ヒロインがほとんど裸! ジャンル不明の“へんなマンガ”『杉並区立魔法女学園平和維持部』がやばい
公開日:2019/3/21

純愛、ラブコメ、SF、人間ドラマ、ホラー、百合にBL……この世に数多あるマンガのジャンル。自分の好きなジャンルがあれば、それを選んで読むことができる時代です。しかし、なかには読み終わったあとも「おもしろかったけど、これって、どういうジャンルのマンガだったんだろう」と、疑問が拭えないマンガが存在します。『杉並区立魔法女学園平和維持部』(吉富昭仁/太田出版)は、まさにそんな作品。
物語の舞台は、魔法の力が現れた少女だけが入学できる、小中高一貫校・杉並区立魔法女学園。主人公の篠原楓は、高等部から入学した“魔法遅咲き”の女子高生です。同校には姉妹制度があり、楓は入学後すぐに“お姉さま”に会うため「平和維持部」の部室を訪れます。するとそこには、高等部の学生があられもない体勢で、セーラー服美少女の体臭を嗅いでいる、という衝撃的な光景が広がっていました……。と、冒頭数ページを読んだときは、この先いったい何が起こるのか、まったく想像がつきません。
冒頭から体臭を嗅がれていたセーラー服美少女こそが、楓のお姉さま・桐谷摩依。平和維持部の桐谷部長は、0歳8カ月で「物体浮遊」、7歳で「透視」、8歳で「念力」など数々の超能力をマスターしているスーパーエリート中学生。楓が桐谷部長の“年上の妹”に選ばれた理由は楓の能力「プラセンシス」にありました。プラセンシスとは「能力者の能力を増加させる能力を持つ者」を指し、彼女と肌を触れ合わせ “体液”を摂取した能力者は、その力を増幅させることができるというもの。スーパーエリート・桐谷部長の力を増幅するために、学校側が楓を妹に指名したというわけです。
込み入った説明になってしまいましたが、つまり、楓とキスをして唾液を得たり、ハダカで抱き合ったり、イチャイチャすると能力者がパワーアップできるということ。楓の能力が判明すると、平和維持部の部員たちは彼女の能力にあやかろうと、楓のハダカと体液を求めるようになります。当の本人もその状況をイヤがるどころか「みなさんを癒やしてる感じがして 私もなんだか気持ちいいんです」と、頼もしいひと言。それもまた、彼女の能力の一部なのかもしれません。その後、彼女たちが生活する「杉並コロニー」の正体が明かされ、どんどんSFな展開に突入していくのですが、登場人物たちのほとんどがハダカなので、そちらに気をとられてしまいます。女子高生のハダカってすごい。
結果的に楓は全8話のうち4話分をハダカで過ごし、ハダカのまま敵にさらわれ、桐谷部長にハダカのまま助けられる、裸体のヒロインとして活躍(?)します。そのほかの女子高生たちもハダカになるので、とにかく肌色比率が高いうえ、ずっとイチャついてる……。百合好きにとっては夢のような作品であることはたしかです。
が、はたして『杉並区立魔法女学園平和維持部』の魅力がエロにあるのか、それとも読み終わったあとの「ヘンなマンガだったなあ、もう一回読んでみよう」と思わせる、スルメ的なおもしろさにあるのか、判然としません。読んだ者にもわからない、SF(すこし不思議)な作品です。
文=田中ハルカ