「平成生まれ だけど昭和育ち」と歌う上坂すみれが語る、ディープなプロレス愛とは? 【プロレス特集番外編】

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更新日:2018/8/21

 最新アルバム『ノーフューチャーバカンス』内で「平成生まれ だけど昭和育ちよ」(「平成生まれ」)と歌う、声優の上坂すみれさん。彼女の「昭和愛」は、昭和のプロレスだけでなく、プロレスというカルチャーそのものにもつながっている。そんな上坂さんのプロレスの観方、プロレス愛とは――。

昭和プロレスをDVD等で観て、入場曲や選手の逸話に興味が湧きました

――上坂さんは昭和史が好きでプロレス史に興味を持ち、そこからプロレス好きになったという、ちょっと異色なプロレスファンだとうかがいました。プロレスの入場曲もお好きだそうですね。

上坂 はい。プロレスラーの方々に惹かれるきっかけも、その人が持っているストーリーとか、逸話とか、入場曲とか、そういうところから好きになっていくことが多いんです。昭和のプロレスも、DVDやYouTubeなどの映像で観て、そこからハマっていきました。昭和のプロレスって、今のプロレスとは雰囲気が全然違っていて。DVDなどで観ても、観客への場内アナウンスの音声が大きくて、音楽はあんまり聞こえてこないんです。今のプロレスだと、選手の入場曲はもっとガンガンにかけてしっかり聞かせるんですが、昔は控えめだったのかもしれません。でも、きちんと聞きたかったので、入場曲だけYouTubeで聴いたり、「プロレス入場曲集」みたいなCDを買って聴いたりしていました。

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――なるほど。上坂さんはサブカルチャーについても非常に詳しいですが、ひとつの物事についてグイグイ追求していくのがお好きなんですか?

上坂 そうですね。プロレスのDVDは高校生の時に集め始めたんですが、やっぱり入口が昭和史だったこともあって、どうしてもプロレスに関連するストーリーを追って観ていく傾向が強かったんです。ストーリーを知ることによって試合の観方が変わってきて、面白いです。プロレスに関する本もいろいろ読みました。神保町の書泉グランデの地下に格闘技関連書籍の売り場があって、そこに買いに行ったり、プロレスファンの方からいただいたりして。プロレスラーの自伝的なものより、スポーツライター歴何十年の人が書いたルポ本とか、プロレス外国人選手名鑑みたいな本とか。そういったものを読んで、「この外国人選手にはこんな過去が!」みたいな背景を知ったうえで、試合を観るのが好きなんです。……今日の取材の話をうかがって、そういえば、こんな本が家にあったなって思い出して持ってきたんですが、これ、ダ・ヴィンチ編集部さんのほうで出された本ですよね?

――あっ! そうです、中島らもさんとミスター・ヒトさんの共著『クマと闘ったヒト』ですね。「昭和プロレスの暴露本」といったテイストの本なんですが、こういう濃い本も読んでらっしゃるんですね?

上坂 はい。これは確かファンの方からいただいた本なんですが、すごく面白いですよね。「本当かな?」と思ってしまうようなものも含めて、プロレスには伝説がいっぱいあるってことがわかって、プロレスの観方がだいぶ変わりました。

――そういう内情を知ってから試合を観ると、かなり印象が変わってきますよね。試合を実際に観に行かれたりはしますか?

上坂 はい、観に行きます。初めて観に行ったのは「G1 CLIMAX」だったかな? 一人で行ったので、両国国技館の枡席で知らない人と相席で観ていたような気がします。すごく緊張しましたけど、行ってみたらとても楽しかった! 一人で観戦するのも楽しいですが、誰かと行って一緒に応援するのも楽しいですよ。同じ事務所の三澤紗千香さんはプロレス好きというわけではなかったんですが、誘ったら来てくれて。二人ですごく盛り上がって、私も嬉しかったです。だから、みなさんもお友達や彼女などを誘って観に行っていただきたいですね。

後楽園ホールでライブができたら。そのときは、ファンの方にぜひ横断幕を作ってきてほしいですね。

――お好きなプロレス会場があるとお聞きしましたが、どちらですか?

上坂 東京ドームと後楽園ホールが好きですね。そんなにいろいろ行ってるわけではないんですが……プロレスは会場によっても雰囲気が全然違って面白いと思います。東京ドームは「お祭り」っていう感じで、お客さんの熱気もすごい。それで盛り上がる気がします。後楽園ホールはもっとコアな感じ。「名物お客さん」みたいな人がいますよね。横断幕を張っている人、足で音頭を取る人、会場内の手拍子を仕切っている人……この人はすべての試合を観ているんじゃないか?っていうオーラの人もいたりして。それぞれのお客さんに「自分たちも試合を作るぞ」「頑張ってレスポンスするぞ」っていう意識がある気がします。

――上坂さんもライブなどで舞台に立たれますが、状況的にプロレスと似ているなと思うことはありますか?

上坂 そうですね。いかに観ている方を引き付けるか――それが大事なところは、ライブもプロレスも同じじゃないかと。開演前は、ちょっと「怖いな」って思うこともありますが、失敗しても多少のことは寛大に受け止めていただけると、自分を奮い立たせています。ファンのみなさんを信頼していますので。

――いつか後楽園ホールでライブをやってみたいという、思われますか?

上坂 そうですね、後楽園ホールでできたらいいですね。ライブとかできるのかな(笑)。もし叶ったら、ファンの方には横断幕を作ってきてほしいなって思います。

アルバム
『ノーフューチャーバカンス』
上坂すみれ キングレコード
初回限定盤A・Bともに3600円(税別)
通常盤3000円(税別)
アニメ『ポプテピピック』のオープニングテーマ「POP TEAM EPIC」などを含む全16曲を収録した最新アルバム。「私にとってのプロレスの入場曲みたいなもの」というコンセプトで制作された「予感」シリーズは「03」を収録。

取材:門倉紫麻  文:kujira