「ひややっこ」って、なんで「冷たい奴」って書くの? 日本のメロンパンを大好きなラトビア人が見つけた「日本の謎」
公開日:2021/12/12

数年前、なにげなくTwitterを見ていた時、ある外国人が日本語で綴ったツイートにくぎづけになった。
彼の名前は、アルトゥル・ガラタ。日本のメロンパンを溺愛し、日本文化への称賛をハイテンションで伝えるアルトゥルさんの投稿には、日本人であるからこそ気づけない「日本の魅力」がユーモラスに記されており、目が離せなくなった。
『アルトゥルと行く! 不思議の国・ジャパン』(アルトゥル:著・原作、ぺぷり:漫画/KADOKAWA)は、そんなアルトゥルさんがこれまで感じてきた日本への愛と驚きをギュッと詰め込んだコミックエッセイ。
本作でアルトゥルさんは全5章にわたり、自身が経験した日本にまつわるびっくりエピソードを紹介している。
日本で出会ったたくさんの“わくわくグルメ”に心奪われて
アルトゥルさんは、ラトビア出身の27歳。小学生の頃、日本のアニメにハマり、日本という国に興味を持つようになったが、なかなか足を運ぶ機会がなく、大学卒業後はラトビアの銀行でエンジニアとして働いていた。
しかし、ある日、ラトビアへ旅行に来ていた日本人の旅行会社経営者shoさんと偶然知り合い、意気投合。日本に招待されたアルトゥルさんはすっかり日本文化の虜に。SNSを通して、外国人の目から見た日本の魅力を発信するようになった。
アルトゥルさんがまず、日本で魅了されたもの。それは日本の食べ物だった。例えば、コンビニのおにぎりで初めてお米を口にした時には、つやつやでほのかに甘いお米のおいしさに感動。機能的に海苔が巻けるように工夫されていることにも驚いた。

居酒屋を初体験した際には、チューハイにどハマリ。色がかわいく、味の種類が豊富なところに心奪われ、日本を離れた後にはチューハイロスに。ウォッカやジンを使って、なんとか再現しようと試みたが、同じような味にはできず、もどかしい思いをした。

そんな経験をしてきたアルトゥルさんは、日本で普通に生卵が食べられていることにも驚愕。実はヨーロッパではサルモネラ菌を心配し、生卵を口にする国はほとんどないのだそう。そのため、初めてすき焼きを食す時、アルトゥルさんは生卵を口に入れることを不安に思った。
しかし、いざ食べてみると、そのおいしさに感動。同時に、安心して生卵が食べられる日本の衛生管理の凄さに心打たれたという。

また、アルトゥルさんはお肉も生で食べたことがなかったが、勇気を出して食べた馬刺しがおいしすぎて大好物に。帰国後には夜な夜なお取り寄せを検索する日々を送った。

そんなアルトゥルさん、現在はコロナ禍の影響で日本に来ることが難しいため、大好きなメロンパンや豆腐を自分で作り、日本のグルメを満喫しようと奮闘中。
普段、当たり前のように口にしている料理をこんなにも絶賛し、愛してくれる人がいることを知ると、見慣れた日本食を心でも味わいたくなる。
よく考えれば面白い「日本語の奥深さ」が知れる
日本をこよなく愛するアルトゥルさんは日本語マスターになるべく、猛勉強中。日々、頭を悩ませながら、難解で美しい日本語を習得しようと努力している。そんな彼の日本語に対する素直な感想は、たまらなくかわいい。
例えば、眠れない夜、羊を数えようとするも「匹」という数え方が「ひき」「ぴき」「びき」と変化する日本語の複雑さに困惑。

見知らぬおばあさんの荷物を持つのを手伝い、「お心遣い痛み入ります」と丁寧に感謝された際には、どこが痛むのかと心配になってしまったよう。

そして、豆腐好きであるため、「冷ややっこ」の漢字表記が「冷たい奴」だと知った時には、切ない気持ちになった。

言われてみれば、たしかに不思議かも。そう思える日本語の謎がたくさん描かれている本作は、自分が普段口にしている言語の奥深さや面白さを考えるきっかけも授けてくれる。
アルトゥルさんの目に映る日本の姿を楽しみながら、自国の良さを改めて噛みしめてみてはいかがだろうか。
文=古川諭香