「友人への手紙」のような温度。しいたけ占いの文章が心に沁みる理由。しいたけさんインタビュー【前編】

占い

2017/12/13

今女性たちの間で大人気の「しいたけ占い」。

ご存じない方は、ぜひこの機会に騙されたと思って「しいたけ占い」でTwitter検索してみてください。すると「これを読まなきゃ1週間が始まらない」「どんぴしゃすぎる」「泣ける」……など、その占いの掲載を待ち望むファンのコメントが山ほど見つかるはず。ここまで話題を呼び、人々の心を惹きつける「しいたけ占い」とはいったい何か。その著者である「占い師・しいたけさん」とはどんな方なのか。2017年12月15日(金)に発売される書籍『しいたけ占い 12星座の蜜と毒』(しいたけ/KADOKAWA)にちなみ、ご本人にインタビューしました!

2冊目の書き下ろし作品となる本書。自身のルーツに触れたエッセイも収録している。

■「運がいい人、悪い人は何が違うのか?」が知りたくて占い師になった

――12月12日に『VOGUE GIRL』の「2018年上半期占い」がついに公開となり、ものすごく反響を呼んでいます。更新前から「待ちきれない」とか「これを頼りに2018年は生きていく」といった声が多く、「占い」にしては読者の熱量が高い印象を受けました。

しいたけ:ありがたいことに「上半期」と「下半期」の占いは、多くの人が待っていてくれているみたいで。これまでやってきたことの振り返りと、次の半年間のひとつの指標として読んでいただけたら嬉しいです。つい最近まで自分の占いがこれほどたくさんの方に読まれて、「占い師」が職業になるとは想像していなかったんですよ。

――初歩的な部分からご紹介させていただくと「しいたけ占い」は「占い師のしいたけさん」が占うから「しいたけ占い」ということですよね。まずは占いを始めたきっかけからお聞きしてもいいですか。

しいたけ:僕の場合、まず学問的な興味が先にあって。大学院で政治哲学を学んでいた流れで「運」についての研究を始めたのが、「占い」に触れたきっかけです。時代的にも僕が思春期のときはバブルがはじけたり、自分の家のほうでもいろいろあったり、時代の余波をすごく受けた印象が子ども心にありました。そういう状況を見ていて、世の中には生まれながらに親がお金持ちで「大学生になった瞬間に車をプレゼントされる人」もいれば、「必死にバイトをしてやっと買う人」もいる。どこの家に生まれるかも運だなと、悲観ではなく純粋に「面白い」と思ったんです。同時に「ただ頑張る」のではなくて、時代性や運を把握して、自分なりに考えていくことがすごく大事だなと思いました。

――生まれたときから人は「運」に左右されていると。

しいたけ:はい。ただ、人によって幸・不幸の感触は違いますから、お金持ちの家に生まれたから「運」が良くて幸せかというとそうでもない場合もありますよね。自分がどう捉えるかによって変わる。そういう意味で、「運」は心理学や哲学と結びつくんじゃないかと思い、研究をするようになりました。あとは僕自身、今でもそうですが“人見知り”なんです。だから社交的でうまくいっているように見える人たちにとても興味があって、観察してはノートに記録していました(笑)。

――記録(笑)。その頃から人の人生に関心があったんですね。

しいたけ:たとえば大学とかバイト先なんかでも、明るくて人気がある人と、光がなかなか当たらない人、つまりあまり目立たない人っていますよね。苔を生やしていた側の僕としては、太陽を浴びている側の人たちが、どういうコミュニケーションをしているのかを観察して、真似してみようというか。もともと一度興味を持つと突き詰めるところがあるので、人間観察も「占い」につながっています。それで大学院を出たあとに個人鑑定をするようになり、口コミでお客様が増えていって、『VOGUE GIRL』で連載を始めて。いつのまにか今に至るという感じです。

書籍オリジナルの「開運アドバイス」が満載。しいたけさんの熱いメッセージが詰まった1冊。

■「友人への手紙を書く感じ」でずっと続けてきた

――口コミで始まったことがここまで大きく広まっていくのはすごいことだと思います。実際の「占い」はリーディングという手法で、占星術とこれまで鑑定してきた方々の情報を総合して執筆されているそうですね。

しいたけ:これまでカウンセリングしてきた方々の存在はとても大きいです。今も「あの人は何座だったかな」と思い浮かべながら、「友人への手紙」を書く感じで文章を書いています。

――しいたけさんの占いは、ほかの占いとは立ち位置が違うというか、「あなたの運勢はこうです」と予言するのではなく、「あなたにはこういうところがあるから、こうしてみるといいですよ」と論理的にアドバイスしています。今のスタイルになったのはいつからですか。

しいたけ:初期の頃からこのスタイルなのですが、どうしてこうなったんだろう。ちょっと考えていいですか…。(しばし沈黙)来年で占いをするようになって9年目なのですが、面白いことに僕が人見知りだと、お客さんも人見知りばかりになってくるんです。もう7割くらいが人見知りの方。

――類は友を呼ぶ、みたいな。

しいたけ:僕自身もそうですが、人見知りの人ってなんらかの事情を抱えていて、すぐに人を信じることができなかったり、人間関係でなかなかうまく自分を表現できずに傷ついたりした思い出がある人が多い。そういう人って、何か話しかけても簡単に「はい、分かりました」っておっしゃる人がほぼいないので、人見知りの方と打ち解けられて、納得してもらえるようなコミュニケーションを意識して今のスタイルになったところもあるかもしれないです。

■「自信のなさは家に置いてきなさい」と言ってくれたお客様

――人見知りの方への共感や気遣いが、「やさしさ」を感じる文章につながったんですね。

しいたけ:人見知りの人って、実は仕事のパフォーマンスが高いんです。なぜかというと、相手を納得させて早く帰りたいから(笑)。「ここまで終わりましたよ。それでは! ああ、やっとひとりになれる~」みたいな感じで頑張るんです。今日インタビューに遅刻しておいて言うのもあれなんですけど(笑)、やっぱり占いも文章も、お客様にお金と時間を使っていただく以上、読んで良かったと思ってもらいたい。今思い出したんですけど、こう考えるようになったのは、あるお客様に言われた言葉がきっかけかもしれないです。

――どんなお客さんだったんですか?

しいたけ:占いを始めたばかりの頃、銀座ナンバーワンのホステスだった方から紹介していただいたお客様なんですが……ある街で昔から美容院をやっていらっしゃる70代の女性の方で。その方を鑑定したあとに「僭越ながら感想を言っていい? 私は何十年も客商売をしているから分かるけれど、あなた成功するよ」って言っていただいて。リップサービスかもしれないけど、嬉しかったので「ありがとうございます」と言ったら、「でもあなたは自分に自信がないよね」と。「1円でもお金をもらったらプロだから、今後、自信のなさは家に置いてきなさい。自信がないという謙虚さはプロの世界ではいらない」とおっしゃったんです。

――それは、はっとする言葉ですね。

しいたけ:見抜かれたというか、腑に落ちましたね。それまでは自信がないから「受け容れてもらえるかな……」と怯えていた部分もあった。でもそう言われて開き直れて、「占いでどうしたら喜んでもらえるか」を徹底的に考えるようになりました。文章を書くときも「これを読んだ人に喜んでもらえるか」という視点がつねにあります。

まずは自分の「蜜(強み)」と「毒(弱み)」をよく知ろう、というのが今回のテーマ。

■「面倒くさい部分」を笑い合うコミュニケーションツールにしてほしい

――今回の本のサブタイトルは「12星座の蜜と毒」ですが、表と裏、長所と短所という単純な言い方にしなかったのはなぜでしょうか。

しいたけ:僕は占いのなかでも一貫して、人のネガティブな面や弱み、コンプレックスだと思っている「毒」のような部分にこそ、その人の本質があると思っているんです。この本でも「短所の噴火」というエッセイで触れているんですが……自分自身にも毒がたくさんあるから、それを肯定しないととても生きていけないなと思ってきたんです。毒を取り除こうとするのではなく、認めたら少し楽になれるんじゃないかと。

――毒を肯定して、うまく共存していくことが大切ということですね。

しいたけ:毒が「あってもいいんだ」と思ってほしい。一見、その人の弱みのような部分も、角度を変えて突き詰めていけば、パッと上昇するタイミングがある。多くの人を見てきた実感としてそう思っているので、そこについてアドバイスしたいんです。自分ひとりで何でもできる優秀な人もこの世にはいると思いますが、大体の人はそうじゃない。人には得意、不得意があるので、そこを分かって認めると楽に生きられる。タイトルにはそういった意味も秘められています。

――「蜜と毒」と呼んでもっとカジュアルに、ライトに考えていこう、と。

しいたけ:そうなんです。人が悩みまくった末に「占い」に頼るときって、「いつ結婚できますか」とか「どうしたらお金を儲けられるのか」とか、気持ちが切迫していてライトじゃないんです(笑)。占いで直接的な解決策を出すことはできなくても、状況を整理することはできるんじゃないかと思っています。

――確かに、占いにすがりたいときって真面目に人生を考えようとしているときですよね。

しいたけ:悩みって、たとえばいい学校に入っていい会社に就職をしなければとか、結婚もしないといけないとか、自分のプライドや社会の圧力に囚われているところから出てくる。ふと悩んだときに、「自分にとって何が幸せか」を考えるきっかけに占いを使ってもらえたらなと思うんです。人生のメインディッシュにはならないけれど、サプリのようなものと捉えてもらえたらと願っています。

――しいたけさんの占いが、多くの人が共感できて、日常に取り入れやすいのはそういうスタンスに理由があるんですね。この本のおすすめの読み方はありますか?

しいたけ:年末に発売されるので、ぜひお友達やご家族と一緒に読んでほしいです。「毒」、つまりその人の短所にあたる面倒くさい部分。山羊座だったら部屋に閉じこもって出てこないとか、すぐに他人をシャットアウトするとか。蟹座だったら“隠れ短気”というような部分を、みんなで笑いながら指摘し合ってほしい。「今だから言うけど、あなたのこの部分、すごく面倒くさいよね」みたいに、コミュニケーションツールとしても使ってもらえたら嬉しいですね。

「今の自分に必要な色」を教えてくれる「オーラカラー占い」も大人気。

【後編】では、気になる「2018年の運勢」のお話も。ぜひお見逃しなく!!

<プロフィール>
しいたけ●占い師。早稲田大学大学院政治学研究科修了。哲学を研究するかたわら占いを学問として勉強。2014年から『VOGUE GIRL』で連載開始、毎週月曜更新の「WEEKLY!しいたけ占い」で注目を集める。「しいたけ」という名前の由来は、唯一苦手な食べ物が「しいたけ」であり、それを克服したかったから。他の著書に『しいたけ占い12星座でわかるどんな人ともうまくいく方法』(マガジンハウス)がある。Twitterのフォロワーは25万人を超え、ブログの読者数は7万9千人にのぼる。

「WEEKLY!しいたけ占い」
https://voguegirl.jp/horoscope/shitake/
しいたけのブログ
https://ameblo.jp/shiitake-uranai-desuyo/

取材・文=石本真樹