座る時間が世界一長い日本人。医師がすすめる、体に負担をかけない“ゼロポジ座り”って?
公開日:2019/2/22

体の健康を考えるならば、日頃の生活習慣を見つめ直すのも大切です。運動をするというのも一つの方法ですが、忙しくてトレーニングする時間がないなど、何かと言い訳をしてサボりがちに…。もっと簡単な方法はないかと、悩む人たちも多いでしょう。
そんな人たちにおすすめしたいのが、座り方を工夫して健康を手に入れようという書籍『医師が教えるゼロポジ座り 疲れない、太らない、老けない』(中村格子/講談社)。座るという日常的な行動を変えるだけで、体の痛みや疲れなどとおサラバできるかもしれません。
■座り過ぎの日本人。「座り方」も要注意?
整形外科医の著者は、世界各国で「“座り過ぎ”の悪影響」が注目されていると指摘します。なかでも日本人は座る時間が世界一長いという統計があり、一日のうちに「平均7時間」も座っているという結果も出ています。
しかし、座ること自体が必ずしも悪いというわけではなく、考えるべきなのは「いかに体に負担の少ない座り方をするか」ということ。例えば、背中や腰をまっすぐに伸ばして、股関節やひざを90度に曲げるといういわゆる“直角座り”は、体幹が弱い人は長く続けられず、すぐに悪い姿勢に戻ってしまいます。
また、スマートフォンの普及により増えてきたと著者が指摘するのは、椅子にもたれかかって骨盤が後ろに倒れ、頭を前に突き出した座り方。解説によると、そもそも人間の頭はボウリングのボールと同じくらいの「5~6kgほどの重さ」があり、頭が前に1度傾くごとに「首や肩への負担が0.45kgずつ大きくなる」ため、このような姿勢を続けると、肩や首のこりや痛みが生じます。また、骨盤が後ろに倒れ、腹筋も背筋もきちんと使われていないため、腰の骨に過剰に負担がかかり、腰痛やヘルニアなどをもたらす可能性もあります。
■簡単にできる“ゼロポジ座り”がおすすめ
では、体へ負担をかけないためにどのような座り方をするべきなのか。本書でおすすめしているのが“ゼロポジ座り”です。ゼロポジ(=ゼロポジション)というのは、骨格のゆがみがゼロで、体に余計な負荷がかからず、最も楽な状態のこと。

方法は簡単で、まず椅子に座り左右の坐骨に均等に体重をのせて、骨盤をまっすぐに立てます。骨盤のまっすぐな位置が分からない場合には、座った状態で左右の手を腰骨に当てて、お尻にある坐骨を中心にして上体を前後にゆらゆらと動かしてみましょう。坐骨が前にも後ろにもいかず、坐骨の上に垂直に体重がのった状態が、骨盤がまっすぐに立った状態です。
次に胴体と太ももの間の角度が110度になるよう調整します。いったん太ももが床と水平になるような角度にしてから、太ももの付け根の位置よりひざを10センチほど下げるイメージです。
座り方を整えたところで、最後は胸郭も“ゼロポジション”にします。大きく息を吸い込んで、ゼロポジ座りをする前よりも肺に空気がたっぷり入るような感覚を味わえたら、胸郭もゼロポジションになっているということ。
椅子が低い場合には座布団やバスタオルをお尻の下に敷く、高い場合には足元に台を用意するなどで、調整することもできます。
健康はほんの少しの工夫から。職場や自宅で手軽にできる“ゼロポジ座り”を今日からでも、生活に取り入れてみましょう。
文=青山悠