スヌーピーを演じる!? 中川晃教「最初はびっくりしました」――ミュージカル『きみはいい人、チャーリー・ブラウン』《インタビュー》

エンタメ

公開日:2021/3/15

本記事は、雑誌『ダ・ヴィンチ』4月号からの転載です

中川晃教さん

 ミュージカルで魅力的なのはヒーローだけじゃない! ヒロインから超有名犬の役まで、2021年東宝注目作品に出演するキャストにお話をうかがいました。

「やっと再演が決まったのか、という感慨でいっぱいです」と中川さんが語るミュージカル『きみはいい人、チャーリー・ブラウン』は、世界でいちばん有名な犬・スヌーピーが登場するチャールズ・M・シュルツのコミック『ピーナッツ』が下敷きになっている。中川さんは2017年にも同舞台でスヌーピーを演じているのだが。

「どうやって舞台化するの? って思いますよね(笑)。僕も最初はびっくりしました。でもね、実はこれほどミュージカルらしいミュージカルはないんですよ。とある一日、という流れはあるけれど、物語に大きな起承転結はなく、原作どおり、子どもたちの日常がただゆるやかに流れていくだけ。断続的なエピソードを繋ぐのが歌であり音楽なんですが……。その流れに身をゆだねていると、いつのまにか子どもたちの思考がなだれこんでくる。いや、ちがうな。僕たちが、子どもたちの“中”に入っていくのかな。ふだん、そんなのあたりまえでしょ、と思ってやりすごしている小さな悩みや喜びを、頭でっかちで悩みがちなチャーリー・ブラウンをはじめとする個性豊かな子どもたちが全力で味わっている姿を通じて、些細な日常にこそ幸せは潜んでいるのだと気づかされる。その演出手法が絶妙なんです」

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 そのなかでただ一人(匹?)、犬として存在する中川さんは、いったいどんなふうに演出されるのだろう?

「前回は、こんなに自由にやらせてもらっていいのかというくらい、のびのびと犬になりきりました(笑)。飼い主と心を通じあわせ、友達として信頼関係を築いてはいるけれど、根っこには野生の本能がたぎっていて、人間にはコントロールしきれない部分がある。そういう性質が、自分でも思っていた以上に舞台に立ったとき出てしまったんですよ。たとえば、いつも理路整然としていてこまっしゃくれたルーシーにかみつく場面があったんですけど、それ、実は台本になくて。シュローダーの世話を焼いてえらそうにしている彼女を見ていたらむくむくと『俺のほうがすごいんだぜ!』って気持ちになっちゃったんですよね。かみついた瞬間、『このバカ犬!』って叫んでみせたルーシーの素の顔もすごくよかったなあ。ごはんを食べる喜びだけを歌う曲とかもあるんですけど、人間として存在しているときとは違う感覚を解放して演じられるのはすごく楽しいですし、その知名度から僕の名刺代わりにもなった役なので、ふたたび演じられるのは嬉しいですね」

 デビュー20周年を迎える今年の始まりを飾るにふさわしい演目だ。

「そうですね……。僕はこれまで、天草四郎やモーツァルト、フランキー・ヴァリといった、才能はあるけど悲劇を背負うような役を求められることが多くて。それはそれで『あなたにしか演じられない』と言っていただけることもあるから嬉しいんだけれど、同時に、もっと何にだってなれる役者になりたい、という想いもあるんです。昨年のコンサートツアーで、ハッハッとごはんを待つドッグブレスを使いながらスヌーピーの曲を歌いあげたとき、舞台を観たことのないお客さんも『何が始まるんだろう?』とわくわくしてくださるのを感じて。歌と芝居が融合した唯一無二のパフォーマンスを、驚きとともにお客さんに提供していけたらなと思います」

中川晃教
なかがわ・あきのり●1982年、宮城県生まれ。2002年、日本初演となるミュージカル『モーツァルト!』の主演に抜擢・高評価され、以後、音楽活動と並行して数々の舞台に出演。『ジャージー・ボーイズ』のフランキー・ヴァリ役で菊田一夫演劇賞などを受賞。

取材・文:立花もも 写真:小嶋淑子
ヘアメイク:松本ミキ スタイリング:KAZU(World Styling)

ミュージカル『きみはいい人、チャーリー・ブラウン』

ミュージカル『きみはいい人、チャーリー・ブラウン』

原作:チャールズ・M・シュルツ著 コミック『ピーナッツ』より 
脚本・音楽・詞:クラーク・ゲスナー 追加脚本:マイケル・メイヤー 追加音楽・詞:アンドリュー・リッパ 訳詞・演出:小林 香

出演:花村想太、岡宮来夢、宮澤佐江、林 愛夏、植原卓也、中川晃教
東京公演:3月30日(火)~4月11日(日) 日比谷シアタークリエ 
大阪公演:4月15日(木)~18日(日) サンケイホールブリーゼ 
愛知公演:4月20日(火) 日本特殊陶業市民会館ビレッジホール 
長野公演:4月23日(金) 長野市芸術館メインホール
製作:東宝

心配性で不器用なチャーリー・ブラウン。おせっかいで怒りっぽいルーシー。哲学的だけど毛布が手放せないライナス。ベートーベンを愛する天才音楽家のシュローダー。わがままでちゃっかり者のサリー。子どもたちに囲まれて空想にふけり、ごはんを待ちわびる犬のスヌーピー。その日常に潜む幸せとは。

*新型コロナウイルス感染症の影響にともない、公演スケジュールが急遽変更となる場合がございます。事前に公式サイトをご確認ください。

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