現代人必読!? “論理的思考”が学べるマンガが人気

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公開日:2012/11/28

 ますます複雑化する現代社会、物事を論理的に考え論理的に解決したい。そんな欲求に応えるためか、ビジネス書を中心に論理的思考にまつわる本が多数出版されている。そして、実は今、その論理的思考がマンガにおいても人気を得ているのだ。

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 競技クイズの世界を描いた『ナナマル サンバツ』(杉基イクラ/角川書店)や、津隠問答(つがくしもんどう)と呼ばれる知恵くらべが流行っている中学校を舞台にした『論理少女』(つじ 要/講談社)など、論理的思考を使ってクイズやゲームに挑むものがたくさんある。そんなクイズやゲームにはもちろん、普段の生活でも活用できちゃうような論理的思考の基礎を身につけられる作品があるのだ。それが『妹のジンテーゼ』(紺野比奈子:著、十全文博:原著/集英社) である。主人公の智恵は、幼い頃から兄に論理的思考を叩き込まれたため、なんでも論理的に考えるクセがついてしまった。

 たとえば、入学初日から遅刻して担任の先生に呼び出された智恵は、反省文を免除する代わりに「1から100までの数字を全部足すといくつになるでしょう?」という問題を出題される。その問題に1分以内で答えろと言われた時、彼女は1分以内という条件から「これは1分以内で解ける方法があるのだろう」。そして「その方法は意外なものなのだろう」と推測した。この問題はその方法に気づけるかがポイントだと思い、答えを導き出そうとするのだ。『妹のジンテーゼ』では、こんなふうにその問いの意図や条件などから論理的に解決しようとする。そんな作品から、実際に使える論理的思考の基礎を紹介しよう。

 まずは“フシギの法則”と言われる、問題を解決するときに使う3つの法則から。これは幼い智恵が、迷路で迷ってしまった時に兄から教えられたものだ。「フ」は物事を上から見下ろしてみる俯瞰のこと。迷路の場合は上から見るイメージをすると、ゴールまでどう行けばいいのかわかる。そんなふうに、何かを解決するときは一旦距離を置いて全体を見渡すことが大切なのだという。そして、「シ」はしらみつぶしの「シ」。迷路では右の壁に右手をあてて歩くと多少時間はかかるが、必ずゴールへたどり着けるように、端から順番に解いていく、片っ端からいろんな方法を試してみると、解決することができるのだ。最後は逆算の「ギ」。地図を見て、ゴールからスタートへの道順をたどってみる。受験なんかの時も、志望校に合格するためには、どれくらい勉強する時間が必要なのか逆算してみる。この3つの法則を使えば、今自分が抱えている問題に対してどう対処すればいいのかわかるかもしれない。

 また、自分の脳内をより効率的に活用するための“幻の記憶術”なんてものもあるのだ。人間の脳は語呂合わせや例え話のように、連想するのに適した構造をしているそう。そして、自分の家や学校のように馴染みのある「場所を記憶する力」も強い。そこで、そんな場所と記憶を結びつけて自分だけの「空想の図書館」を作るというのだ。記憶を取捨選択し、文系理系やマンガ、料理のようにジャンルごとに分類していく。そして、記憶を思い出すときに困らないようにするため、よく使うものは取り出しやすい場所、似たものは近い場所に置くようにレイアウトしてきれいに収納していくのだ。なんだか最近物を覚えられない、思い出せないという人は、一度この方法で頭の中を整理し直してみては?

 一見難しく思われがちな“論理的思考”だが、こんなふうに身近な例を混じえながらマンガで見ていくと楽しく身につけられるかもしれない。