中川大志が選んだ1冊は?「どんな境遇の人にも、励みになるような言葉が見つかる本だと思います」

あの人と本の話 and more

公開日:2024/4/13

 ※本記事は、雑誌『ダ・ヴィンチ』2024年5月号からの転載になります。

中川大志さん

 毎月3人の旬な有名人ゲストがこだわりのある一冊を選んで紹介する、ダ・ヴィンチ本誌の巻頭人気連載『あの人と本の話』。今回登場してくれたのは、中川大志さん。

(取材・文=斎藤春子 写真=TOWA)

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 中川さんが『覚悟の磨き方』を通じて、幕末の天才思想家・吉田松陰が残した熱い言葉の数々に出会ったのは、映画の役作りのためだった。

「僕が演じた剣持聡という役が、いつも哲学的な言葉を使う、自分の中の美学をすごく大事にしているような男だったんです。知人に薦められて読み始めたんですが、確かに剣持なら影響を受けるだろうと思える言葉ばかり並んでいて。演じている間はずっと、この本をお守りのようにつねに持ち歩いていました」

 ふとした空き時間にもページをめくるうちに、自分自身の心にも刺さる言葉をいくつも発見したという。

「いろんな思想や哲学が感じられる言葉ばかりで、『自分の心がそうせよと叫ぶなら、ひるむことなく、すぐに従うべきだと思います』とか、好きでしたね。モヤモヤを抱えた時に、直球ストレートで背中を押してくれる言葉がいくつもあった。読む時の状況によって刺さる言葉も違うだろうし、どんな境遇の人にも励みになるような言葉が見つかる本だと思います」

 真摯に言葉とも役とも向き合う中川さんの次なる出演作は、地球ゴージャスの舞台『儚き光のラプソディ』。

「僕が地球ゴージャスさんの作品を初めて観たのは、2016年の『The Love Bugs』です。舞台に満ちるエネルギーに圧倒されましたし、カンパニーを創り上げる岸谷(五朗)さんと寺脇(康史)さんの空気感もあって、観ていて嫉妬してしまいそうなほど、演者の皆さんが楽しそうでした。地球ゴージャスの作品はエンターテイメントの素晴らしさと、シンプルだけど明確なメッセージ性が両立していて、誰もができる舞台じゃないと感じたからこそ、お話をいただいた時は『僕でいいのかな?』と悩みました。でも今はダンス、歌、アクションと、やるべきことの大変さも含めて楽しみしかありません」

 一昨年は約2カ月にわたる初主演舞台、音楽劇『歌妖曲~中川大志之丞変化~』を成功させたが、今回も1カ月以上のハードな公演だ。

「舞台は稽古から数えたら何十回、何百回と同じセリフ、同じシーンを繰り返しますが、同じ条件が揃う公演は1つもない。自分の状態も、お客さんも、劇場の温度も毎日変わるから、演技も変わる。最近は、舞台で起こるすべてが正解なんだと思います。毎日変わるお客さんの存在がモチベーションですし、今日は何が起きるのかを楽しみに、1回1回の公演に飛び込んでいきたいです」

ヘアメイク:堤 紗也香 スタイリング:徳永貴士 衣装協力:ブルゾン6万4900円、シャツ4万9500円、パンツ4万7300円(UJOH/M TEL03-6721-0406)、その他スタイリスト私物

なかがわ・たいし●1998年、東京都生まれ。2009年に俳優デビュー。ドラマ『家政婦のミタ』の演技で脚光を浴び、その後数々の作品に出演。22年には初主演舞台『歌妖曲〜中川大志之丞変化~』を成功させた。4月期ドラマ『95』(テレビ東京系)、『滅相も無い』(MBS/TBS系)に出演。映画『碁盤斬り』が5月17日公開予定。

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