TikTokで2000万回再生を達成した紙工作作家の「愛」を感じる紙工作マンガ
公開日:2022/3/5

紙工作マンガ家、紙工作作家として活動しているしんらしんげさんは、父と子の愛を描いた立体マンガ動画「へんがお」がTikTokで2000万回再生を達成、「たった1分で泣かされた」など賞賛のコメントや400万の「いいね!」がついて、広く知られるようになった。

しんらしんげさんの「動く紙工作」には、いつも驚かされる。
TikTokで2000万回再生を達成した「へんがお」では、相手を笑わせようとして次々と繰り出す親子の表情、「田んぼ道の原付少女」では、疾走するバイクの車輪と移り変わる景色の遠近感など、紙で作った工作というより、まるでアニメのようだ。

このデジタル時代に、しんらしんげさんが使うのは、紙コップ、わりばし、段ボールのほか、デザインナイフ、メンディングテープなど100円ショップで揃えられる道具だけという超アナログのツールばかり。でもだからこそ、描かれた1枚1枚のイラスト、目や舌が動いたりするちょっとした仕掛けにも、手作りならではのあたたかみが伝わってくるのだ。

なにげない「愛」を描いている紙工作マンガ
今回、しんらしんげさんが上梓した『紙コップとわりばしと段ボールで作る 動くペーパークラフト』(しんらしんげ/KADOKAWA)には、初級編、中級編、上級編に分かれている。
「パタパタわりばし人形」

「くるくる紙コップマンガ」

「変形! プレゼント型メッセージカード」

「紙パック映画館」

「紙パックの3Dネコ」

「仕掛けだらけのパラパラマンガ(へんがお)」

「バイクが動く立体アニメボックス(田んぼ道の原付少女)」

の7作品の作り方が詳しく解説されている。どれも、しんらしんげさんの代表作ばかりだ。


型紙もついているので、コピーすれば誰でもしんらしんげさんと同じ作品を作れて、動画を撮ることもできてしまう。各作品にはQRコードがついているので、それを読み込めば、どんな動きをするのか見ることもできる。中には作るのが難しいものもあるけれど、がんばって作ってみてSNSにアップすれば、思わぬ「いいね!」がもらえるかもしれない。
しんらしんげさんは「仕掛けに注目して欲しい!」と言っているけれど、彼の作品の大きな魅力のひとつは、そのあたたかな「愛」だ。彼の作品には、「へんがお」の親子の愛、「くるくる紙コップマンガ」の恋人たちの愛、「紙パック映画館」の老夫婦の愛……どこにでもあるけれど、気づかなければ通り過ぎてしまうようななにげない「愛」が溢れている。
もちろんそれだけではなく、どの作品も「えっ!?」とびっくりするような仕掛けがいっぱいだ。「あの動きは、こうやって出していたのか」と驚かされることも多い。
人と人とがなかなかふれあうことのできない現在、しんらしんげさんの作品を実際に作って手に取ったり動かしたりしてみて、そのぬくもりに触れてみるのもいいのではないだろうか。
文=村沢譲
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