ウイスキーを片手に読書という航海に出よう! ニッカウヰスキーの数量限定商品「ナイトクルーズ」のお供にぴったりの1冊とは?

文芸・カルチャー

2019/5/17

 一日の終わりは、潮風の香り。頬を優しく撫でる海風のように、長い夜を満たしてくれる――。そんなコンセプトのもと生まれたニッカウヰスキー「ブラックニッカ ディープブレンドナイトクルーズ」。昨年リニューアルした「ブラックニッカ ディープブレンド」の掲げる“大人が楽しむ上質な一人の夜”にぴったりの商品として、5月28日に数量限定で販売される。

 一人の夜をさらに豊かなものにするために、「ナイトクルーズ」がコラボレーションをこころみたのが“読書”だ。10日に行われた「新商品発表会」では、『ダ・ヴィンチ』編集長・関口靖彦の司会で、書評家・杉江松恋氏と、会場となったブックカフェ「マルノウチリーディングスタイル」のブックカフェコミュニケーター・宇野めぐむ氏、そして「ナイトクルーズ」の開発を担当したブレンダーの二瓶晋氏の対談が行われ、本とウイスキーにまつわるトークが繰り広げられた。

■ナイトクルーズと『極夜行』で、終わらない夜の旅に出る

関口靖彦(以下、関口) 「ナイトクルーズ」は、大人が一人でくつろぐ夜に飲むお酒。今回はその名前とコンセプトにちなんで「潮風」「航海」「旅」「冒険」などのテーマから、皆さんに選書していただきました。私も含めて、その理由を本の魅力とともにお伝えできればと思います。まずは、タイトルからして夜のお供にぴったりの『極夜行』を選んでいただいた杉江さん、いかがですか?

杉江松恋氏(以下、杉江) 『極夜行』は昨年の大佛次郎賞を受賞した作品。作者の角幡唯介さんが北極圏の最先端たるグリーンランドに滞在し、4か月ものあいだ、終わらない夜を体験した経験を綴ったノンフィクションです。人間が生まれるとき、最初に見るのは光です。我々は日ごろ、システムに支配された社会で、光があるのは当たり前の生活を送っていますが、4ヵ月の夜を体験したあとには、生まれ落ちたときと同じように新鮮な光として朝日を見るのではないか、と思って角幡さんは旅に出るわけです。とにかくひたすら夜の世界が続く話なので、挙げる本は『極夜行』しかないだろうと思いました。

 また、システム化された世界から抜け出し、夜の底のなかで角幡さんは、自分自身と対話しながらどうやって生きていくべきかを考えます。もちろん、百日以上の夜に浸ることは我々には不可能ですが、ウイスキーを飲みながら氷にうつる自分を見つめ、自分自身と語り合う時間を持つことは、それに近いものがあるのではないかな、と。

関口 杉江さんも、本を読みながらお酒を飲む一人の時間を持つことは多いんですか?

杉江 そうですね。近所に、ボトルを入れているお店があるので、そこでちょっとずつ飲むのが好きですね。左手にグラスをもって、右手でおつまみのかわりに、ページをめくる。ウイスキーって、とくにロックの場合はちびちびと飲むのに向いていますから、夜の読書にぴったりだなと思います。

関口 一人で本を読む時間はそれだけで至福ですが、そこにいいお酒が加わると、さらにいい夜を長く過ごせる気がします。

杉江 ただ、あまり難しいものは読めないんですよね。

関口 だんだん酔っぱらってきちゃうから(笑)。

杉江 楽しい本がいいですよね。いつのまにか自分も本の世界に入り込んで、少しずつ高揚感が増していくようなものが。その点でも、『極夜行』のような冒険がテーマの作品はぴったりだと思います。

関口 杉江さんは、ヒップフラスク(ウイスキー携帯用の小型水筒)をお持ちなんですよね。

杉江 お酒を飲める法定年齢に達したときに、いわゆる自分へのご褒美として買いました。それを持って旅行に行くのがマイブームだった時期もあります。

関口 自宅で一人静かに過ごす時間も楽しいですが、旅先で、本1冊とお酒しかない状態でゆっくり過ごすのも特別な夜という感じがしますね。旅先にはどんな本を持っていくことが多いですか?

杉江 エッセイや短編集といった、どこで読み終えても大丈夫な本は必ず入れます。長い小説でも、たとえば夏目漱石の『吾輩は猫である』は適していますね。最初から最後まで、猫が人間を観察しているだけの話なので、どのページを開いても読み心地があまり変わらないんですよ(笑)。「あそこの場面を読みたいな」と思ったページを開いて、飲みながら眠くなったら寝て、翌日もまた同じ個所を読んだりする。繰り返し読んでも楽しいような本も、お酒との相性がいいと思います。

■いつか休暇は終わるという静かな予感を抱きながら、穏やかな時を満喫する

杉江 関口さんも、本を読みながらの晩酌が何よりの楽しみだとか。選んだ本はフジモトマサルさんの『二週間の休暇』。単行本なので一見、小説のようですが、中身はマンガですね。

関口 非常に落ち着いたトーンで語られる作品で、絵本に近い手触りのある作品です。日菜子という女性が団地の一室で目覚めるところから始まるのですが、外に出てみると、町にいるのは自分以外みんな鳥なんです。八百屋さんも豆腐屋さんも、みんな鳥。鳩や文鳥、鶯などのいろんな鳥たちがふつうに生活していて、日菜子も言葉をかわし、ときに一緒に食卓を囲んだりする。すごく穏やかな夢のような世界が描かれていくんですが、だんだん、日菜子には、目覚めたその朝以前の記憶がないらしいことがわかってくる。

 よく、休暇中は何もかも忘れてのんびりする、という表現をしますよね。日菜子が体験しているのはその境地なんです。現実に、仕事や家のことを全部忘れて過ごすのは難しいけれど、日菜子は本当に、何もかも忘れている。だからといってパニック状態に陥るわけでもなく……。

杉江 なぜここにいるんだろう、とは思っても、思い出さなきゃ、という焦りがないんですよね。

関口 そうなんです。フライパンのコゲを洗い落としたり、食材を買いに行ったり、鳥たちと友達になったり。穏やかで静かな日常を過ごします。食べ物の描写もよくて、たとえばコロッケを作るシーンでは、じゃがいもを茹でてきれいにつぶすところから丁寧に描かれています。このままずっと続いてほしいような、でもいつかは休暇から現実に戻っていくだろうという予感を静かに孕む本なので、ふだん一生懸命働いている方のオフの時間におすすめしたいと思いました。ナイトクルーズと一緒で、長くじっくり味わえる本だと思うのですが、その味わいを出すため、ブレンドする際に心がけたことはありますか?

二瓶晋氏(以下、二瓶) バニラを思わせるような樽の甘さには、人をリラックスさせてくれる効果があると思うんです。通年商品の「ブラックニッカ ディープブレンド」自体、甘さがしっかり感じられるウイスキーなのですが、「ナイトクルーズ」はよりくつろぎの時間にあうよう、バーボン樽熟成のカフェグレーンをブレンドし、樽由来の甘さがさらに際立つ仕上がりになっています。読書との相性もいいのではないでしょうか。

関口 確かに、甘みが気持ちを落ち着かせてくれますね。いつかは終わるけれど、今はまだ浸っていたい……そんな時間にぴったりの本とお酒だと思います。

■村上春樹のエッセイと、ナイトクルーズの共通点とは

関口 フジモトマサルさんはイラストレーターとして幅広くご活躍されていて、村上春樹さんの『村上さんのところ』という問答集の表紙や挿画も描かれています。宇野さんは今回、村上さんの本を持ってきてくださったんですよね。

宇野めぐむ氏(以下、宇野) 村上春樹さんの『もし僕らのことばがウィスキーであったなら』です。もともと私はお酒が大好きで、「ウイスキーが好きならいい本があるよ」って同僚から紹介されたのがきっかけで読みました。村上さんがウイスキーをテーマにスコットランドやアイルランドを旅したエッセイで、カラー写真がたくさん掲載されているので、家にいても旅した気分になれます。作中では、パブやバーでウイスキーを飲む場面が多いんですが、私も生意気ながら、恵比寿に時々行くバーがありまして。作中で村上さんが味わったウイスキーを注文したことがきっかけで、マスターやお店のお客さんと話すようになり、人との繋がりを広げてくれたありがたい本でもあります。

関口 夜、ベランダでお酒を飲みながら本を読むのもお好きなんですよね。

宇野 そうなんです(笑)。「ナイトクルーズ」も自宅で一人味わってみました。私は北海道出身で、余市の蒸溜所にも行ったことがあるんですよ。「ナイトクルーズ」には、余市のヘビーピートモルト原酒がブレンドされているそうですが、初めて飲んだとき、こんな匂いがしたなあ、と情景がぱっと浮かんできて。この本を片手に「ナイトクルーズ」を飲んでいると、これまで旅した場所とか昔の友人とか、過去のことがふわっと思い出されるとともに、まだ出会ったことのない誰かや訪れるかもしれない旅の予感を抱きながら想いを馳せることもできて、ひっそりした贅沢な夜をいただけました。

関口 二瓶さんも、この本を読まれたんですよね。いかがでしたか。

二瓶 村上春樹さんが旅されたスコットランド・アイラ島のモルト原酒と、余市蒸溜所のヘビーピートモルト原酒には、ある共通点があります。それはスモーキーさ、つまり燻製のような特徴的な香りです。「ナイトクルーズ」のブレンドでも、その特徴を引き出すためにピート香を際立たせることを意識して開発を始め、余市蒸溜所のヘビーピートモルト原酒をキーモルトとして使用しています。今回のブレンドで注意したことは、ブラックニッカというブランド自体が“日本の洋酒会を代表するブランドにしたい”という創業者の想いで立ち上がられたブランドであり、アイラモルトにあるようなクセの強さは求められていないということです。ピート由来の燻香を立てすぎず、立てなすぎず、というバランスのとりかたが開発でいちばん苦労したところでした。作中で、村上さんはものすごくスモーキーなお酒を飲んでいらっしゃいますが、「ナイトクルーズ」にもそれと共通する香りが備わっています。「ナイトクルーズ」に感じられる柔らかなピート香を本を読みながら味わっていただけたらなと思っています。

関口 クセの強さを引き出していく作業も興味深いですが、長くゆっくり味わうための絶妙なバランスを探るのも、面白そうです。

二瓶 ピート原酒を入れすぎると香りが一色になってしまい、「ディープブレンド」が本来持つ樽の甘さがなくなってしまうんです。個性を打ち消しあうのではなく、互いに引きたてるにはどうしたらいいか、試行錯誤の日々でした。

杉江 バランスがいいといっても、特徴がないわけではなく、後味が舌の上に残るのでちびちび飲むのに向いています。香りを口の中で長く玩弄し続ける、その感覚は読書とも似ています。

宇野 「ナイトクルーズ」って、氷が溶けていくと、モルトのバニラの香りが際立つんですよね。甘くふんわり香ってくれるので、一人で飲んでいてもさみしくないんです。

二瓶 ウイスキーというのは、ストレートに水が足されると、裏に隠れていた香りが匂いたつものなんです。おっしゃるとおり、「ナイトクルーズ」にはピートのスモーキーさだけでなく、バニラの甘い香りや林檎のような風味などが潜んでいますので、いろんな角度から楽しんでいただけると嬉しいです。

取材・文=立花もも 撮影=花村謙太朗
【ダ・ヴィンチニュース編集部/PR】

テイスティングノート

香り
やわらかなピート香とウッディな新樽の香り。
味わい
甘さの中に感じる樽由来のスパイシーさと
ほのかなスモーキーさ。
余韻
香ばしいピート香と樽のビターさ
その後に現れるソルティなピートの余韻。

2019年5月28日(火)数量限定発売