忖度ナシのオーディション&高身長コンプレックスの新メンバー追加!? “8分間の総合芸術”青春マーチングバンド漫画がますます熱い!!
公開日:2021/3/6

マーチングバンドの魅力は、爆発的なパワーが感じられる圧巻のパフォーマンスに胸が熱くなるのはもちろんのこと、メンバーたちの汗と涙が入り混じった“努力の跡”や、舞台に立つ彼らを「何としてでも輝かせるぞ!」と、裏で支え続けた人々の熱意が垣間見える瞬間があることも、その一つではないかと思う。一瞬のステージに全てを懸ける“本気”のパフォーマンスは、観客の心を惹きつけて離さないのだ。
山田はまち先生の『みかづきマーチ』(双葉社)は、秋田県を舞台に、マーチングバンドに青春を懸ける高校生たちの姿が、どこか懐かしさを感じる絵で、生き生きと描かれるマンガだ。主人公は、音楽と動く隊列で作られる“8分間の総合芸術”であるマーチングバンドのショーに魅了され、両親の反対を押し切り、東京から叔母が住む秋田の千秋高校へ転校した美月。東京で塾通いを続け、下ばかり向いていた彼女は、夢中になれるものに出会い、色鮮やかに人生を変えていく。
金管楽器の花形であるトランペットを担当し、演奏もマーチングも初心者ながら、全国大会の県予選でもある「秋田マーチングフェスティバル」に参加。焦りと不安で苦しい日々を送りながらも、個性豊かな仲間たちに支えられ、本番に向けて最善を尽くした。思うような成績は残せなかったものの、彼女の一生懸命な姿は、美月の父親や、顧問の先生、部員たち…と、周囲の人の心をどんどん動かしていった。
最新巻の3巻では、東北大会の選考会へ向け、トランペットのソロオーディションが開催される。これまで大会ソロは、年功序列で3年生が担当してきたが、新顧問の「ソロは一番上手なヤツが吹いた方がいい」の一言で、演奏者の姿を隠し、演奏のみを聴いて部員が投票する「忖度ナシのガチ勝負」が行われることに。
参加者は、3年生がソロを吹けるラストチャンスだとわかっていても、生い立ちにより、明日が当たり前に来ないことを誰よりも痛感している、実力はピカイチの2年生のアキラ。幼い頃から、千秋高校のマーチングで、ソロを吹くことを目標にしてきた3年生のパートリーダー・ハナ。また、アキラに感化され、「自分を魅せる勇気」が欲しい! と、初心者の美月もオーディションへの参加を表明し、当日は波乱の展開となる。



あえてオーディションに参加しなかったトランペットの3年生男子の気持ちも含め、ラッパを愛する者たちの激突の行方は、音楽の厳しさと共に仲間の尊さも感じる結末で、胸がいっぱいになった。
さらに、カラーガードパートには、高身長がコンプレックスだと背中を丸める入部希望者・ヒカリが現れる。そんな彼女に、3年生のアイ先輩は、
「マーチングのカラーガードはね 音楽を動きで見せる役目なの 悪目立ちするのが嫌なら… 堂々と目立ちなさいよ!!」
と一喝し、入部の条件にあえて難しい課題を突きつけ、過酷な練習に挑ませる。



華やかさの裏にある血のにじむような努力は目を覆いたくなるほどだが、上達すると喜びにも繋がっていく過程は印象的だった。
本作は、彼らの一体感のあるパワフルな演奏が本当に聴こえてくるかのようなマンガだ。マーチングを通して、友情を育み、プライドを持って堂々とパフォーマンスする仲間や先輩に影響を受け、積極的に行動するようになる美月の姿はとてもまぶしい。部員それぞれの熱いドラマや成長に感動するのはもちろん、彼らと同じように、自分だって、笑われてもけなされても、明るく前向きに、コツコツ頑張ることをあきらめたくない! と奮い立たされる青春マンガである。
文=さゆ