そろそろ雨が降りそう… 雨の日に嗅ぐ“あのにおい”には名前があった!?/空のふしぎがすべてわかる! すごすぎる天気の図鑑
公開日:2021/8/7
夏でも上空では雪が降っている、虹は半円形ではない、雨のにおいには名前がある…空には不思議でおもしろいことがいっぱい!
雲、雨、雪、虹、台風、竜巻など、天気や気象にまつわる“おもしろくてためになる知識”を、映画『天気の子』の気象監修者としても有名な荒木健太郎氏に教えてもらいました。やさしい解説で「天気・気象のなぜ?」が一気にわかります。
今回ご紹介するのは「雨のにおい」。雨が降っているときや、そろそろ雨が降りだしそうというときに感じる“あのにおい”。実はちゃんと名前がついてるんですよ。においが発生するメカニズムとあわせて解説します。
※本作品は、荒木健太郎著の書籍『空のふしぎがすべてわかる! すごすぎる天気の図鑑』から一部抜粋・編集しました。

あの〝雨のにおい〞には名前がある
しばらく晴れていて久しぶりに雨が降った日には、特有のにおいがすることがあります。土っぽいような、懐かしいような、落ち着くような……。あのにおいには、じつは名前がついているのです。
その名もペトリコール。長い間雨が降らない日が続いたあとの雨で、地面から上がってくるにおいを指す言葉で、ギリシャ語で「石のエッセンス」という意味です。ペトリコールが発生するのは、植物からできた油が乾燥した地面の土や石の表面にくっつき、雨が降ることによって空気中に出ることが原因と考えられています。このほかに、ゲオスミンという土のなかの細菌がつくる物質や、雷によって発生するオゾンも雨のにおいの原因のひとつと考えられています。ちなみに「オゾン」という名前の由来は、ギリシャ語で「くさい」という言葉だそうです……。
雨が降る直前にもこのにおいがすることがあるのは、近くで雨が降ってできたペトリコールが風に流されているからなのです。

豆知識
「都会の人は田舎の人よりも雨のにおいを感じにくい」といわれているようです。これは、都会では地表面が土になっている部分が少なく、ペトリコールやゲオスミンが発生しにくい状況のためと考えられます。