しつけが不要って本当なの!? 「すぐに手が出る乱暴な息子が鼻つまみ者に」/『今日からしつけをやめてみた』②

出産・子育て

公開日:2019/8/28

小さい子どもが暴力をふるうわけ

 まだ言語能力が育っていない3才頃までは、自分の思いを暴力で訴えることがあります。言葉と行動が結びつき始めるのは、早くて4才。5才くらいになると友だちから敬遠されるので、暴力では要求が通らないと気づきます。(男の子は小学校4年生頃までかかる子もいますが…)

 おとなしい友だちの親には理解できないでしょうから、非難されたら逃げるしかありませんね。

 ときには言語能力とは無関係に、暴力をふるう子もいます。その多くは、繊細ゆえに心が満たされず、さびしがり屋。人並み以上の愛情をもらえないと満足できません。見た目でわかりにくいので、親はどんどん厳しくなり、子どもはますますさびしくなって、心の叫びにまかせて暴力をふるう、という悪循環です。

 そんなときは、非難や否定をぶつけるのではなく、ギュッと抱きしめましょう。そして、「あのおもちゃを使いたかったね」と気持ちを代弁してあげて。子どもは気持ちを理解してもらえたことに安心し、自分のモヤモヤとした感情の出所にも気づきます。それが思いやりへの第一歩。大人は裁判官ではなく、通訳になるべきです。

 その時期をうまく越えれば魅力的な大人になりますよ。繊細さを秘めながら、思いを臆せず表現できるパワーの持ち主なんですから。

 わが子への体罰や虐待も、最初はしつけなのかもしれません。もし、押さえつけることが快感になっていったら危険信号。お皿を割るなり、子どもを誰かに預けるなりして、頭を冷やしてください。

 子どもは思った通りに育つわけではありません。行き詰まって孤立するのではなく、視点や環境を変えてみましょう。ときには人の手を借りるのも、親として生きる力。迷惑をかけたとして、お互いさまです。

<第3回に続く>

著者プロフィール:
柴田 愛子(しばたあいこ):1948年東京生まれ。保育者。
自らの目ざす幼児教育を求めて、仲間3人と「りんごの木」を創設。 現在、2~5才の110人の子どもが通う。 「子どもと大人との気持ちのいい関係づくり」をテーマに、講演や執筆活動を精力的に行っている。 子どもの目線に立ち、ズバリと本質を突くアドバイスで、子育ての不安を訴えるママたちから絶大な信頼を得ている。

あらい ぴろよ:1984年生まれ。イラストレーター。
営業ウーマン、ショップ店員などさまざまな仕事を経て2011年よりフリーイラストレーターとして活動開始。
ゆるかわ、ポップ系のイラストを得意とする。
一児の母として、さまざまなウェブ媒体に描くイラストマンガが好評。