神尾楓珠「人間関係で悩むこともあった高校時代、一気読みした作品です」

あの人と本の話 and more

公開日:2021/11/20

NOAさん

 毎月3人の旬な有名人ゲストがこだわりのある一冊を選んで紹介する、ダ・ヴィンチ本誌の巻頭人気連載『あの人と本の話』。今回登場してくれたのは、神尾楓珠さん。

(取材・文=松木智恵 写真=TOWA)

普段はザ・少年漫画の熱いバトル系を読むことが多いという神尾さんが選んだのは『聲の形』。耳の聞こえる少年と耳の聞こえない少女の出会いを軸に、いじめや友情、恋愛など学校生活の中で起こるリアルな人間関係を真正面から描いたコミックだ。

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「高校生の時に友達から勧められて読みました。最初は『うわぁ…キツい話だな』と思っていたんですけど、なぜか一気読みしちゃって。今も全巻、持ってます。ヒューマンドラマの漫画で唯一、自分の家の本棚に並べている作品ですね。特に忘れられないのは、耳の聞こえない硝子が手話を使わずに『好き』って言ったのに、将也には『月』としか伝わらなかったシーン。読んでいて泣いてしまいました」

高校生の頃の神尾さんは、この物語の登場人物たちに自分を重ねた。

「僕も当時は周りの目を気にするタイプで、人間関係で悩むこともありました。あの頃の友情って、不用意な一言で簡単に終わっちゃうことがあるじゃないですか。何で変わるか分からない。今もあり得ることではありますけど、あの時はそれが一番怖くて。『嫌なことを言っちゃったかもしれない。どうしよう』って、夜中に考え込んでしまっていましたね」

そんな10代の繊細な心の揺れ動きを描くのは、神尾さん主演の映画『彼女が好きなものは』も同じ。ここで神尾さんが挑んだのは、自分がゲイであることを親にも同級生にも言えずにいる高校生の純だ。

「なかなか触れることのなかった題材なので、最初はどう役を捉えていいか全く分からなくて。でも感情だけで見たら、純は恋愛をしているだけ。周りの空気を壊したくないから本心を言えずにいるところも昔の自分に通ずるなと思ったので、そこを大切にして演じようと思いました」

ひょんなことからBL好きの同級生・紗枝(山田杏奈)と接近した純は、「いつか自分も家庭を持ちたい」という願いのために同性の恋人・誠(今井翼)との関係を続けつつ、紗枝との交際もスタート。だがやがてその関係性に、ひずみが生まれ…。

「僕はこの物語を知った時“そもそも普通って何だろう?”と思ったんです。あと純のセリフにも出てくる『世界を簡単にしたくない』という言葉が心に残って、いろいろなことを考えるきっかけにつながりました。映画を見てくださる方にも、終わった後に何か心に残っているセリフがあったら、その言葉について考えてみてもらえたらいいなって思います」

ヘアメイク:MAKI スタイリスト:寒河江 健 衣装協力:ジャケット4万7300円、シャツ3万3000円(全てタクタク/スタジオ ファブワーク)(税込)

かみお・ふうじゅ●1999年、東京都生まれ。2015年の『24時間テレビ 〜愛は地球を救う』内のドラマ『母さん、俺は大丈夫』で役者デビュー。19年の『左ききのエレン』で連ドラ初主演を飾る。現在は主演ドラマ『顔だけ先生』が放送中のほか、22年には主演映画『20歳のソウル』の公開も控える。

あわせて読みたい

映画『彼女が好きなものは』

映画『彼女が好きなものは』

原作:浅原ナオト(『彼女が好きなものはホモであって僕ではない』角川文庫) 監督・脚本:草野翔吾 出演:神尾楓珠、山田杏奈ほか 配給:バンダイナムコアーツ、アニモプロデュース 12月3日(金)全国ロードショー
●高校生の純(神尾楓珠)には年上の恋人・誠(今井翼)がいるが、周囲にはゲイであることを隠していた。そんな中、純はクラスメイトの三浦紗枝(山田杏奈)がBL漫画を買っているところに遭遇。2人は接近し、純を好きになった紗枝は告白をする。
(c)2021「彼女が好きなものは」製作委員会

この記事で紹介した書籍ほか

聲の形(1) (講談社コミックス)

著:
出版社:
講談社
発売日:
ISBN:
9784063949735