毎日“ギリギリ”な自分を助ける方法とは? 中高生向け本なのに刺さりまくる心理エッセイ
公開日:2020/6/7

新しい生活が憂鬱、学校・仕事場へ行きたくない、人間関係がうまくいかない…
ただでさえ春は環境の変化が激しく疲れやすい季節だが、今年は予期せぬ自粛期間もあいまって、ストレスがたまっている人も多いだろう。
そんな人にぜひ手に取ってほしいのが、5月27日に発売された『10代から身につけたい ギリギリな自分を助ける方法』(KADOKAWA)。慈恵医大の精神科医、井上裕紀先生による心理エッセイだ。
友だち、恋愛、家族、自分自身の章に分かれ、30項目ほどの悩みの対処法を紹介している。
目次を読んで、気になる項目から読めるのも本書の魅力のひとつだ。
主に中高生向けだが、大人が読んでも変わらない価値のある内容になっている。




「たいしたことはない」悩みなどない
“ギリギリな自分”や“悩み”と聞くと、自分はその状態なのか? と疑わしく思う人もいるかもしれない。そのときは他人と比べてどうか、ではなく、自分の感じるままの気持ちを大切にしてほしい。
自分の気持ちを考えるとき、常識と照らし合わせたり人とくらべたりする必要はありません。ものごとの感じ方や受け止め方は人それぞれです。(中略)自分がつらいと思うことはつらいし、いやだと思うことはいや。シンプルにそう思っていいんです。(p.12-13)
つらさを感じるときには
①その悩みを「整理する」
②自分を助けてくれる人と「つながる」
③リラクゼーション法や過去の自分の観察で「対処する」
という3つのステップでやわらげていくことを勧めている。そのなかでも特に大切なのは①の「整理する」というステップだという。
実際に本書に掲載されている悩みを紹介していこう。
“友だちから無視される”ときの考え方

このような状況のとき、あなたはどうするだろうか。
人間関係で苦しいことがあると、「私が何か悪いことをしたのでは?」と考えてしまう人もいるかもしれない。しかし、つらいときに「理由さがし」をするのは今すぐストップするべきだと井上先生は語る。
無視される理由を探したくなるのは「自分は無視されるような人間だ」と感じ、自分でそれを仕方がないことだと感じてしまっているときに多いように思うのです。(中略)でも、ここで思い出してください。悩みごとを整理するときに重要なのは、「無視された」というできごとのために、あなたが「涙が出てくる」ほどつらい、ということだったはず。相手がどうしてそんなことをするのか? なんて想像をする必要はありません。(p37-38)
そしてそんなときは、「自分を無視しない人」に目を向けてみることを勧めている。通話アプリの友だちリストをチェックしたりして、久しぶりに連絡をとってみるのもいいかもしれない。自分をきちんと認めてくれる相手とかかわる時間を増やすことで、「自分は、無視されてよい存在ではない」と思い出させてくれるのだ。
だれもが「強さ」も「弱さ」ももっている
他の人がそつなくこなすことに躓いたり、毎日不安に襲われていたり、人知れず悲しい思いを抱えていたり…そんな人が「弱い」と言われることは少なくない。言われた人は自分のせいだと思い詰めて、ギリギリまで頑張ろうとするだろう。
でも、井上先生は次のように言う。
人間に「強い人」も「弱い人」もいません。
だれもが、強さも弱さももっています。自分の力が足りない部分は、だれかに補ってもらえばいい。自分で解決しなければ! なんてがまんしたりがんばりすぎたりしなくていいんです。(p.13)
知らぬ間にたくさん背負っていた心の荷物をおろして、自分の「弱さ」だけではなく「強さ」にも目を向けてみるのもいいかもしれない。