「この仕事をちょっと手伝って」という依頼を上手に断るには? 気弱さんのための話し方のコツ
更新日:2021/4/22

仕事のストレスの何割かは、コミュニケーションによるものだ。嫌な言い方をされればムッとするし、こちらの言い方次第で相手を傷つけてしまうかもしれない。特に、誰かに仕事を振る、目上の人に意見を言う…。そんなシチュエーションのとき、人より少し気弱な性格だと、どう切り出すか悩んでしまう。
本書『気弱さんのための言いにくいモノの言い方』(五百田達成:監修/主婦の友社)は、そんな「気弱さん」のための本である。仕事や人間関係において、往々に発生する「言いにくいこと」。何に気を付ければ、和やかにその場をしのげるか。本書は「断る」「頼む」「意見する」「謝る」「慰める」の全5章。それぞれポイントの解説と、豊富な事例が載っている。早速内容を見てみよう。
ケース1:「この仕事をちょっと手伝って」という依頼を断りたい
まずは、仕事を断るとき。特に自分のほうが後輩である場合や、先輩が大変そうだとなかなか断りにくい。本書では、次のような例文を載せている。
あのー(時計を見る)ごめんなさい。これからちょっとあって(あたふた)


これならうまく断れそうだ。相手が「ちょっと」と頼んできたのだから、自分も「ちょっと」で返すというわけである。緊急事態でなければ、この方法で断るのは有効だろう。多少の演技力が必要だが、カジュアルにかわせる技である。
ケース2:急だとわかっているが、〇日まで仕上げてほしい
今度は反対に、仕事を頼む側になったときの例だ。面倒な仕事を振られたときの気持ちがわかる分、自分から振るときはどうしても気が引ける。気持ちよく頼むにはどうすればいいか。
○○を×日までにお願いできると大変ありがたいのですが、いかがでしょうか?
ポイントは、ストレートに〆切を伝えて頼む点にある。本書によれば「今仕事に余裕ありますか?」と聞いてから振るのはあまりよくないという(筆者もやってました…)。なぜなら、忙しいかどうかは、仕事内容を聞いて相手が判断することだからだ。まずは内容と〆切を伝えて、返答を待ってみよう。
ケース3:酔った友人に「街中でツバを吐くな」と言いたいが言いにくい
最後はちょっと変わったケースを紹介する。街中で友人のマナーが悪かったとき、どうやって注意するか。職場の後輩なら素直に注意できる場面でも、友達だと嫌な奴だと思われないか心配になってしまう。
えっ本気?(やや大げさに驚く)
友達やめるよー(と引く)
真っ向から非難するのではなく、冗談めかしてやんわり伝える。この方法は、友人以外にも応用できるだろう。



その他にも「興味のない話を熱く語る人に興味がないと伝えたい」「社内プレゼンで上司の説明が間違っている」場合など、「あるある」な日常のシーンでの例文がたくさん載っている。本書によれば、気弱であることは相手の気持ちを感じ取れること。言った後のことを想像してしまうから、言いにくいと感じるのだろう。その能力は、実は丁寧な仕事に向いているという。本書でコミュニケーションのコツをつかみ、よりその想像力を生かせるようになってほしい。
文=中川凌
(@ryo_nakagawa_7)