吉岡里帆さんが選んだ1冊は?「人生を見つめ直すきっかけにもなる、100人の素敵な夢が詰まった本」

あの人と本の話 and more

更新日:2022/7/11

吉岡里帆さん

 毎月3人の旬な有名人ゲストがこだわりのある一冊を選んで紹介する、ダ・ヴィンチ本誌の巻頭人気連載『あの人と本の話』。今回登場してくれたのは、吉岡里帆さん。

(取材・文=倉田モトキ 写真=TOWA)

「1歳の子が描いた絵で始まり、そこから100歳の方までの100編の夢が綴られているんです。年齢が増えるにつれて夢に対する価値観が変わっていったり、現実を捉えるようになったりして。そのどれもが感動的で涙がこぼれそうになりました」

advertisement

 吉岡さんがこの本を手にしたのは最近のこと。カフェで偶然見つけたのは、運命的だったのかもしれない。

「手にした瞬間から惹き込まれました。少し前に父親が還暦を迎えたので、“60歳の方ってどんなことを思ってるんだろう”と、父に近い年齢の方のページをめくってみたり、自分と同年代の人の夢を探してみたり。もう、夢中になって読んでましたね(笑)。一番好きなのは73歳の女性の言葉。17歳で嫁ぎ、専業主婦として家族を支えたその方は、65歳になって年金を受け取り、初めて自分のお金を手にするんです。そのときの喜びや、今はこの大切なお金を孫にお年玉であげるのが私の幸せだと書いてあって。夢の話だけでなく、自分の人生において何が大切かを考えるきっかけにもなりました」

 ちなみに吉岡さんが役者になる夢を抱いたのは18歳のとき。エキストラで参加した映画の現場で、数秒のシーンを撮るためだけに1日がかりで挑む様子に感動したのだという。

「大勢で1つのものを作り上げることにロマンを感じるんです。それに、どんな作品でも、監督や演出家によって届けたいテーマや目標が違うので、表現する内容も尽きることがない。そこがすごく楽しいんです」

 そんな吉岡さんが次に挑む舞台が『スルメが丘は花の匂い』。「私にとって大きな挑戦になる作品」と話す。

「表面上は“物語”が生まれる世界に女の子が転生してしまうというファンタジー・コメディなんです。ただ、自分と異なる価値観の人と出会ったとき、人はそれをどう受け止めていくのかといった普遍的なテーマも描かれていて。役者次第でどれだけでも深く掘り下げられる作品なので、そこに挑みがいを感じています」

 作・演出はかもめんたるの岩崎う大。舞台では今回が初タッグとなる。

「岩崎さんの作品はどれも不思議なおかしさがありながら、現代社会にメスを入れるような鋭さもある。この舞台がなければ、その世界観と混じり合う機会もなかったと思うので、今はワクワクが大きいです。それに、演出家さんが思い描く役に染まっていくのも役者の醍醐味です。まずはフラットな気持ちで稽古に挑んでいきたいと思っています」

ヘアメイク:paku☆chan(Three PEACE) スタイリスト:小泉 茜 衣装協力:トップス3万6300円、スカート4万700円(masaco teranishi/apres-demain)、イヤリング1万4960円、ブレスレット9680円(ともにsomnium)(全て税込)

よしおか・りほ●1993年1月15日、京都府生まれ。連続テレビ小説『あさが来た』で注目を集める。最近の代表作にドラマ『しずかちゃんとパパ』(NHK BS)、映画『ハケンアニメ!』など。レギュラー番組にJ-WAVE『UR LIFESTYLE COLLEGE』など。映画『島守の塔』が7月22日より公開予定。

あわせて読みたい

舞台『スルメが丘は花の匂い』

舞台『スルメが丘は花の匂い』

作・演出:岩崎う大(かもめんたる) 出演:吉岡里帆、伊藤あさひ、鞘師里保、岩崎う大、牧野莉佳、もりももこ、小椋大輔、ふせえり 2022年7月22日より東京・大阪・福岡・広島・高知・愛知・福島にて巡演 
●いつもまわりに流され、“自分らしく生きる”選択をしてこなかった縁緑は、ある日、童話や寓話が生まれる世界に迷い込んでしまう。「スルメが丘」と呼ばれるその場所では誰もが自分の物語を成立させるために必死。そんな姿を見て、緑の心にも少しずつ変化が訪れる。