価値観が何から何まで違うクリスチャンと結婚した尼さん落語家が語る夫婦円満の秘訣とは…

恋愛・結婚

公開日:2017/12/24

 離婚理由のNo.1として増え続けているという「性格の不一致」。結婚してからわかってくる考え方や価値観の違いは、いつのまにか大きな溝を生んでしまうこともある。最悪の事態になる前に、何か対処法はないものか。そこで「価値観の違いは当たり前。それを楽しむ」という『聖 尼さん』(春秋社)の著者・露の団姫(つゆのまるこ)さんにその心得を聞いた。

『聖 尼さん』(露の団姫/春秋社)

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■「そもそも夫とは違う」のが基本姿勢

――団姫さんのお宅は、団姫さんが仏教徒で旦那さんはキリスト教。価値観の違いという意味では、最初から明らかに違うわけですよね。

露の団姫さん(以下団姫):最初から「全く別もの」ですね。夫婦間では特に問題も感じていませんでしたが、むしろ「仏教徒なら仏教徒と」とか考える周りの方を説得する作業があったくらいで。ただ、もし夫も仏教徒ならかえって違いが気になってもめていたかもしれない。違うという大前提のおかげで、細かい違いは気にならないですよ。そもそも「他人」で、性別にしろ何から何まで違うわけで。

 まず夫婦はよくしゃべったほうがいいと思いますよ。うちは寝るまでしゃべってます。たとえばニュースとか見て「これ、あなたどう思う?」とか、ネタがなかったらテレビから持って来てでもしゃべる。だから話題がないとか思わずに、自分と共通の趣味がどれだけあるのか探るために、あえて自分の好きな話題で反応を見たっていい。興味ないって言われたら、最終的に「この人、私に興味ないんとちゃうかー?」となるかもですが(笑)。

――それは危険なゾーンにいってしまいそうな(笑)。

団姫:私、離婚は悪いことではないと思ってるんですよ。結婚して不幸になるなら、見極めは早いほうがいいです。結婚して不幸になった人も、離婚後に5歳くらい若返った人も何人も見てますし。母が女性専門のカウンセラーなんですが、その話を聞いていてもやっぱりそう思います。

 たとえば絶対に離婚したほうがいいのは、相手が暴力をふるうケース。これはほとんど直りません。時折、暴力に耐えるのが自分の修行って思う女性がいるんですが、それは修行じゃなくて苦行。誰も幸せになりません。ほかに見極めるとしたら、相手のジェンダー感ですかね。男はこう、女はこう、となんでも決めてくる人というのは、ケンカしたときに「普通はこうやろ」って押し付けてくる。その「普通」の根拠なんてほとんどないのに、なんでも相手をはめ込もうとしてくるんですね。こういうタイプは打開策ないのでイエローカードです。あとは、親に言われて結婚を決めた人ですかね。親に言われてなにかする人って自分の意志が弱い人なんで、結婚してからも親のいいなりになりますから。

■「我慢」は思い上がり。気になるなら話し合えばいい

――違いは気にならないといっても、日常生活の小さな違いに「アレ?」と思ったりしませんか?

団姫:そりゃありますよ。たとえばお米の炊き方とか、何から何まで違いますから。大事なのは、それに腹を立てるか、楽しめるかという心の持ちよう。ただ、どうしても気持ち悪いことはあったりするので、そういうときはちゃんと言って話し合います。攻撃的にしゃべったものは、絶対あとで倍返しにあうので、あくまで穏やかにやりますが。

――よく「子育て」などは、考え方の違いがぶつかりがちですが…。

団姫:うちも違うことはよくあります。その時に大事なのは、子ども本位の考えなのか、自分本位なのかの見極めですね。たとえばうちの場合、将来は子どもをミッション系か仏教系のどちらの学校に進ませるか話し合うことがありますが、私はミッション系でも構わないと思っています。なぜなら、もし息子が将来世界で働く人間になるとしたら、キリスト教の文化を知っておいたほうが良いからです。「私は仏教だから困る」とかっていうのは、子どもを自分のものという前提で考えているから出てくることで、それは一番ダメですよね。

――答えの出しにくいこと、たとえば社会問題への考え方の違いなどは?

団姫:この間もうちは3時間ぐらい答えの出ない議論とかしましたけど、お互いの考えを知るいい機会ですよね。相手の思考パターンがわかってくると、逆にそれを予想するのも楽しくなってきたりもします。仏教には「答えはひとつじゃない」という考え方があるんですが、この人はこう、私はこうと、それぞれのスタイルがあっていいんですよ。結婚しても「他人は他人」なんですから。

――そこまで割り切れればいいですが、悩んでしまう人もいるんですよね。

団姫:悩んだら紙にモヤモヤとか、何が気持ち悪いのか書き出してみるといいですよ。たとえば「靴下ぬぎっぱなし」とか「トイレで水を流してない」ということなら衛生面の悩みなわけで、それを無くせばだいぶいい。苦しみを分析するんです。ただ、女性の場合「自分を責める」ようになってしまう人も多いですよね。「我慢」という言葉が好きな人が多いんですけど、我慢の「慢」には思い上がりって意味があって、仏教では我慢というのは「自分本位の思い上がりのダメな心」のこと。

「夫がこうなのは私のせい」みたいに言うのも、「私、これだけ考えてる素晴らしい妻なんですよ」っていうのが裏にある。むしろ「夫がこうなんでめっちゃハラたってる」という人のほうが解決もあるんです。我慢をする人は、悩める私に酔っちゃってるような状態で、ほんとは一番やっかいですよ。

――団姫さんの旦那さんは「発達障害」を抱えていて、一度は離婚も考えられたとか。価値観の違いとは少し違いますが、団姫さん自身がラクになったヒントのようなものはありますか?

団姫:自分の工夫で相手もだいぶ変わるので、それを手柄のように思う、ゲームだと思うと楽しいものですよ。発達障害の場合、こっちは悩んでいても、相手は何も悩んでないこともあって、彼の親だったらどうするかというくらいの気持ちもどっかにあります。まだまだ何かをお願いする際に不安に思うときもありますけど、自分だって失敗することはあるわけですからね。

 どうしても無理なら、結婚生活を無理して続けなくても良いと思うんですよ。人間には相性がありますし、結婚にも向き不向きがあります。そして、幸せのカタチも決してひとつではないのですから。

文=荒井理恵

この記事で紹介した書籍ほか

聖♡尼さん: 「クリスチャン」と「僧職女子」が結婚したら。

著:
出版社:
春秋社
発売日:
ISBN:
9784393436516