肉も炭水化物も甘味も食べてOK! 体づくりのプロ「ボディビルダー」が指南する、究極のダイエット法とは?

健康・美容

2018/12/21

 朝・昼・晩の食事は、1日3回分の筋トレだ――。そう断言するのは、“バズーカ岡田”の異名で「ホンマでっか!? TV」などのメディアに出演する、岡田 隆さん。

 TVで見る岡田さんは「骨格筋評論家」を名乗っているが、実は現役のボディビルダーでもあり、これまでに実体験を活かした筋トレ本を多数出版してきた。そんな岡田さんの最新著書が『無敵の筋トレ食』(岡田 隆/ポプラ社)だ。

 本書で紹介されているのは、食べながら体を絞る理想的な食事習慣。「食物繊維、タンパク質、炭水化物の順番で食べる」「考え方によってはラーメンもNGではない」「甘味なら和菓子を選ぶべし」といった具体例をあげながら、正しいダイエット食について指南している。食事を減らすのではなく、食べることを恐れない。そこにあるのは、巷のダイエットとは一線を画すようなメソッドだ。

 筋肉のプロが提言する減量法とはどういったものなのか。本書を発表した直後の岡田さんに尋ねてみた。

■ボディビルは、減量と体づくりの最終形態

――巷には数々のダイエット本が溢れていますが、現役ボディビルダーの食事術指南書というものは珍しいですよね。なぜ、執筆しようと思われたんですか?

岡田隆さん(以下、岡田):ここ数年、実にさまざまな食事術が指南されるようになってきました。だけど、なかにはリスクの高いものもあります。そんななかで、「かっこいい体になりたい」「美しい体を手に入れたい」と思っている人たちの願いを叶えるための、ひとつの答えが出せると思ったんです。

 ボディビルの世界って、一般の人からすると特殊な世界かもしれません。僕もよく「岡田さんみたいな体にはなりたくない」って言われるんです(笑)。だけど、誤解してほしくないのは、ボディビルは体づくりの最終形態であるということ。僕らは、一般の人が憧れる「かっこいい体」というものを通り過ぎて、バキバキの体を作り上げているんです。つまり、みんなが理想とする体は、その途中過程にあるんですよ。ボディビルダーたちが実践している食事術を取り入れれば、体脂肪は落ちて筋肉がつく。ベクトルは一緒。あとはどのタイミングでそれをやめるか、だけなんです。

――なるほど。ボディビルダーの食事はそのままダイエット食にも結びつくというわけですね。

岡田:そう。それを真似したからといって、僕らと同じようにムキムキになるわけではありません。そこまで行き着くには、相当な苦労が必要ですから。だけど、絞ることは簡単にできるはず。「ボディビルダーの食事術=ムキムキになる」という色眼鏡を外して読んでもらいたいんです。

――ボディビルダーの食事術というと、どうしても厳しい減量風景を想像してしまいがちですが、意外とそうでもないですよね。肉も炭水化物も甘味も、バランス良く食べていることに驚きました。

岡田:人間の体には、糖質、脂質、タンパク質をそれぞれ代謝する経路があるんです。それらをうまく使えば最高の体を手に入れることができる。それなのに、最近は「炭水化物オフダイエット」のように、ひとつの栄養素を抜くっていうありえないダイエットが流行っていますよね。その背景にあるのは、「楽をして痩せたい」ってことだと思うんです。

 だけど、何かを抜くというのは我慢をするということでもありますから、一見楽でも、ストレスを感じます。そして、結局は続けられなくなってしまう。そう考えると、最終的に楽なのは「バランスの良い食事を摂る」ということなんです。

 そもそも、最近のダイエットを見ていると、炭水化物が悪者扱いされすぎているように感じます。食物繊維が多く含まれている“スーパー大麦”のような質の良い炭水化物であれば、問題がないどころか、便秘解消や痩せやすい体につながるんです。正しい知識を身につければ、食物の持つ働きを理解できるようになる。だからこそ、「◯◯オフダイエット」といった偏ったやり方には疑問があるんです。

――「◯◯オフダイエット」はリバウンドのリスクも高いですよね。

岡田:ダイエット後にリバウンドしてしまうのって、それまでの食生活を継続できない、継続したくないという気持ちの表れなんです。ストレスを感じながら食事制限をして、なんとか痩せることができた。けれど、元の食生活に戻した途端、リバウンドしてしまった。それでは意味がありません。せっかく痩せるんだったら、その後も維持したいじゃないですか。そのためには自分にとってストレスのない食事に出会って、それをライフスタイル化させることが肝心なんです。

――ダイエットを成功させるためには、無理をしないことが大切ということですね。

岡田:そうなんです。それと、体重計の数字だけにとらわれないこと。もちろん、客観的な指標として体重にこだわることは間違っていません。ただし、それ以上に「見た目」で判断する目を養ってほしい。

 体脂肪を5%落とせたとしても、見た目がほとんど変わっていなければ意味がない。むしろ、数字としてはわずか1%の体脂肪が落ちただけなのに、見た目が理想的な体つきになっていればそれで良いじゃないですか。それなのに、なぜかみんな「数字を落とすこと」に躍起になってしまう。それが体重信仰です。数字を落とすのはあくまでも手段で、目的は理想の体を手に入れることのはず。この目的と手段が入れ替わってしまうのが、ダイエットの落とし穴なんです。

■痩せるためには「見る目」を養うこと

――数字ばかりにとらわれてしまう。…耳が痛い話です。

岡田:見た目の変化に比べて、数字はわかりやすいですからね。だからこそ、毎日自分の体をチェックして、細かな変化に気づいてもらいたいです。筋肉のアウトラインを見て、筋肉がどういう溝を刻んでいるのか確認する。もっと単純に、体をつまんで肉の厚みを見たり、ウエストを測ってみたりするのでも良いです。いずれにしても、現状の自分を冷静に分析することが重要なんですよ。

 そのためにもまずは「見る目」を養うことを意識しないと、間違った方向に進みがち。憧れのモデルさんや女優さんの体を見て、ただ「痩せればあんな風になれるんだ」と思い込んでしまうのも、見る目がないことからくる弊害ですね。

――痩せてもあんな風にはなれない、ということですか?

岡田:モデルさんや女優さんの体には、ちゃんと筋肉があるんです。だけど、みんなそこを誤解していて、ただ体重を落とすことだけに一生懸命になっている。そうではなくて、体脂肪を落としながら筋肉をつけるということをしていかないと、芸能人のような体にはなれないんですよ。僕らみたいなプロからすれば、「モデルさんの体には筋肉があって締まっている」ということが一目瞭然ですが、一般の人はそこを勘違いして過激な体重減少ダイエットに走ってしまうんです。

 だから、モデル体型を目指すのであれば、ボディビルダーの食事術を取り入れることが実は最短距離なんです。なかなかそこが結びつかないと思うんですけどね(笑)。

 そもそも、「あんな風にはなれない」なんて体はありません。誰だって、トップモデルやスポーツ選手の体に近づくことができるんです。それを最初から諦めてしまうのはもったいない。理想の体を手に入れることで、人生も激変しますからね。

――「なれない体はない」。なんだかすごく励みになる言葉ですね! では、ダイエットに悩む人たちにメッセージをお願いします。

岡田:ボディビルというのは、体脂肪や筋肉量をコントロールする究極のカタチです。数カ月で50kg近い減量を成功させるビルダーも存在します。彼らだって同じ人間です。やろうと思えばできる。それを証明してくれているんですよ。

 だからこそ、思考停止には陥らないこと。「痩せられない…」と思い悩むのではなく、「落ちない脂肪はない」ととらえて、そこに向かって突き進んでいくことが大切です。ダイエットには心の状態も影響します。必ず痩せられる、絞れると思い込むことで、理想の体に近づくことができるんです。

 自分の現状を分析して、心の状態を整えて、食事管理を行う。これでダイエットは成功します。残りの人生、憧れの体で過ごしましょう!

 一つひとつの質問に、非常に論理的かつわかりやすく解説してくれた岡田さん。インタビュー後にあらためて本書を開いてみると、まるで岡田さんが語りかけてくれているかのような読み心地であることに気づいた。日々の食事を見直し、PFC(タンパク質、脂質、炭水化物)のバランスを設定する。不要な脂と必要な脂を見分ける。コンビニを利用して、除脂肪食を購入する。岡田さんはそれらを、具体的な数値と紐づけて説明してくれる。

 また、ボディビルに挑戦し始めた2014年当時の食事も公開。そこには岡田さんの“失敗”が隠すことなく記されている。そういった時代もあったのか。そう思うと、いまでは完璧なボディを持つ岡田さんが、とても身近に感じられた。

 これからの時期は、どうしても暴飲暴食に走ってしまいがち。年が明けたころ、体重計に乗って愕然とする……なんて光景も目に浮かぶだろう。けれど、本書があればもう大丈夫。岡田さんが指南するメソッドで、来年は理想的な体に向かって走り出せるはずだ。

取材・文=五十嵐 大 写真=内海裕之