「始めやすさを第一に」チャンネル登録者数13万人超! 人気農業系YouTuber宮崎大輔の伝える力と人間力

暮らし

公開日:2021/10/28

キッチンからはじめる! 日本一カンタンな家庭菜園の入門書 おうち野菜づくり
『キッチンからはじめる! 日本一カンタンな家庭菜園の入門書 おうち野菜づくり』(宮崎大輔/KADOKAWA)

 登録者数13万人超(2021年10月時点)のYouTubeチャンネルを運営し、農家にアドバイスをする農業のプロ、農業コンサルタントとしても活躍する宮崎大輔さん。2021年10月14日に上梓した初著書『キッチンからはじめる! 日本一カンタンな家庭菜園の入門書 おうち野菜づくり』(KADOKAWA)は、「めちゃくちゃわかりやすい!」「やってみたくなる」と大きな反響を呼んでいる。

 本書は、再生栽培に特化した家庭菜園入門書になっている。再生栽培とは、野菜の切れ端などからもう一度野菜を収穫する栽培方法であり、自宅でできる趣味として人気急上昇。満を持しての出版となった。農業の専門家である宮崎さんが、超初心者に向けた本を執筆した理由とは? その思いを通して、宮崎さんが磨いてきた伝える力や人間力に迫る。

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宮崎大輔さん。2018年からYouTube活動を始め、農業系YouTubeにおけるトップランナーのひとり
宮崎大輔さん。2018年からYouTube活動を始め、農業系YouTubeにおけるトップランナーのひとり

初心者でもやってみたくなる! 野菜の育て方をイラストで解説

――家庭菜園本の中でも、再生栽培に特化していること、今まで植物を育てたことがない超初心者に向けた本であることが特徴的ですね。この本を出版することになった経緯を教えてください。

宮崎大輔さん(以下、宮崎):私の運営しているYouTubeチャンネルでも、再生栽培に関する動画はとても反響があります。いくつか動画をアップするうちに、家庭菜園の中でも再生栽培に特別強い関心を持つ人は、元々野菜作りにそれほど興味がなかったり苦手意識があったりするのではないかと気が付きました。本書は、家庭菜園の本なのにあえてそこをターゲットとしています。ちょっと変わっているけれど意義のあることだと感じ、出版することになりました。

――構成や内容について、どのような点にこだわったのでしょうか?

宮崎:とにかく始めやすさを第一に考えています。野菜の切れ端を水に浸けるだけでできる簡単なものから、家庭菜園上級者でも苦戦するような難しいものまで、全41種類の野菜に難易度を設けて紹介。少しずつステップアップできるように構成しました。野菜ごとに育て方はいろいろありますし、こだわれば細かな工程も出てきます。複雑になると初心者には難しいので、この本ではできるだけシンプルで失敗の少ない方法を選んでいます。

わかりやすく野菜の育て方を紹介
イラストを多用し、わかりやすく野菜の育て方を紹介している
イラストを多用し、わかりやすく野菜の育て方を紹介している

――野菜を育てるための実用書でありながら、ちょっとしたコラムがたくさん差し込まれており、読み物としても楽しい本ですね。

宮崎:読者は家庭菜園がものすごく好きな人ばかりではないからこそ、こういうコラムがおもしろいかと思いまして。初めて育てた野菜のエピソードや、中米で普及活動をした時の思い出なども少しだけ紹介しています。

中米での活動は、当時の写真も合わせて紹介
青年海外協力隊の活動として行った中米での活動は、当時の写真も合わせて紹介
青年海外協力隊の活動として行った中米での活動は、当時の写真も合わせて紹介

海外での普及活動やYouTubeを通して磨いた伝える力

――中米で野菜栽培の普及活動をしていたのですね。言葉が違うと伝えるのも大変なのでは?

宮崎:そうですね。私は青年海外協力隊の活動として2年間、中米のパナマで暮らしていました。農業隊員として、学校菜園で野菜栽培を教えることが任務です。コミュニケーションはスペイン語ですが、まず村人に受け入れてもらうことが大変でしたね。

――どうやって打ち解けたのでしょう?

宮崎:大人と仲良くなる方法は、とにかくお酒を飲むことでしたね。一緒に酔っぱらうことで、だんだんと打ち解けていくことができました。

 子どもと仲良くなるためには、折り紙がとても役立ちました。羽根が動くツルなど、動きのある作品は大人気でしたよ。折り始めると子どもたちがたくさん集まってくれました。

――野菜栽培を教えるといっても、日本とは違って難しい点もたくさんあるのでは?

宮崎:私が赴任したのはパナマの山奥で、ほとんど現金収入のない村でした。現金収入がないので、タネを購入することができません。そこで、再生栽培を教えることにしたのです。暑い地域でも育てやすく、葉や茎を水に浸けるだけで根が生えるクウシンサイやツルムラサキを育て、普及活動を行いました。今思い返しても、こんなに大変だったことはありません。言葉が通じて、同じ価値観を共有できることの重要性を実感しました。

――価値観を共有しようと寄り添う姿勢は、YouTubeを拝見していても感じました。

宮崎:視聴者の皆さんが動画の感想やリクエストをコメント欄に書き込んでくださるので、それはすべてチェックしています。そして、視聴者の望んでいることを、ストレートにそのまま伝えるだけではなく私ならではの切り口を加えて紹介していくことを心がけています。

いつも動画を撮影しているスタジオ
いつも動画を撮影しているスタジオ

取材・文=エディマート、大川真由美 撮影=神保達也

【著者プロフィール】
宮崎大輔
1988年生まれ、長野県出身。農業コンサルタント。実家は果樹園を経営。信州大学大学院農学研究科修士課程修了。青年海外協力隊として中米パナマ共和国で農業支援に従事。2019年に農業コンサルティング企業「イチゴテック」を創業、日本、アジア、中南米、アフリカで農業ビジネスの支援を行う。YouTubeでは「趣味の園芸からガチ農業まで」をテーマに、幅広い分野の植物に関する情報を発信し、チャンネル登録者数は13万人を突破(2021年10月現在)。
YouTube:Daisuke Miyazaki
Twitter:@JIBURl
Instagram:@yasai_garden

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