ダメでもカッコいい! 実力派人気俳優4人が主演で話題の映画『虹色デイズ』 原作者・水野美波さんに、漫画と映画について聞いた!

アニメ・マンガ

2018/7/1

©2018「虹色デイズ」製作委員会©水野美波/集英社

 佐野玲於、中川大志、高杉真宙、横浜流星。実力派人気俳優4人が主演を務めることで話題の映画『虹色デイズ』。原作は『別冊マーガレット』で連載されていた、男子高生のお馬鹿でピュアな青春マンガだ。監督・飯塚健(『荒川アンダー ザ ブリッジ THE MOVIE』)×脚本・根津理香(『君に届け』)のタッグでも注目を集める同作の公開を記念して、原作者・水野美波氏にインタビューを行った。

■ダメなところもカッコいいところも全部ひっくるめて男子は魅力的!

――実写映画化、おめでとうございます!

水野美波(以下、水野) ありがとうございます! 『虹色デイズ』は、個人的には二次元色の強い作品だと思っていたので、まさか実写のお話をいただけるとは想像もしておらず……。最初はとても驚きました。

――水野さんはもともと、男子主人公で群像劇を描きたかったということですが。

水野 ちょっと情けなかったりアホだったり………ダメな部分が見える男子が、私は人間らしくて好きなんですよ。女子目線で男子を描こうとすると、どうしても素敵なところがフィーチャーされてしまいがち。もちろんかっこいい男子も好きですし、女子目線の少女マンガも好きなんですけど、『虹色デイズ』ではいいところもダメなところもひっくるめて魅力的な男子を描いてみたかった。あとは男子目線から描かれる女子、というのも好きなんですよね。

――何事にもまっすぐで子犬のような羽柴夏樹(なっちゃん)、チャラいけど実は漢気あふれる松永智也(まっつん)、いつもニコニコしているけれど実はドSキャラの片倉恵一(恵ちゃん)、メンバー唯一の秀才でコスプレ好きのオタク・直江剛(つよぽん)。4人ともそれぞれ、相当にキャラが濃いですよね。

水野 なっちゃんとまっつんは、私のマンガにおいてはわりとスタンダードなキャラ。『虹色』以前に考えていたお話から、すでに似たようなキャラができあがってました。その2人の中間くらいの性格のキャラ、と思って生まれたのが恵ちゃんですね。つよぽんは、最初に読み切りを描いたときは名前だけのネタキャラだったんですが、連載が決まったときに改めて、クール枠のキャラとして考えました。

――個性のバラバラな4人が、わちゃわちゃとお馬鹿な掛け合いをしている何気ないシーンが、原作でもいちばん好きでした。

水野 私も、日常回を描くのは楽しいです。彼らはいつもアホなことばかりして遊んでいるので、描いてる私も楽しくなってくるんです。逆に、恋愛がわりとシリアスに進んでいくような回は、きちんと描けるか心配で毎回緊張していましたね。

――実際、男子のアホかわいいノリをスクリーンでみて、いかがでしたか。

水野 みんな仲良しな雰囲気が映像からダイレクトに伝わってきて、高校生っていいなと改めて思いました。登場人物と一緒に笑ったりドキドキしたりできる青春映画だと思います。

■原作と映画、それぞれ水野さんのお気に入りシーンは?

――撮影現場も見学されたんですよね。

水野 はい。和気藹々とした現場で、とくに教室のシーンは本当の学校にいるみたいでした。でもいざ撮影が始まると、みなさん真剣にお芝居をされていて、その緊張感に私のほうがドキドキしてしまって。モノづくりが好きなので、美術さんのお仕事を見学できたのも貴重な経験でした。学園祭シーンで使ったポスターも、撮影後にもらっちゃいました!

――とくに好きだったシーンやセリフはありますか?

水野 やっぱり、つよぽんとゆきりんのシーンですね……!

――ゆきりん(浅井幸子)は、つよぽんの彼女。原作でも、安定して長続きしているカップルで、映画でも微笑ましいシーンがたくさんありましたね。

水野 はい、ゆきりんの健気さがかわいくて。映画と見せ方は違いますが、原作でも、つよぽんの進路をめぐってゆきりんが泣いちゃうシーンは、私も描きながら涙が出ました。あと、映画オリジナルの場面でいうと、冒頭で4人がプールではしゃぐシーンも好きです。ザ・青春という感じの爽やかさで素敵でした。撮影は大変だったみたいですが(笑)。

――ちなみにご自身で、ほかに原作で気に入っているシーンはありますか?

水野 杏奈(小早川杏奈)が、自分のなっちゃんに対する恋心に気づくところですね。あとは、コミックス16巻に収録される番外編の『虹色日和』でなっちゃんと杏奈がイチャイチャする回は読者さまからもけっこう反応をいただけて。私自身、ずっと2人がイチャコラするのを描きたかったので、楽しかったです!

■閉じた世界から一歩踏み出したとき、広がる景色を描きたかった

――映画で描かれるメインは、なっちゃんが片想いする杏奈との恋模様なのですが、サイドストーリーでも原作のエピソードやエッセンスを掬いとって再構成されていました。杏奈が大好きでたまらないがゆえに邪魔してしまうまりちゃん(筒井まり)の葛藤など、女子同士の友情シーンもありましたね。杏奈とまりについて、原作ではどのようなことを考えながら描かれていましたか?

水野 杏奈とまりちゃんともに共通しているのですが、2人とも女の子同士、狭すぎる世界にいたので、そこから一歩外に出ていく姿を描きたくて。なっちゃんをはじめ、男子と出会うことで予想外の感情や関係性が生まれるようになって、少しずつ視野を広げていく……という。学生時代はとくに、身近にあるものが世界のすべてという感覚を持ってしまいがちだけど、実はそんなことないんだよということを、少しでも読んでる方に伝えられればなぁと思いながら描いていました。

――まりちゃんに共感する女性は多いと思います。「誰かのいちばんになりたい」と強く願うあまり杏奈を独占してしまったり、自分たちの世界を壊そうとする男子を拒絶したり。思春期にはとくに覚えのある感情ではないでしょうか。

水野 まりちゃんは、杏奈に対する依存度がとても高かったので、まっつんと出会うことによって、心を自立させてゆくというのもテーマのひとつでしたね。

――杏奈とまりちゃんにも象徴されることですが、『虹色デイズ』は単なる恋の群像劇ではないのが魅力的でした。感情が育って変化していくことへの抵抗、恋にはならないかもしれないけれど居場所となる存在を得ることでの救いなど、人と人とが関わっていくうえでの理想がすべてつまっていたような気がします。

水野 青春群像劇に限らず、マンガは基本的に、リアルと憧れを足して2で割ったくらいの感覚で描くのがちょうどいいかなぁと思っているんですよ。『虹色』の場合、憧れ要素がやや強めかもしれませんが、自分のなかで描くうえで掲げていたテーマが「思いやり」で、それに沿って描いていったら作品が自然とできあがっていったという感じですね。私は、恋愛も友情もどちらも好きですが、たぶん1番好きなのは、「絆」というものなんだと思うんです。ただその言葉を安易に使ってしまうと、どうしても薄っぺらくなってしまう。だから『虹色』を描くうえで、あえて言葉にすることはなかったのですが、読んでくださった方々がたしかに絆を感じてもらえる作品になっていたら嬉しいです。

取材・文=立花もも

■映画『虹色デイズ』
7月6日(金)全国ロードショー
企画・配給:松竹