“ほこ×たてBL”!? 雨男と晴れ男が出会ったらどうなる?

BL

公開日:2013/3/22

 どんなものでも貫く矛とどんな武器でも貫けない盾。そんな相反するものを戦わせる人気バラエティ番組『ほこ×たて』(フジテレビ)のように、もしも最強の雨男と晴れ男が出会ってしまったら、一体どうなってしまうのだろうか?

advertisement

 2月28日に発売された『晴れ男の憂鬱 雨男の悦楽』(水壬楓子:著、実相寺紫子/海王社)は、頭脳も容姿も抜群のエリート商社マンだがとんでもない雨男という志水と、彼の高校時代の同級生で宿敵でもあった晴れ男・泉が再会して同じ会社で働くことになったことから始まる。幼稚園の入園式以来学校行事はすべて雨にたたられ、極めつけは学園祭に台風を呼んだことすらあるというスーパー雨男の志水。その雨男っぷりは社会人になっても健在で、クライアントとの接待ゴルフはことごとく雨。野外の展示会や催しも、志水が参加しようものなら「アッという間に空模様があやしくなり、客足も落ちていく」のだ。しかし、晴れ男の泉も負けていない。キャンプやイベントには、まるで備品のように欠かさず誘われる彼。志水とは対照的に、他部署の接待ゴルフにも呼ばれるほど、その力は絶大だった。

 そして、『くちづけは虹の上で』(カキネ/新書館)にもインドア派の晴れ男・百津とアウトドア派の雨男・豊玉が登場する。小さい頃から雨天中止は日常茶飯事。大学の時も山登りが好きで山岳部に入ったのに、雨で途中下山ばかりの豊玉とは対照的に、雨天順延などとは無縁で育った百津。たとえ雨が降っていたとしても、彼が外に出ると止んでしまうため傘を持ち歩いたこともないというほど。そんな2人が偶然出会い、なぜか一緒に登山サークルに参加することになるのだ。

 それぞれどちらも強力な雨男、晴れ男なのだが、果たしてどちらの力が強いのか?

 まずは、『晴れ男の憂鬱雨男の悦楽』の2人から。2人が一緒だった高校時代の運動会は、曇天で決行。また、社会人として泉が同行した打ち合わせや下見は「見事に曇り」だった。しかし、入社式で2人が初めて再会した日は雨だったのにだんだん小雨になり、口を交わしたあとに空を見たらお天気雨になっていたのだ。太陽が出ても雨が止んだわけではないのでどちらの勝ちとは言えないが、これは泉が高校時代から片思いしていた志水に再会できた喜びから生まれた結果だろう。

 一方、『くちづけは虹の上で』で一緒に登山のトレーニングをした初日は、降水確率80%だったのに快晴。これは、百津がいきなり自分に声をかけてきた志水に少なからず興味をもったからなのかも。でも、初めて2人で登山に行こうとした時は、降水確率0%だったのに豊玉がはしゃぎすぎたせいで登山口に着いた途端土砂降りに。豊玉のウキウキ度が高すぎたせいで、見事に彼が勝利してしまうのだ。

 こんなふうに、お互い甲乙つけがたいほどの力の持ち主たち。もしもそこに差がつくとしたら、その時のテンション以外にないのかも。

 しかし、テンション以外の理由で天気を変えてしまう方法もひとつある。それは、どちらかが何かを強く願ったとき。そんな時は決まって、異常気象では説明がつかないほど変なことが起こるのだ。たとえば、『晴れ男の憂鬱雨男の悦楽』で泉が同じ部署に来た日、志水は思いっきりこき使ってやろうと思い「覚悟しやがれ」と念じながら握手をした。その瞬間、雨も降っていないのに突然カミナリと稲妻が炸裂する。

 『くちづけは虹の上で』で初めて2人が登山に行った時だって、登山口で土砂降りになっても百津が「雨は止む! 絶対に!!」と叫んで雨の中外に飛び出すと、カミナリがなった後急に晴れ出し、虹までかかるのだ。

 さらに、自分ですら気づかない思いを天気が教えてくれることも。『晴れ男の憂鬱雨男の悦楽』の志水が無理矢理泉にキスした翌日、泉は怒っているはずなのになぜかその日は快晴。これは、志水が自分の気持ちや泉のことがわからなくて悩み、知らず知らずのうちに落ち込んでいたから。一方、志水と喧嘩して泉が外へ飛び出すと台風が来ていたりもする。それほどまでに、泉が打ちのめされて弱りきっていたということがよくわかるはず。

 そして、『くちづけは虹の上で』で晴れ男の百津がいるのに、山登りの計画を立てても4週連続雨だったのは、彼が他の人に嫉妬してモヤモヤしていたから。そのせいで、晴れ男体質がまったく力を発揮しなくなってしまっていたのだ。

 どうやら、雨男や晴れ男といった体質は彼らの心の状態によってパワーバランスも変化するよう。そして、自分にはないもの。全く正反対の体質で悩んでいる相手だからこそ、お互い強く惹かれ合うのだろう。ひとりでは憂鬱になりそうな雨や毎日のように続く快晴も、2人一緒なら曇りやお天気雨、虹にだって姿を変えられる。もしかしたら、雨男と晴れ男はこれ以上ないくらい最高のカップルなのかもしれない。