【劇場公開中!】あふれる感情を繰り出す「楽しくも難しい役」を引き寄せた、解釈と洞察――特集『BURN THE WITCH』④:早見沙織インタビュー

アニメ

公開日:2020/10/8

BURN THE WITCH
『BURN THE WITCH』10月2日より、全国35館にて2週間限定イベント上映、「Amazon Prime Video」「ひかりTV」にて同日独占配信開始 (C)久保帯人/集英社・「BURN THE WITCH」製作委員会

 最高にワクワクする、新たなコミック&アニメが誕生! ダ・ヴィンチニュースは、5人のメインキャストへのインタビューを含む特集で、『BURN THE WITCH』をガッチリ追いかけたい。全世界での累計発行部数が1億2,000万部を記録したマンガ『BLEACH』。その傑作を生みだした久保帯人が満を持して世に放つ新作が、魔女とドラゴンの物語『BURN THE WITCH』だ。本作は、週刊少年ジャンプで2020年に全4話でシリーズ連載され、10月からは劇場版中編アニメとして全国の映画館でイベント上映されるという、ビッグプロジェクトでもある。

 キャストインタビューのラストとなる第4弾は、ニニーと同じガールズグループ「セシルは2度死ぬ(セシル・ダイ・トゥワイス)」で活動していたメイシー・バルジャーを演じる、早見沙織に話を聞いた。すでにコミックを読まれた方はご存じかと思うが、メイシーの登場シーンには、端的にものすごいインパクトがある。ものの数分の間にあらゆる感情を吐き出す彼女は、おそらく演技者にとってやりがいがあると同時に、難しいキャラクターでもあるのだが、その複雑な内面を、早見の演技が鮮やかに映し出している。ぜひスクリーンで確かめてみてほしいし、映像を観た上で読んでいただけると、メイシーというキャラクターへの解釈が深まるテキストになったと思う。

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メイシーとして『BURN THE WITCH』の世界にいられることが嬉しかった

――『BURN THE WITCH』、、観ていて本当にワクワクする、素晴らしい作品ですね。『BLEACH』の著者である久保帯人さんの新作がこの『BURN THE WITCH』なわけですけど。久保さん作品にはどんな印象を持っていましたか。

早見:わたしが子供のときに『BLEACH』が始まって、当時から大人気だった印象があります。中学に入って仕事が始まっていたので、完結までは読めていないですが、子どものときに触れていたし、アニメも観ていて、久保さんならではの独特な世界観があるのかなって思います。唯一無二の感じがありますよね。今回の『BURN THE WITCH』も、『BLEACH』のときからつながる関連性が感じられて、設定が面白かったり、世界観の部分でとても特殊だなって思います。あとはやっぱり、キャラクターがみんな魅力的ですよね。いい意味ですごくリアル感があるというか、今回皆さんのお芝居を聞いてるからかもしれないですけど、なんかがありそうって思わせてくれるようなキャラクターの魅力があるなって思います。

――仕事を始める前、プロになる前に親しんでいたとすると、早見さんにとって久保さんはある種レジェンド的な存在ですよね。そんな久保さんの作品に出ることになって、どんなことを感じましたか。

早見:やっぱり、嬉しかったですね。この世界の中に入って、自分が一員となってお芝居をする、作品を作る一端となれるのは、すごく嬉しいことだな、と思いました。オーディションも、「すごい作品なんだろうな」って感じるような、厳かなオーディションでした(笑)。そこに、先生もいらっしゃったんですよね。そのときは久保さんのお顔を知らなかったので、現場に行ってご挨拶をさせていただいて。

スタッフ:早見さんのメイシー役は、久保先生も監督も、全員が一言目で「あっ、早見さんだ」って言ってました。ほんとにビックリするくらい、全員が満場一致で。

早見:ええ~っ!? 嬉しい(笑)。ありがたすぎます。でも、難しかったんですよね。オーディションのときはすごく緊張しました(笑)。メイシーはいろんな性質を持っているから、オーディションが終わったあとも、「ここ、もうちょっとこうしたらよかったかな」って、いろいろ考えたりしました。そうやって考えた分だけ、「決まりました」って連絡をいただいたときは嬉しかったです。

――コミックも読みました?

早見:読みました! 面白かったです。あと15巻くらい出てほしいって思います(笑)。それくらい出てるのかなって思うほど、勢いと安定感があって。メイシーは、読み切りの中ではそこまで出てきていなくて、台本やオーディションの原稿を読んで、「どうなっていくんだろう?」と思っていたので、現場で久保さんや監督に、「メイシーってどういう立場になっていく人なんですか?」「身近で協力する存在になるのか、それとも、ものすごい悪役になったりするんですか?」とか、いろいろ伺いました(笑)。表現の幅がすごく広い役柄なので、マイクの前に立ち甲斐がありますし、アフレコもすごく楽しかったです。掛け合いでどんどん変わっていくキャラクターでもあり、ひとりで暴走できるキャラクターでもあり、基本的に役作りに関しては、とても自由にやらせていただいたので、メイシーとして『BURN THE WITCH』の世界にいられることが嬉しかったです。

――実際、メイシーはほんとにインパクト絶大なキャラですよね。

早見:そうですね。最初は、すっごくおとなしく見えますけど(笑)。

――ニニーが向かっていって、スッと陰から現れる3秒間くらいの、圧倒的な悪役感には驚きました。

早見:ありますね、悪役感。

――思い切り悪役のオーラをまとって登場し、直後にニニーに対してデレる。そして、のえるに嫉妬して絶叫し、号泣する。忙しすぎでしょ、この人っていう。

早見:喜怒哀楽が、ギュッと詰まってますね。

――登場シーンのおそらく1、2分の間に、今言ったことが全部起きるじゃないですか。これは、やっていて楽しくもあり、難しくもあるお芝居だったりするのかな、と。

早見:そうなんですよね。けっこう情緒が不安定なところがあったりするので、溜めて溜めて、溜めたかと思ったら次のシーンでは号泣してる、みたいな山場が最初にあったりして。そこが、この作品の切り替えのテンポがよくて面白いところでもあるんですけど、お芝居をしていると、そこをどう滑らかにつないでいけるのかなあ、と考えながら、田野(アサミ。ニニー役)さんとの掛け合いの中で、上手に気持ちの流れを作っていけたらいいなあって思いました。

――たとえば、普通のアプローチなら曲線を描いて感情が上がったり下がったりするとしたら、メイシーの場合、感情の点がいくつかあって、そこに飛んでいくイメージがありますよね。

早見:そうですね。わりと、ポンポンポンって移動するところはありました。そこの面白さを一番に引き出しつつ、無理なきようにできていたらいいなあ、と感じてます。

――早見さんは、メイシーをどういう人物だと解釈していたんでしょう。

早見:やっぱり、いろんな意味で繊細ですよね。たくさん感情を溜めるけど、一方では出す、みたいな。溜めることに終始していなくて、爆発するときは、わりと本人もコントロールできていないところがあるのは面白いです。意図して、自分でわかっていて、喜怒哀楽の激しさを表に出しているのではなくて、たぶん本人の通常のテンションは、穏やかで静かに生きているところもあると思います。少し引っ込み思案で、自分に自信がない部分はあるんですけど、内に籠もっていろいろ考えるときって、感情を外に出すときの量がわからなくなったりするじゃないですか、ずーっと内側でいろんなことを考えて、いろんな葛藤を抱えてモヤモヤしている人って、たぶんスルッと外に出すんじゃなくて、自分が思っている以上のものをうっかり出しちゃったりすることもあるのかなって。その、コントロールが自分でつけられてない感じが、彼女の内側の繊細な感じにつながっているのかな、という気がします。

――たとえば、怒った直後に号泣してるということは、いったん怒りの感情は抜けている、というとらえ方になるんですか。

早見:そうですね。そこが面白いところだと思います。感情の昂ぶり方は、とても大きい人なのかもしれないですね。それによって、怒ってるけども、あり余る莫大な感情が怒りになったかと思えば涙になって、かと思えばニニーちゃんへの愛情になることもある。なんだろう、感受性が豊かな人、なのかな。

――メイシーがニニーに注ぐ愛情については、どういう背景を想像してましたか? ガールズグループで一緒に活動していた、ということ以外は、まだコミックでも描かれていない部分ですけど。

早見:これは、あくまで個人の妄想ですけど――わたしは、ニニーちゃんと接していて心を動かされるなあ、と思ったし、ニニーちゃんにはその力があるな、と思いました、メイシーに向かって、ニニーちゃんが背中で語るシーンがありますが、たぶんその時のことは、メイシーの心にすごく刺さったと思うんですよ、ああいう心の動かし方を、ニニーはグループで活動しているときも無意識にやってきたんだと思うし、そうやって言葉で伝えられるニニーちゃんは、メイシーにとってすごく眩しい存在でもあると思うし。シンプルに、憧れますよね。自分の心を動かしてくれる存在なんだろうなって思います。「めんどくせえ」って言いながら、見捨てないでいてくれるところにも愛情を感じるし、メイシーにとっては甘えられる部分もあるんでしょうね。

――メイシーは感情的に不安定な人物ですけど、彼女は何によって支えられていると思いますか? ひとつはニニーという精神的支柱がありつつ、何がメイシーの行動や発言の元になっているのか、という。

早見:その中に、ドラゴンのエリーがいたんじゃないですかね。なんだろう、「自分だけのもの」ってあるじゃないですか。特にメイシーはそういう存在を求めるタイプというか、自分だけの特別、自分が特別になった気持ちにさせてくれる何か、という意味で、エリーに対してすごく思い入れを注ぎ込んでたところがあると思います。自分には何もないって思っているからこそ、エリーの存在がすごく多く入り込んできたところはあるのかなって思いますね。もしかしたら、思い込みも強いタイプなのかも。「こう」って思ったら、そこにあまり疑いを持たないし、だからエリーが自分の救世主だ、みたいな。でも、メイシーはフロント・ロンドンの中でも魔力は強くて、ある種選ばれた能力の持ち主だから、その感じはいいなあって思いました。自分には何もなくて、エリーという自分を特別にしてくれる存在がいて、それ以外ないと思っていたけど、そもそも彼女が持っている能力自体が強い個性なので。

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映像を観てまず感じたのは、「ロンドン、カッコいい」でした(笑)

――この作品には素晴らしいキャラクターが揃っていて、キャストも実力者が揃っている印象があるんですけども、収録をしていて面白いと感じたシーンについて教えてください。

早見:いろいろありますね。一堂に会して収録できることって、最近ではなかなか難しいですが、メインキャラクターがそこまで多くなかったこともあって、みんなで一緒に録れたんですよ。その中でも、田野さんとご一緒できたのが久々で。以前、レギュラーでしっかりご一緒させていただいて、すごく素敵なお芝居をされる方だし、ご本人もインパクトが強いというか(笑)。現場を、すごく明るいエネルギーにしてくださる方なんですよね。

――田野さんは、チャキチャキしてますよね。

早見:そうなんです、チャキチャキしている感じで、姉御感もあるし、真剣100パーセントでぶつかってくれる感じがあるので、隣で掛け合っていたニニーとのシーンは楽しかったです。あとは、小林(親弘)さんが、(ドラゴンの)リッケンバッカーと会話しているシーンも、カッコいいなあ、と思いながら、後ろから見ていました。

――まず、ドラゴンの名前がリッケンバッカーって時点でカッコいいですよね。

早見:そうなんです、まず名前がカッコいいですよね。あと現場では、常にみんながオスシちゃんのかわいさで持ち切りでした(笑)。

――(笑)ひとついいアニメの条件として、キャラクターのわかりやすさってあるんじゃないかと思います。特に『BURN THE WITCH』の場合、出てきて5秒でどんなヤツなのか、なんとなくわかるじゃないですか。チーフが出てきたら「あっ、緩い人なんだな。でも、たぶんこの人強いんだろうな」みたいな。

早見:確かに、みんな伝わりやすいかもしれないです。キャラクターが立ってますよね。

――早見さん的に、メイシー以外の推しキャラは?

早見:推しキャラかあ、う~~ん、悩むなあ。やっぱりリッケンバッカーは推しなんですけど――カッコいいから(笑)。バルゴも、いいキャラですよね。みんながバリバリ戦って、戦闘シーンも派手にやっている中で、ひとりちょっとビクビクしてたり(笑)、けっこうコミカルなシーンを担当してくれているところがあるので、見ていて和みます。オスシちゃんとの掛け合い――掛け合いっていうのかな? オスシちゃんを想っているところもかわいいし。メイシーが重い語りをしている手前のカットだったかな、バルゴとオスシちゃんがほのぼのやっているシーンがありましたが、その対比というか。同じカットの中で、奥でメイシーが重いことを言っていて、手前でバルゴとオスシちゃんが戯れていたところで、「このギャップを出せるのはすごいな」って思いました。プラスとマイナスが同居している感じ、いるだけで画面を変えてくれる、というか。メイシーだけのシーンなのか、手前にバルゴの姿があるのかで全然見え方も変わってくると思うので。

――完成した映像をご覧になって、どうでした?

早見:カッコいいな、と思いました。まず最初に感じたのは、「ロンドン、カッコいい」でした(笑)。街並みの絵がほんとにきれいでしたね。ああいう街が、実際にあるのかな?

――監督は、ロンドンとエディンバラにロケハンに行ったって話してましたね。

早見:へえ~。だからあんなにリアルなんですね。あの世界に、すごく行きたくなりました。色合いもカッコいいし、制服の感じもどこか海外っぽいし、アニメの中の世界の色合いにも、ちょっと異国風情が漂っているじゃないですか。あと。タイトルの出方がカッコいいし、ズルいなって思いました(笑)。

――(笑)平田広明さんも、タイトルについて言及してましたよ。

早見:だって、あんなふうに出ちゃったら、いろいろ意識しちゃうじゃないですかっていう(笑)。全体的に、異国感があってカッコよかったですね。

――劇場上映されるアニメーションで『BURN THE WITCH』を観る方に、特に楽しみにしてほしいポイントとは?

早見:戦闘シーンじゃないですかね。映像にスピード感がありますし。あとは、音楽もカッコよかったですね。劇伴も華やかだし、でも日常のシーンの音楽はわりと落ち着いていて、そっとそこにいてくれると、主張しすぎない感じになっていて、メリハリがある感じだなあ、と思いました。気がついたら作品に引き込まれている、みたいな空気を持っているストーリーであり、演出だなって思います。1カット1カット、全部こだわり抜かれてる感じがあるので、楽しみにしていただきたいです。

取材・文=清水大輔

作品HPはこちら


早見沙織(はやみ・さおり)
2007年に声優デビュー。出演作に、TVアニメ『魔法つかいプリキュア!』(花海ことは/キュアフェリーチェ役)、『魔法科高校の劣等生』(司馬深雪役)、『鬼滅の刃』(胡蝶しのぶ役)、『ドラゴンクエスト ダイの大冒険』(レオナ役)など。

BURN THE WITCH

『BURN THE WITCH』Blu-ray コレクターズエディション(初回限定生産)
上映劇場では、10月2日(金)の上映当日より先行販売。
A-on STORE、プレミアムバンダイ内A-on STORE支店では、12月24日(木)より発売。
価格:10,000円(税込)

この記事で紹介した書籍ほか

BURN THE WITCH 1 (ジャンプコミックス)

著:
出版社:
集英社
発売日:
ISBN:
9784088824284