玉城ティナ「よく読まれているから”という理由で、本を選んだことはこれまで一度もないかもしれません」

あの人と本の話 and more

2019/11/16

毎月3人の旬な有名人ゲストがこだわりのある1冊を選んで紹介する、ダ・ヴィンチ本誌の巻頭人気連載『あの人と本の話』。今回登場してくれたのは、“いっぺん、死んでみる?”の殺し文句とともに、閻魔あいとして映画『地獄少女』に“降臨”した玉城ティナさん。アニメ、マンガを通じ、みずからもファンだったという、その作品への想い、そして独自のスタイルで楽しむ本選びについて伺った。

玉城ティナさん
玉城ティナ
たましろ・てぃな●1997年、沖縄県生まれ。講談社主催の「ミスiD2013」で初代グランプリ、14歳で「ViVi」の最年少専属モデルに。映画デビュー作は『天の茶助』、『わたしに××しなさい!』で初主演。出演作に『チワワちゃん』『Dinerダイナー』『惡の華』など多数。公開待機作に『AI崩壊』。
ヘアメイク:Takako Imai スタイリスト:Hiromi Nakamoto

「選ぶジャンルが、そのときの自分の気分によって、まったく違う。“これが今、よく読まれているから”という理由で、本を選んだことはこれまで一度もないかもしれません」という玉城さん。だから実際に自分の手に取って、ページを開くことのできる、書店で本を選ぶことが多いという。

「足が向かうのは平台よりも棚の方。そこで気になった一冊を手に取ってみる。好き嫌いがわりとはっきりしているので、“この本を読んでみよう”という勘がすぐに働きます」

 今回選んでくれた、リチャード・ブローティガン『愛のゆくえ』も、そうして出会った一冊だという。

「アメリカの作家さんですが、世界観も想像しやすかったし、物語世界に生きている人々も馴染みやすく、淡々とした筆致から、本質に訴えてくるようなものを感じました」

“無名の人々が思いを込めて書いた本だけを保管する図書館”という設定も、本好きには堪らない設定。そこを訪れ、図書館で暮らす青年と恋に落ちるのが、誰もが夢中になってしまう完璧すぎる美しい体を、“これは本当の私ではないのに”と悩む美女・ヴァイダ。

「目が合った男、全員が彼女に夢中になる、みたいな(笑)。彼女がいかに美しいかという描写が突き抜けているんです。その外見と中身との間にあるギャップも」

 ヴァイダを重ね合わせてしまうような美しさもさることながら、女優、モデルとして、他人から見られる自分と、本当の自分との間にあるギャップについて、玉城さんはどう感じているのだろうか。

「そのギャップは嫌ではないんです。私は私だから、という気持ちがあるからでしょうね。そしてむしろあった方が有難い。ひとつ板が挟まっているような感じなんです。それはものすごく堅いものでも強いものでもないのですが、何か塞ぐものがあるんですよね」

 その“塞ぐもの”が、作品によっては“憑依”とも思えるような芝居へとつながっているのかもしれない。アニメ、マンガ、小説、ゲーム……と、その世界観を広げていった『地獄少女』、初の実写映画化作品で、玉城さんが演じた閻魔あいは圧倒的な美しさと妖しさ、存在感を放っている。

「『地獄少女』はアニメからスタートして、マンガ、ドラマ……と、これまで本当にたくさんの閻魔あいが生まれ、愛されてきているわけですが、今回、演じさせていただいた映画版では、いい意味で、これまでの閻魔あいのイメージを良い意味で裏切りたいと思いました」

 アニメ、マンガのリアル世代ということもあり、自身も大ファンだったという『地獄少女』。演じる際には、「原作があるものは分析していくタイプ」だという。

「アニメ作品からは、声の出し方や立ち居振る舞いを参考にしました。原作や既存の作品には、脚本に書かれている以外の言動もちりばめられているので、そこから、”『あい』なら、こうするだろう、こうはしないだろう”という基準を読み取ったりしました。もちろん本作においては、白石監督の書かれた脚本が正解なのですが、脚本の前後でも物語は続いていると私は考えています。」

白石晃士監督とは二度目のタッグだ。

「脚本を読ませていただいた時点からすでに、白石監督の世界観、エッセンスがビンビンに伝わってきました。そこに自分を委ねられることが、とても心地よかった」

 怨みを晴らしてくれるというサイト<地獄通信>の都市伝説に沸く、女子高生たち。そのグループになじめず、浮かない表情の美保――彼女はやがて、閻魔あいにたどり着くことになるのだが……。現世でのストーリーも痛くて、切ない。

「学生時代って、美保のように、どこか孤独な気持ちになる方って多いのではないかなと思うんです。けれど人生って続いていくもの。自分の世界はそこだけに限定されているわけではない。美保は大好きなアーティスト・魔鬼のライブで、唯一無二の親友となる遥と出会う。そうして、ひとりの女の子の世界が、良い方向だけにではないにしてもどんどん広がっていく、という物語にはリアリティがあると思いました」

 魔鬼のコーラスのオーディションを遥と一緒に受ける美保。だが受かったのは遥だけ。やがて遥は美保に冷たくなり、様子がおかしくなっていく。魔鬼が企てる、恐ろしいあることを知った美保は、遥を助けるため、<地獄通信>にアクセスする。

「リアリティのある人間ドラマが色濃く出ている美保のストーリーと、閻魔あい、三藁が現れてくるファンタジックな世界とが、この映画では互いにいい要素になって織りなされています。怖いけれど、怖いだけではない。もちろん、ひとりでも映画館で観ることはできると思うのですが、やっぱり誰かと、感想を言い合える人と観登場人物の誰と自分の感情は近いのかなど、ぜひ語り合っていただきたいですね。」

(取材・文:河村道子 写真:山口宏之)

 

映画『地獄少女』

映画『地獄少女』

原案:わたなべひろし 原作:地獄少女プロジェクト 監督・脚本:白石晃士 出演: 玉城ティナ、橋本マナミ、楽駆、麿 赤兒ほか 配給:ギャガ 11月15日(金)新宿バルト9ほか全国ロードショー
●学校のグループに馴染めない美保は、アーティスト・魔鬼のライブで知り合った遥に魅了される。だが遥の様子が変わり始め……。閻魔あいの殺し文句が切なく響く、妖しく残酷な青春エンターテインメント。
(c)地獄少女プロジェクト/2019映画『地獄少女』製作委員会