MEGUMIさんが選んだ1冊は?「怖さがあり、羨ましさもある愛の形。こんな役を一度は演じてみたいですね」

あの人と本の話 and more

公開日:2022/11/12

MEGUMIさん

 毎月3人の旬な有名人ゲストがこだわりのある一冊を選んで紹介する、ダ・ヴィンチ本誌の巻頭人気連載『あの人と本の話』。今回登場してくれたのは、MEGUMIさん。

(取材・文=倉田モトキ 写真=TOWA)

 MEGUMIさんと『雨心中』との出合いは2ヵ月ほど前。親友の作家・LiLyさんによる推薦だった。

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「エッセイや自己啓発本などリアルな世界が書かれた本が好きで、小説は馴染みがなかったんです。でも、読み始めたら止まりませんでした」

 施設で育ち、姉弟のように生きてきた芳子と周也による究極の愛の物語。一方的に愛を注ぎ続ける芳子の言動には怖さと羨望を感じたそうだ。

「大抵、自分の愛が重すぎるかも…と思えば、多くの女性は少し距離を取ろうとする。でも芳子は、相手が弟という関係ならいつまでも自分から離れていくことはないはずだと気づき、すべてをなげうって周也に尽くしていく。その恐ろしくも清々しい偏った愛情に、ある意味で女性の願望を叶えているなと感じたんです」

 二人の間にあるのは共依存だ。周也もまた、別に女性を作りながら、最後には芳子を頼ってしまう。それが互いをダメにすると知っていても。

「恋人同士ではないのに求め合っている。これ以上の愛の形はないですよね。二人が逃避行のなかで出会う人たちも不幸の塊で。はたから見ればこれほど地獄のような人生はない。でも芳子にとっては、周也といられるだけで幸せなんです。こういう役、一度でいいので演じてみたいですね」

 現在は出演中のドラマで72歳のカリスマ社長を演じているMEGUMIさん。しかも本作では、企画から監修まですべてを手掛けている。

「日本には50代以上の女性を主人公にした作品が少なく、少し前から自分の将来に危機感を持ち始めていたんです。ならば自分で作るしかないと思ったのが、ドラマや映画のプロデュースを始めたきっかけでした」

 不倫報道でどん底を歩むアナウンサーの壱子。彼女を再び輝かせるためカリスマの不美が手を差し伸べる。

「たった一度の失敗で二度と立ち上がれないほど世間から叩かれる。そんな風潮におかしさを感じたことが今作のテーマになっています。でも、正論だけだと見る側は息が詰まってしまう。ですから。あくまでコメディに。また、壱子を演じる(深川)麻衣ちゃんは聖母のように純粋な子で。そんな彼女だからこそ、人生に詰まった女性が再起して美しくなっていく姿を表現できるのではと思いました。それに〝美〟を題材にしているのも、自分を磨くことは自己肯定に繋がっていくから。単純に《キレイになろう》ではなく、《日々を戦うための美容がある》というメッセージを感じてもらえると嬉しいですね」

めぐみ●1981年9月25日、岡山県生まれ。俳優、タレントとして活躍するかたわら、近年は古民家カフェやドラマ、映画のプロデュースも手掛けている。最近の出演作にドラマ『おいハンサム!!』『探偵が早すぎる〜春のトリック返し祭り~』、映画『極主夫道 ザ・シネマ』などがある。

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脚本:我人祥太、岩崎う大(かもめんたる)、北川亜矢子 監督:太田 勇、朝日恵里、岩崎う大、西野真伊 企画・プロデューサー:MEGUMI 出演:深川麻衣、野村周平、サーヤ(ラランド)、ゆうたろう、YUSHI、岩崎う大、藤森慎吾、MEGUMI/YOU テレビ東京ほか毎週火曜深夜0時30分より放送中 
●仕事が波に乗り始めた矢先、思わぬ不倫報道ですべてを失った有加里壱子。鳴り止まぬバッシングの嵐の中、美容で成功を収めたカリスマ社長・不美(ふみ)との出会いが彼女を大きく変えていく。
(c)「完全に詰んだイチ子はもうカリスマになるしかないの」製作委員会 design by れもんらいふ