言い返さないと損をする? 抵抗しないと「悪口を言われて当然」と思われてしまう?/マンガ版「言い返す」技術①
公開日:2020/9/23
職場で、プライベートな場で、無神経な一言を浴びせられたらどうすればいい? そんな悩みに応えてくれる1冊から、相手の言葉を受け流すコツ、自分の心を守るテクニックの一部をご紹介! 悪口にはしっかり対処しよう。

「いい人」なのに損をする、 そのワケは?

あなたは他人に悪口を言われたり、皮肉やあてこすり、誹謗中傷を受けたとき、どんな態度をとっているでしょうか。
内心はとても不愉快なのに、相手に食ってかかることもなく、不機嫌な顔も見せずに「いい人」でいようと努力する。しかし、こんなとき何も言い返さない「いい人」を演じると確実に損をしています。
なぜなら、抵抗をしないままでいると、「周りに魅力的に思われなくなってしまう」から。これは、あなたに何の落ち度もない場合でもそうです。
というか、むしろそういった場合には特にそうだと言ったほうがいいでしょう。
このことをご理解いただくために、こんな実験を紹介しましょう。
大学生の被験者たちに、「電気ショックで苦しんでいる人」の映像を見せます。
そして、大学生たちをABCの3つのグループに分け、電気ショックで苦しんでいる人について、それぞれ違った説明をしました。
Aには「この人は、実際に電気ショックを受けておらず、苦しむ演技をしている」と説明。Bには説明ナシ。すなわち不当に電気ショックを受けていると思わせます。Cには「この人は、電気ショックを受ける代わりに30ドルの報酬をもらっている」と説明。すなわち、Aは「演技」、Bは「理由なし」、Cは「お金のため」、と言われるわけです。
そしてその後、大学生たちに、「電気ショックを受けている人は、どれだけ魅力的な人か」を判断してもらいました。すると……。恐るべき結果が出たのです。
Bの「理由なく電気ショックを受けた」とされた人は、一般的な平均値よりも「魅力的でない」と判断されたのです。A「演技」とC「お金のため」の場合は、電気ショックを受けている人間は、一般的な平均値より「魅力的である」と判断されました。
不幸には、理由がある……?
人間は、誰しも「自分だけは安全でいたい、災難から逃れたい」と思う気持ちがあります。それは「マズローの5段階欲求」では、食欲や睡眠欲の次に位置されるほどの基本的な欲求。
それが満たされて初めて、さらに上の、「他の人と一緒にいたい・尊敬されたい」などの欲求を満たそうとするのです。すなわち、安全を求める欲求は、基本中の基本なのです。「電気ショック」などの不幸。これは人間にとっては非常な恐怖になります。実際に目の前で、不当にそのような不幸にさらされている人がいたとしましょう。するとそれを見た人は、こう考えます。
「この人は、能力的に劣っているからこそ、こんな不幸な目に遭っているんだ」
このように、人はその状況に足りる理由を見つけて正当化をすることで、「自分だけは大丈夫だ」と考えてしまうものなのです。
「演技」をしている人や、「お金のために」電気ショックを受けている人は、すでに本人にとっても納得できる理由があるために、そのような解釈をされることはありません。それどころか、先の結果にもあるように、「一般的な人より魅力的」だと判断されています。「演技している」もしくは「お金のために」という本人の積極的な姿勢が、高い評価を受けたのではないかと考えられます。
このことから、他人の悪口に何の対処もしないでいるのは得策とは言えません。
たとえ「いい人」を演じ続けたとしても、それは長所として評価されないのです。
あなたが周囲から不当な扱いを受けることなく、幸せな毎日を送っていくためには、ある程度の抵抗は必要なことだと言えます。