人は「目」で物を見ていない!? 1000円札を使ったトレーニングで視力アップを
公開日:2021/11/7

夕日がつるべ落としのように地平線に消え、夜が長くなってきた。秋の夜長にゆっくりと読書を楽しみたい人も少なくないだろう。しかし、気になるのが、読書による視力低下だ。
紙の本、デジタル書籍とも、目との距離が近い所で文字を読む。良好な視力を保つことは、読書を永く楽しむこととも直結する。『眼科医だけが知っている 一生視力を失わない50の習慣(SB新書)』(平松類/SBクリエイティブ)によると、デジタル機器の普及で世界的に近視の人が増えているそうだ。近視が恐ろしいのは、白内障、緑内障、網膜剥離、近視性黄斑症にかかるリスクが高まり、失明につながる可能性があること。本書は、科学的に正しい視力回復法を紹介している。今すぐにでも取り入れられる視力回復法を、本書からすこしだけご紹介したい。
本書によると、人は「目」で物を見ているのではなく、「脳」で見ている。目から入ってきた画像がピンぼけしていても、脳の処理機能を高くすれば、画像をくっきりと捉えることができるという。
そこで本書でまず紹介されている方法は、著者がすでに過去の著書で取り上げている「ガボール・アイ」という手法を用いたトレーニング法。



「ガボール・アイ」は、上のような「ガボール・パッチ」と呼ばれる縞模様の図形を眺める方法。この模様は脳の「視覚野」(視覚を司る脳領域)に作用しやすく、脳が画像をより鮮明に処理する能力を高められる、というのだ。トレーニングとしては、「ガボール・パッチ」の中で同じ模様を探し出す。本書は、「ガボール・アイ」の練習問題をレベル1から3まで用意しており、自分に合ったレベルで取り組むことができる。
さて、実は著者の過去の著書を含め、すでに「ガボール・アイ」を取り上げた視力関係の書籍はいくつか出版されている。そこで本書は、「ガボール・パッチ」がなくても生活の中で実践できる手軽なトレーニング法を紹介している。
例えば、透かしがあるお札を使った「1000円札の透かしトレーニング」。1000円札には透かし部分の野口英世の肖像がある。お札を徐々に下に向けていくと、野口英世が見えるか見えないかの状況になる。ここで、しっかりと像を見ようとするトレーニングだ。5000円札、10000円札でも代用できる。他にも、レシートを裏から読み取ろうとするトレーニング、自分が鉛筆や筆などで書いて準備した、かすれ文字を読み取るトレーニングなどがある。いずれも、やり方次第で「ガボール・アイ」トレーニングと同様の効果が得られそうだ。
本書では、この他に、誰でも簡単にでき、科学的根拠に基づく視力アップトレーニングや習慣などが50も紹介されている。著者自身も、本書の内容を実践し、視力回復効果を実感しているとのこと。視力低下を防ぎながら、読書の秋を楽しめそうだ。
文=ルートつつみ
(@root223)