夫婦のルールは決めない方がうまくいく! “サスティナブルな夫婦”でいる秘訣〈アーティスト・清川あさみ×脳科学者・中野信子〉

恋愛・結婚

公開日:2020/8/15

 アーティストの清川あさみさんのパートナーは同じくアーティストの名和晃平さん、脳科学者の中野信子さんのパートナーは同じく研究者の中野 圭さん。アーティスト同士と研究者同士という個性派夫婦、そしてどちらも「多忙」なのが共通するお二人に、「結婚」を続ける秘訣とは何かを聞いた。

夫婦のルールは決めないほうがうまくいく!?

――どちらもお忙しくされているお二人ですが、結婚生活をうまくやっていくためのルールは作っていらっしゃいますか?

中野信子(以下、中野):うちは特にルールは決めてないですね。実は決め事の少ない夫婦のほうがうまくいきやすいというデータもあるんですよ。決めないということは、「ちゃんと話し合える関係である」という前提が必要で、その関係があるからうまくいくわけです。幸いなんとか結婚生活10年になろうとしていますが、まさか結婚前は10年もひとりの人と私がうまくいくとはとても思っていなかったし、これはひとえにほとんど怒ったことがないという夫の人柄の賜物。私の努力ではありません(笑)。当たり前ですけど2人とも別の人間ですから、別ものであるはずのお互いの基準を知って、なるべく心地よく過ごせるようにしようと心掛けてはいます。せっかくひとりじゃなくて2人でいるんですから、2人でいて心地いい状態を作ろうとするのが大事なことなのかな、と思っています。

清川あさみ(以下、清川):うちは2人ともものづくりをしているし、2人とも仕事がすごく好きなので「譲り合い」と「切り替え」は大事にしていますね。それぞれの「作りたい時間」のためにどちらかが子どもをみるとか、そういう思いやりの重なりが大事なのかなと思います。ルールとか無理をしすぎるとか、そういうのが一番ダメになるんじゃないでしょうか。こうしなきゃいけないとか、こうしてほしいとか言ったって、お互い別の人間だし、人間って変わらないし、無理ですよね。だったら「楽しい時間の度合いを増やす」というのをお互いに意識するとすごく気持ちいい時間が流れ出すんだと思います。

――「ルールは決めない」のはお二人とも同じなんですね。

清川:そうですね。「何々してよ」とか毎回決められるのって、逆にいやじゃないですか? 縛り合うみたいで。改めて決めなくても、一緒に生活していくうちに自然と2人の中のルールみたいなものは出来ていきますし。

中野:決め事をすると何が悪いかというと、それを守らなかったときに相手を責める口実になってしまうんですよね。調査でもそれが溝を大きくする原因になるということが指摘されてます。決め事がかえって喧嘩のタネになるなら、あまり決める意味もありませんから、うちもやめておこうと。

――では、結婚を続ける上で自分自身が気をつけているポイントはありますか?

中野:夫はいろいろ要求してくる感じの人ではないんですが、結婚前に一度、私が自分自身のテーマにこだわらずにもっとラクな仕事をしようかとこぼしたとき、「僕はそういうことだと魅力を感じないかな…」と言われたことがあったんですね。また別のときには「以前、こういう人を紹介されたことがあった。その人は『なんでもない人』だった。僕は『なんでもない2人』になるのはイヤだ」と言っていたんです。この人は容姿とか女らしさとかではなく、女性の自立性というか、テーマをもって何かをやっている人が好きなのだということがわかって、なるべくそういうところは外さないようしようと自分を戒めているというのはありますね。

清川:私には仕事の顔と家庭の顔とたまたま両方ありますが、とりあえず楽しそうにやっているのがいいみたいですね。あとは私は喧嘩がきらいなので、何かありそうだなと思うとすーっと別の所に行って違うことをしたり、相手のタイミングをけっこうみていたり、無理しない程度に相手に合わせたりはしています。夫は口数は少ないし上手なことを言うタイプでもないのですが、言葉にしなくてもわかる行動をしてくれる人。そういうことには私もちゃんと返したいし、相手を思うとか気遣うというのは大事だなと思っています。

――お二人の根底に相手への信頼とリスペクトを感じます。相手へのリスペクトって長続きの基本、ですよね?

中野:これは、もはや前提条件だと思います。尊敬というか、相手の判断を信頼できるかどうかということになると思うんですが、「この人の判断は、人間としてどうなのか」と感じてしまう相手とそもそも24時間365日ずっと一緒にいる可能性がある、というのはかなりきついのでは……。信頼して尊敬する気持ちというのは、いわゆる恋心とはやや違って、一緒にいればいるだけ大きくなっていくものなんじゃないかと思います。

清川:リスペクトは絶対ですよね。相手を思いやる気持ちも含め、すべてリスペクトするわけで。ずっとリスペクトさせてくれる存在であってほしいと思いますね。

サスティナブルな夫婦の時代

――お二人とも夫婦の距離感がちょうどいい感じですね。ちなみにお付き合いの段階から結婚の段階になるまで、迷いなどはありませんでしたか?

中野:私は会ったときから結婚までは1年半くらいでしたが、付き合いはじめた頃から「結婚するならこの人かな」とは思っていたので、いざ結婚となっても迷いは特になかったですね。人間って最初の燃え上がるような恋の段階では、長期的なことを考える部分がいわばスイッチオフの状態の脳になっているんですよね。もちろんそのときの勢いで結婚するのもありだと思いはするんですが、この先本当に2人でやっていけるのかということはあまり吟味せずに突き進んで、その結果お辛い思いをされているという例も少なくないように見受けられます。だから少し気持ちが落ち着いてきて、長期的なことを考えるスイッチが再びオンになり、この人は本当に信頼できるかですとか、経済的な面や仕事の面なんかからも冷静に見られるようになってから決断されたほうが、長く続く夫婦関係が築きやすいのではないかなと思います。

清川:私の場合、スタート地点よりその先を見ていました。たとえば2人で一緒にビジネスするとか、子どもを育てるとか、そういう目的ができてチームを結成するのが「結婚」だと思っていたところもあって。だから子どもたちの誕生によってチームワークがより深くなって二重に楽しくなった感じはありますね。

――結婚するとニコイチの夫婦になってしまう、あるいはならなければと思う人もいそうです。お二人の「自立」した感じが気持ちいいですね。

清川:何でもニコイチってなんかわかります。逆に尊敬するかも、すごいって(笑)。でも、うちも2人の時間もずっと大事にしていて、いまもデートしていますよ。恋人みたいな感じでいて、そこに子どもが乱入してくる。そんな時間も面白い時間だと思っています。

中野:親の世代は完全にそういう時代に生きていましたね。だから自分は結婚できないと思っていましたし、そうじゃない時代になってホッとしています(笑)。もうどちらかがガマンして維持するという人間関係は、旧式なのかもしれない。いまはもっと「サスティナブルな夫婦関係」の時代なんじゃないかな。「自分と相手にとっていい形を模索した結果が、結婚だった。だから結婚した」でいいのではないでしょうか。

取材・文=荒井理恵

テストの点数より「非認知能力」が重要な理由とは? 清川あさみさん、中野信子さんに聞いた!

この記事で紹介した書籍ほか

ちかづいて はなれて わお!

著:
その他:
出版社:
パイインターナショナル
発売日:
ISBN:
9784756253767