古事記から百人一首、枕草子まで……古典新訳マンガが花盛り

2013/1/3

 何百年にもわたって読まれ続ける古典作品には、やはりそれだけの魅力があるもの。だけど、古文ならではの言葉遣いを原文でそのまま読むには、それなりの知識と慣れが必要になってくる。そんななか、増えているのが手軽に古典の世界に触れさせてくれる“古典マンガ”だ。

 古典マンガといえば、『あさきゆめみし』(大和和紀/講談社)のように源氏物語などの物語が題材になることが多かったが、最近ではより多くの作品がコミカライズされている。特に2012年は古事記成立1300年のアニバーサリーイヤーだったこともあり、多くの古事記マンガが登場した。なかでも話題を呼んだのは、『夕凪の街 桜の国』(双葉社)などで知られるこうの史代がボールペンで描いた『ぼおるぺん古事記』(平凡社)だ。本作はやわらかく、見ているだけでも楽しい絵柄で古事記をビジュアライズしている一方で、テキストは原典を活かしているのが特徴。絵と解説が加わることで、原文の響きを楽しみつつ、きちんと物語を追うこともできるのが嬉しい。

 このほかにも、恋愛のエピソードに焦点を当てた『恋スル古事記』(近藤ようこ/角川書店)や、コメディテイストのウェブマンガ「もげやま日本神話」を単行本化した『超楽! 古事記 国生みから日本建国までマンガで読む歴史書』(庭猫もる/角川書店)など、古事記は好みに合わせてさまざまな切り口の作品が選べる状況だ。

 また、物語形式ではないものもマンガになっている。アニメ化もされた『超訳百人一首 うた恋い。』(杉田 圭/メディアファクトリー)は、タイトルにもあるとおり、百人一首の世界をマンガにした作品。小倉百人一首の選者である藤原定家をナビゲーターとして、恋の和歌と、それを詠んだ歌人たちの恋物語を現代風のマンガに仕上げている。

 古典文学をさらにダイナミックに再解釈したのが『春はあけぼの 月もなう 空もなお』(サメマチオ/宙出版)。こちらは「春はあけぼの〜」の一節でも有名な古典随筆・枕草子を題材にしているのだが、単純に現代語訳するのでなく、枕草子の文章を現代日本に当てはめてマンガにしている。1人の女性の生活を中心に、原文とともに現代社会の生活を描くことで、1000年以上昔の日本と現代日本の四季や人々の暮らしをつなぎ合わせており、より古典の世界を身近に感じさせてくれる1作だ。

 古典文学を読んだことがない人はもちろん、原文を読んだことのある人も、マンガで読むことで作品世界を再発見することもできるはず。この機会に古典の世界に触れなおしてみるのもいいのでは?