文章は“見た目”が9割。改行は4つのコツで読みやすくなる!/めんどくさがりなきみのための文章教室⑤
公開日:2020/6/2
めんどくさがりな人ほど、文章の才能がある――。著書累計510万部以上の作家はやみねかおる初の実用書。 だれでも文章が上達する方法を、ぽっちゃり猫が小説形式で楽しく教えます。作文、メール、レポートから小説まで、これ1冊で文章がみるみる上達するはず!

「表現力がある人」がこっそりやっていること
文章は見た目が9割。「最低限の正しい文」を書くだけでも、うまいと思われる

ぼくは、物置から出してきた小さな机を部屋に運び込む。椅子ではなく、床に座って使う机だ。
「ほら、ダナイ! どけ!」
グゴガガガとイビキをかいてるダナイを足でどけ、机を置く。
昼寝を中断されたダナイは、不機嫌そうな声を出す。
「どうしたんだ、健。文机なんか持ってきて」
「ふづくえ?」
「そういう、和室で使うタイプの机を、文机って言うんだ。『ふみづくえ』という音が変化して――」
くどくど説明するダナイを無視し、文机の前に座布団を置く。
――あとは、着物が欲しいな。
おじいちゃんの浴衣を借りて部屋に戻ると、座布団の上でダナイが丸くなっていた。ダナイを座布団から放り出し、机の上に原稿用紙の束を置く。
「さっきから、何をやってるんだ?」
「文豪の気持ちを味わおうと思ってね。ほら、少し文が書けるようになっただろ。だから、ちょっと小説でも書いてみようかなって――」
浴衣に着替えながら、ぼくはダナイに言う。
「ほら、国語の本に出てきそうだろ。写真、撮ってもいいよ」
返ってきたのは、ダナイの大あくびだった。

まぁ、形から入るのはいいことだと思うよ

似あう?

夏祭りではぐれて交番に保護されたところにお母さんが迎えに来て、大喜びしてる子供のようだ

前回、わかりにくい比喩は使わない方がいいって教えてもらったぞ

話を戻すと、作家の格好を真似ることも大事だと思う。――似あう、似あわないのは別として

そうだろ。だから、今回は、この調子で書こうと思うんだ

それは、いい。では、今回は、美しい原稿を書くトレーニングをしよう

それは、困ったな……。ぼく、字が下手なんだ

字の上手下手の問題じゃない。いや、そりゃ上手な方がいいんだけど……。美しい原稿というのは、読みやすい原稿という意味だよ。『です・ます』調の文が、急に『だ・である』調になったら、美しくないだろ

読みやすい文章を書けってこと?

当然、それもある。だが、読みやすい文章で原稿用紙を埋めても、それは、美しい原稿ではない

……?

たとえば、わたしの名前をどう思う?

『ダナイ』……。外国の猫みたいだ。そのわりに、和食が好きだよな

そうじゃなくて、わたしの名前が、もし平仮名だったら?

平仮名でもカタカナでも、どっちでもいいじゃないか

わたしは、カタカナの名前が気に入ってるんだ
もし、ダナイの名前が平仮名だったら――。
『もうダナイはいないんだ』という文は、
『もうだないはいないんだ』になり、読みにくい。

たしかに声に出したら同じだけど平仮名の方は読みにくいね

『もう、だないは、いないんだ』と、読点で区切っても、読みにくい。だから、わたしはカタカナの名前がいいんだ
平仮名が続くと、読みにくい。
逆に、漢字が多くても読みにくい。
綺麗な薔薇の香りを嗅ぐと憂鬱になり鬱憤が溜まる

――この文、漢字ばかりで、読みにくいだろ

読みにくいというより、知らない漢字ばかりで読めないよ

『きれいなバラの香りをかぐと憂鬱(ゆううつ)になり鬱憤(うっぷん)が溜まる』って読むんだよ

『きれい』とか『バラ』は、わざわざ漢字で書かなくてもいいよね
現在、デジタル機器を使って文字を入力する機会が増えている。
手書きでは書けない漢字も、デジタル機器は変換してくれる。
「機械が勝手に変換してくれるから」と、気軽に漢字を多用すると、読みにくい文になる。
平仮名でも意味が伝わる言葉は、無闇に漢字にしない方が読みやすい。

『憂鬱』や『鬱憤』も平仮名で書いてもいいんだけど、意味が伝わりにくくなる。そういうときは、振り仮名を振ればいいんだ

振り仮名があると、知らない漢字も読めるようになってくるね

昔の新聞は、漢字に振り仮名が振ってあったので、自然に読みを覚えたりもしたよ
現在、新聞の振り仮名は増えてきている。新聞を読もう。

あと、改行も大事だね。前に書いた『ちゅるとろ』の文章も、読みやすくなるように改行すると、こんな風になるよ
『ちゅるとろ』は、前商品『ちゅるつな』から赤身部分を取り除き、より旨味を増した新商品。
成分は、厳選されたトロに加え、ほたてのエキスを配合。オリゴ糖や緑茶エキスも加えてあり、猫にとっては、たまらない味になっている。
スティック状の小袋にわけられた量は、約14グラム。なめやすいペースト状になっている。
食べやすいようにと、皿に出してなめるのは、クールではない、あくまでも『ちゅるとろ』は小袋からなめるのがホット!

……いくら改行しても、元の文が読みにくいから、あまり変わらないような気がするよ


あと、平仮名や漢字の使い方には、書いた人の浪漫がある。それは大事にしたいね

『ロマン』じゃなく、『浪漫』なんだ

見た目の美しさを追求すると、文章がうまくなる
文章は、簡単なことで読みやすくなる。
ひらがな? それとも漢字?
読みやすさを意識して、使う文字を決めよう
だないはもういないんだ
ダナイは、もういないんだ

綺麗な薔薇の香りを嗅ぐと憂鬱になり鬱憤が溜まる
きれいなバラの香りをかぐと憂鬱(ゆううつ)になり鬱憤(うっぷん)が溜まる

改行にルールはない
ルールはないけど、こんなときに改行をすると読みやすくなるかもね
①台詞のあとに
②リズムのいいところ
③話題を変えるときに
④1つの段落が長くなってきたら

