20~30代の謎の不調…「もしかして更年期!?」考えられる2つの原因

健康・美容

公開日:2019/7/19

 女性特有のからだの不調やトラブルで悩んでいませんか。「お医者さんに行くほどではない…」「デリケートなことなので人には聞きにくい…」そんな体の悩みを、All Aboutガイドであり、ポートサイド女性総合クリニック・ビバリータ院長の清水なほみ先生に聞きました。自分のからだと向き合い、健やかに過ごす手助けとなってくれることでしょう。

 更年期という時期は、閉経をはさんで前後10年の時期を指すため、一般的には45~55歳くらいの時期のことを示します。この時期に現れるさまざまな心身の不調を「更年期障害」と呼んでおり、のぼせ・ほてり・発汗・めまい・肩こり・頭痛などの身体的症状や、気分が落ち込む・イライラ・不眠などの精神的症状が出ることがあります。本来この「更年期」という時期に差し掛かっていないのに、20~30代の段階で更年期障害によく似た症状が現れることがあります。雑誌やネットでは「プチ更年期」とか「若年性更年期障害」などの名称がついていることがありますが、これらの呼び方はいずれも医学的なものではありません。

 更年期障害は、あくまで「更年期」という時期にホルモン不足や自律神経の乱れによって引き起こされる不調を意味しますので、20~30代の方にのぼせや発汗などの不調が現れてもそれは「更年期障害」ではないのです。

 では、なぜ更年期ではないのに更年期障害によく似た症状が出るのでしょうか? 主な原因は2つ考えられます。1つは、卵巣機能低下や卵巣機能不全によって、更年期ではないけれど更年期と似たような「女性ホルモン不足」になっているという状態です。この場合、月経不順を伴うことが多く、血液検査をすると卵巣から出ている女性ホルモンの数値が年齢の基準値に比べて極端に低くなっているのが特徴です。女性ホルモンのうち「エストロゲン」というホルモンが、心身を安定させるさまざまな作用を持っているため、このホルモンが不足すると疲れやすくなったり精神的に不安定になりやすくなるのです。卵巣機能の低下による「更年期のような症状」の改善方法は、ホルモン剤で不足している女性ホルモンを補うという方法になります。更年期治療に使われるホルモン剤よりは、少しホルモン量が多い薬剤を使うことが多く、低用量ピルや超低用量ピルも選択肢の1つになります。

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 もう1つの原因が、自律神経失調症による不調です。自律神経がうまく働かなくなると、ほてり・発汗・動悸・めまい・頭痛・食欲不振・疲れやすさ・不眠、などのさまざまな不調が出やすくなります。一部の症状は、まるで更年期障害のような症状なので、「若くても更年期障害になる」と勘違いされることもありますが、その症状が引き起こされている仕組みはまったく異なるのです。自律神経失調症は、不規則な生活やストレスフルな生活が原因で引き起こされることが多く、まずは仕事の状況や生活環境の改善が最も重要な対処法になります。また、自律神経訓練法やカウンセリングなどで症状の改善を図ることもあります。薬で治療する場合は、自律神経調整薬や漢方薬などが主な治療薬になります。

 20代や30代でなんだかよくわからない不調が続いて「もしかして更年期!?」と思ったら、まずは婦人科や自律神経失調症の治療に詳しい内科で相談してみるとよいでしょう。