイプを混同していると、習慣化がうまくいかない。日課タイプは行動そのものに効用があるため、ただ続ければ良いが、トレーニングタイプは技術を習得するなどの目標があって継続するものなので、細かくゴールを区切って数値化することがふさわしい。禁止タイプもトレーニングタイプのように捉えると、うまくいきやすい。
習慣化を成功させるキーワードは「報酬」だ。本書は、どれほど「小さな簡単な行動」であっても、習慣化するためには報酬が必要である、と断言する。一例を示す。著者はLINE依存だった。LINEの報酬は「短期的に自信を回復させてくれるようなコミュニティからのフィードバック」であり、著者にとっては非常に魅力的であったが、一方で寝不足や肩こりなどの苦痛も伴っていた。LINEから離れられれば、この苦痛を取り除けるが、LINEの報酬は甘美だ。そこで、著者は「Forest」というスマホアプリを導入した。このアプリは、起動して「始める」をタップすると「種」が植えられ、他のアプリを開かずに放っておくと芽を出し、葉を生やし、木に成長していく。他のアプリを開くと、木は枯れる。木に育てたいなら、スマホから離れる必要があるわけだ。
著者にとっては、「木が育つ」ことは、LINEの報酬に代わる報酬となり得た。トレーニングタイプでは数値化することで成果や成長という報酬を得ると良く、禁止タイプでは悪癖に代わる報酬を見つけると良い。
本書が強調したいことは、ここからだ。習慣は連鎖反応を起こし、生活を一変させることができる。
習慣は3タイプあると述べたが、この3つすべてを意図的に生活に巻き込むことで、習慣化を強化し、効率性を飛躍的に高められる。例えば、日課タイプの「早起き」で朝の空き時間を手に入れたら、トレーニングタイプの「朝勉強」で資格試験に向けた取り組みをし、これを継続するために禁止タイプの「夜更かし」を課す。生活の様々な習慣が連鎖するように巻き込み、つながりをもたせることで、将来がひらけてくる。
それぞれが小さな習慣でも、連鎖を意識することで大きな成果を挙げ、誰もが24時間を超えて活躍するスーパーマンにようになれる可能性がある。詳細は本書にあたってもらいたい。
文=ルートつつみ