宮世琉弥が選んだ1冊は?「大好きな画家たちの言葉に心を救われ、今では役者の仕事にも活かされてます」
公開日:2024/3/14
※本記事は、雑誌『ダ・ヴィンチ』2024年4月号からの転載になります。

毎月3人の旬な有名人ゲストがこだわりのある一冊を選んで紹介する、ダ・ヴィンチ本誌の巻頭人気連載『あの人と本の話』。今回登場してくれたのは、宮世琉弥さん。
(取材・文=倉田モトキ 写真=booro)
「絵画、大好きです! 特に印象派が好きで、最近では親友の奥平大兼君とよく美術館巡りをしています」
はまったのは高1の時。その頃、悩みごとを抱えていた宮世さんは、敬愛するゴーギャンやセザンヌたちの絵に癒やされ、同時に「彼らの言葉にも触れたい」と思ったのだそう。
「そこで手にしたのがこの本でした。凡人の僕には理解が及ばない言葉もあったのですが(笑)、どんな意味なのかと何度も考えているうちに、自分の心と対話しているような気持ちになり、すごく救われたんですよね」
印象派が好きな理由をうかがうと、「風景などをそのまま絵で再現するのではなく、抽象的な色合いで表現しているからこそ、画家それぞれの個性を感じられるんです」とのこと。
「この本にも、僕が大好きなモネは、目に映るひとつひとつの要素に細かく意識を向けていたと書いてある。これを僕は、世の中の物事に対し、偏見や他人の意見を排除して、自分がどう感じるかが大切なんだと解釈しました。普段僕が絵画を観る時も、“なぜ惹かれるのか”“作者は何を思って描いたのか”という主観と客観の両方を持って楽しむようにしています。それってお芝居で役を捉える時の視点にも似てる気がしますね」
近年、数々の話題作に出演している宮世さん。続く『恋わずらいのエリー』では遂に映画初主演を果たす。しかも、念願だった胸キュン作品で。
「恋に疎い男女が思わぬ形で急接近し、恋人になっていく。台本を読み、ずっとキュンキュンしてました(笑)。でも実際の撮影は大変で。キュンを魅せる動作には、実は細かい段取りがあるんです。まるでアクション映画を撮ってるみたいでしたね(笑)」
今回演じたオミくんは、見た目はさわやかながら、本性は口の悪い“ウラオモテ王子”だ。しかし、そんなオミくんとの恋愛を日々妄想する同級生エリー(原菜乃華)との出会いが彼を大きく変えていく。
「エリーはすごく真っ直ぐな子で、オミくんの素顔を知っても自分の感情に素直に動く。人って、好きな人の前ではなかなか本当の感情を出せないもの。だからこそ、オミくんは彼女に惹かれたんだと思います」
お気に入りはケンカのシーン。
「2人の間に“好き”の感情が膨れ上がるも、それをうまく言葉にできないもどかしさから、ケンカになってしまうんです。でも、本心をぶつけあった結果、互いのことがより愛おしくなる。その後、どんどん素直になっていくオミくんも必見です」
ヘアメイク:時田ユースケ(ECLAT) スタイリング:ホカリキュウ
映画『恋わずらいのエリー』

原作:藤 もも『恋わずらいのエリー』(講談社「デザートKC」刊) 監督:三木康一郎 脚本:おかざきさとこ 出演:宮世琉弥、原 菜乃華、西村拓哉、白宮みずほ、藤本洸大・綱 啓永/小関裕太 配給:松竹 3月15日(金)より公開 ●学校イチのさわやか王子・オミくんとの恋愛を妄想しながらSNSにつぶやくことが趣味の女子高校生エリー。ところがある日、裏では口の悪いオミくんの素顔を知り、さらには恥ずかしい妄想もバレてしまう。 (c) 2024「恋わずらいのエリー」製作委員会 (c) 藤もも/講談社