課題図書『ごめんね でてこい』、作者のささきみおさんにインタビュー! (文研出版)

文芸・カルチャー

更新日:2024/6/12

第70回青少年読書感想文全国コンクール低学年の部課題図書、『ごめんね でてこい』。

きっと誰もが覚えのある『ごめんね』を言いたくても言えない気持ちを、丁寧に、鮮やかに描いています。

大好きなおばあちゃんに「きらい」と言ってしまった、はなちゃんの気持ちが身にしみるこの物語の制作秘話を、作者のささきみおさんに伺いました!

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この物語ができたきっかけは何ですか?

私の母に、10歳年上の姉がいます。

ふるさとの秋田県横手市でくらしているのですが、数年前に介護老人施設に入りました。

母がくらす東京から遠いこともあり、しょっちゅう会うことができません。

なかなか会いに行けずに申しわけない、と自分をせめる思いもあったと思います。

会わない間に認知症はどんどん進んでいきました。

ようやく会いに行けた時、母は姉の様子を見ておもわず

「お姉さん わたしが、わかる?」

と聞きました。 すると、かえってきた言葉が

「わたしの だいじな いもうと」

でした。 このエピソードを聞いたことがきっかけです。

ささきさんにも、はなちゃんのように「ごめんね」が言えなかったことがありますか? それは、どんなことでしょう。

「ごめんね」が言えなかったことはたくさんあります。

意地をはって言えなかったり、自分が悪いことに気がついていなくて言えなかったり…。

「ごめんね」は、相手の方と気持ちをつなぐチャンスだと思います。

そのチャンスをのがさないようにしていたいと思っています。

イラストレーターであるささきさんは、この物語の絵も描いておられます。

絵を描かれるとき、参考にされたものなどあるのでしょうか?

日常の身近なもの、これまで見てきたものから主に描かせていただいています。

はじめの玄関シーンは自宅の玄関ですし、おばあちゃんのきんちゃくは 、ひまわりの刺繍はないけれど、自分の子が園児の頃に作ったものがモデルです。

病院のシーンはじっさいの伯母のベッドの様子です。

左から、玄関・ひまわりの刺繍の巾着・病室

絵を描くとき、どんな気持ちをこめましたか?

また、気をつけたことがあれば教えてください。

主人公の「はなちゃん」は笑ったり、怒ったり、泣いたり、お話の中で気持ちがゆれ動きます。

そんな時、ふわっとやわらかい空気が流れているような絵にしたいと思いながら描かせていただききました。

描きすぎず、かたくなりすぎず描けていたらうれしいです。

この物語を通して、どんなことを読者の方に伝えたいですか?

あなたをだいじに思っている人は、たとえ『失敗しちゃったな』『嫌われちゃったかな』と思うときでも、 変わらずあなたのことを思っているんだよ、ということです。

読者のみなさんが、まわりにあるたくさんの「だいじ」を見つけて、 すくすく大きくなってくれることを願って、この本を書きました。

この夏、たくさんの読者の皆さんに読んでいただきたいこの本。

ぜひ全国の書店などでチェックしてくださいね!