BOOK OF THE YEAR 2021投票スタート!2020年エッセイ・ノンフィクション部門を振り返る――三浦春馬さんの探訪記が大差をつけてトップに!
更新日:2021/9/13

『ダ・ヴィンチ』の年末恒例大特集「BOOK OF THE YEAR」。今年の投票がいよいよスタート! ぜひあなたの「今年、いちばん良かった本」を決めて投票してみてほしい。
ここで改めて、2020年の「エッセイ・ノンフィクション」部門にどんな本がランクインしたのか振り返ってみることにしよう。
1位『日本製』(通常版と+DocumentaryPHOTOBOOK2019-2020合算)三浦春馬
2位『世界はもっと!ほしいモノにあふれてる ~バイヤーが教える極上の旅~』NHK「世界はほしいモノにあふれてる」制作班
3位『できることならスティードで』加藤シゲアキ
4位『女帝小池百合子』石井妙子
5位『聖なるズー』濱野ちひろ
6位『ワイルドサイドをほっつき歩け』ブレイディみかこ
7位『欲が出ました』ヨシタケシンスケ
8位『猫を棄てる父親について語るとき』村上春樹
9位『これでもいいのだ』ジェーン・スー
10位『旅ごはん』小川糸
11位『Blume』稲垣吾郎
12位『老人初心者の覚悟』阿川佐和子
13位『ものは言いよう』ヨシタケシンスケ
14位『カレンの台所』滝沢カレン
15位『LILY’SCLOSET』石田ゆり子
16位『サガレン 樺太/サハリン 境界を旅する』梯久美子
17位『エンド・オブ・ライフ』佐々涼子
18位『倒れるときは前のめりふたたび』有川ひろ
19位『本の読める場所を求めて』阿久津隆
20『あやうく一生懸命生きるところだった』ハ・ワン
遠くへ旅立ったあの人に花を手向けるように、感謝を伝える言葉が多数寄せられた。圧倒的な大差をつけて首位に輝いた『日本製』は、2020年7月この世を去った三浦春馬さんの47都道府県探訪記。約4年かけて全国をめぐり、各地の産業や文化を担う人々に取材した誠実な一冊に、「日本の原点、日本人が忘れていた大切なモノ、心を感じる本」「未来を担う子ども達にも是非読んでほしい」と、賛辞が寄せられた。

続く2位『世界はもっと!ほしいモノにあふれてる ~バイヤーが教える極上の旅~』も、彼の出演番組から生まれた書籍。こちらは日本を飛び出し、トップバイヤーたちが世界から選りすぐった名品の数々を紹介している。
3位『できることならスティードで』は、作家として着実にキャリアを重ねる著者の初エッセイ。1、2位に続いて、こちらも〝旅〞がテーマだ。キューバ、大阪などを訪れたエピソードから脳内をめぐる思索まで、広義の旅がつづられている。コロナ禍で自由に旅行できないためか、ほかにも10位『旅ごはん』15位『サガレン』など旅にまつわる本がランクインした。


緻密な取材を重ねたノンフィクションが支持されたのも、2020年の特徴だ。4位の『女帝 小池百合子』は、100人以上の証言から都知事の実像を浮き彫りに。5位『聖なるズー』では、動物性愛者との対話を通して、愛やセックスのあり方を問い直している。16位『エンド・オブ・ライフ』の著者は、終末期の在宅医療現場を7年にわたって取材。最期を迎える人々の姿を、ありのままに活写した。
6位『ワイルドサイドをほっつき歩け』はイギリスの中高年の日常を描いたエッセイ。中年を勇気づける9位『これでもいいのだ』や、前期高齢者の仲間入りを果たした著者による11位『老人初心者の覚悟』のような中高年に寄り添うエッセイ集も人気を集めた。19位の韓国のベストセラー『あやうく一生懸命生きるところだった』も、心が楽になる生き方を教えてくれる指南書だ。
著名作家のエッセイも票を集め、ヨシタケシンスケ『欲が出ました』『ものは言いよう』の2冊がランクイン。芸能人の素顔が垣間見える本も、根強い人気だ。中でも異彩を放つのは、滝沢カレンのレシピ本『カレンの台所』。「サバ味噌御殿にキリンの睫毛くらい刻んだ生姜を招待しましょう」など独特の表現が楽しく、料理という日常的な家事を心躍るイベントに変えてみせた。
文=野本由起
※この記事は『ダ・ヴィンチ』2020年1月号の転載です。