岡田将生「この小説を読んでから、新たな本との出会いを求めて本屋さんに通う時間が増えました」
更新日:2021/1/14

毎月3人の旬な有名人ゲストがこだわりのある一冊を選んで紹介する、雑誌『ダ・ヴィンチ』の巻頭人気連載「あの人と本の話」。今回登場してくれたのは1月22日公開の映画『さんかく窓の外側は夜』で主演を務める岡田将生さん。「いつまででも語り続けたい」と話す大好きな小説の話と、映画の共演者について熱く語っていただきました。
普段はミステリー小説を読むことが多いという岡田将生さん。「話題になっている本はなるべく読むようにしている」という彼が、凪良ゆうの『流浪の月』を手にしたのは偶然だったそうだ。
「本屋さんでたまたま見かけたんです。男女の話を描いた小説はあまり読まないですし、そのときはまだ『流浪の月』が本屋大賞を受賞する前だったんですよね。でも、なぜか妙に惹かれて。読んだあとは、『すごくいいですよ!』っていろんな人に勧めてます(笑)」
その傾倒っぷりはすさまじく、インタビュー中も「この小説について語れるだけで、ものすごく幸せです!」と嬉しそうな表情を見せる。
物語の主人公は最愛の両親と離れることとなり、未来に絶望する9歳の少女・更紗。そんな彼女を救ったのが、一人暮らしの青年・佐伯文だった。導かれるように出会い、一緒に生活を始める二人。が、そんな彼らを悲しい運命が引き裂いてしまう。
「人間不信の更紗は大人になっても一人で生きていたいと思い続ける。でも、どこかで一人でいることに辛さを感じていて。そうした葛藤がものすごく丁寧に描かれているんですよね。それに凪良さんが書く文章には色気があって。だから、センシティブな内容なんですけど、心にすっと物語が入ってくるんです」
また、更紗と文を苦しめるのは家庭の境遇だけではない。幸せに暮らしていたはずの二人の共同生活は誘拐事件として扱われ、その報道は何年経ってもネットなどに残り続けてしまう。それも、真実について何も知らない者たちの勝手な憶測や偏見を伴いながら……。
「物事の一面だけを切り取った話題がひとり歩きして、いつしかそれがすべてになってしまう。僕も、少しだけ見聞きしたことを、さもわかったかのように話してしまうことがありますが、それって本当はものすごく怖いことで。特に今の時代は、一人ひとりがそのことを自覚していかないと、更紗や文みたいな人たちがどんどん生まれてしまう。そうした戒めも感じる物語だなと思いました」
「ただ、内容が内容だけに、きっとこの作品を苦手に感じる人もいると思うんです」と岡田さん。
「でも、僕はそれでいいと思ってます。本って、それぞれ好みがあると思うので。いろんな意見を聞いたり、実際に普段読まないものでも試しに読んでみたりしながら、自分にとって大切な本と出会っていく。本にはそういう楽しさがあると思うんです。僕にとって『流浪の月』はまさにそんな一冊で。この小説を読んでから、ますます読書が好きになりましたし、新たな本と出会うために本屋さんに通う回数がすごく増えました」
そんな岡田さんの主演映画『さんかく窓の外側は夜』が間もなく公開される。累計発行部数130万部を超える人気マンガの映画化。この作品で岡田さんは、除霊師・冷川を好演している。
「感情を内側に秘めた冷川という役は、20代の頃にはあまり出会えなかったキャラクターでした。おさえた演技の中にどれだけいろんな表現を詰め込んでいくかという演技が本当に楽しくて。体の動きや顔の表情だけで見せていくので、場合によっては、観客に伝わらない感情もあると思うんです。でも、細かいところまで監督と一緒に話し合って決めていく。その贅沢な時間が本当に幸せでした」
また、共演者には志尊淳や平手友梨奈など、初めて顔を合わせる面々がそろった。
「志尊くんとはいつか共演したいと思っていました。お芝居も素敵ですし、僕が彼くらいの年齢のときは、あそこまでしっかりしてなかったなと悔しく思ったり(笑)。それに、演技に遊び心がありながら、自分のためじゃなく、まわりのための動き方ができる人で。あらためて、これからの時代を引っ張っていく役者になっていくんだろうなと感じましたね」
一方、平手さんとは「どういう人なのかが未知すぎて、最初はどう接していいのかがわからなかったです」と笑う。
「すごくミステリアスな方。でも、すごく人懐っこいところもある(笑)。そうした彼女の一面が現場で見られたことが嬉しかったです。今回彼女が演じた英莉可は常に緊張感を持ってなければいけなくて。それを繊細に表現していく姿にはさすがだなと感じました。また、この現場では3人のシーンが多く、そうなると僕が最年長になるんですよね(笑)。なので、“しっかりしなきゃ”という気持ちにもなるんですが、それ以上に二人からたくさんのエネルギーをいただけて。それも僕にとって大きな財産になりましたね」
取材・文:倉田モトキ 写真:干川 修
ヘアメイク:中西樹里 スタイリング:大石裕介 衣装協力:・レザージャケット、シャツ、パンツ(すべてPORTER CLASSIC)
映画『さんかく窓の外側は夜』

原作:ヤマシタトモコ(『さんかく窓の外側は夜』リブレ刊) 監督:森ガキ侑大 脚本:相沢友子 出演:岡田将生、志尊 淳、平手友梨奈、滝藤賢一ほか 1月22日(金)より全国ロードショー
●書店で働く三角は幽霊が視える特異体質に悩まされていた。そんな彼の前に除霊師を名乗る冷川が現れる。冷川の誘いを受け、警察からの依頼で連続殺人事件を追う中で、呪いを操る謎の女子高生・非浦英莉可に出会う。一体彼女は何者なのか……?
(c)2021映画「さんかく窓の外側は夜」製作委員会 (c)Tomoko Yamashita/libre
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