炎上する初音ミクと炎上しない初音ミクのちがいとは?

マンガ・アニメ

2013/4/23

  4月6日にフジテレビで放送された「ボーカロイド歌謡祭」。「VOCALOID」を誤って「VOCALOIDO」と表記するなど、ネットではかなり非難されているようだ。他にも、千本桜のミュージカルでAKBの石田晴香が初音ミク役としてキャスティングされたことでネットが大炎上したり、ボカロの紅白出場話でも「やめとけよそれは…逆にイメージ悪くなるぞ」「テレビに使い捨てられるミクさんなんて見たくないからこれ以上の露出はいらないよ」といった声が数多く聞かれた。制作者がボカロや初音ミクについて理解していないと感じられると、こんなふうに非難されてしまうのだろう。そこで、初音ミクの基本をおさえた『初音ミク 公式ガイドブック ミクペディア』(クリプトン・フューチャー・メディア/マガジンハウス)から、炎上しないコラボのポイントを見ていこう。

 2007年8月31日に歌う音楽ソフト「キャラクター・ボーカル・シリーズ01初音ミク」として誕生した初音ミクは、今や世界中で注目されるほどの大人気バーチャルアイドルになった。そんな初音ミクは、さまざまな企業ともコラボしている。しかし、そのコラボはただ初音ミクが人気だからという理由ではじまったものではない。

 たとえば、初音ミクを車体にデザインしたレーシングカーでレースに参戦する「初音ミクGTプロジェクト」。そもそも、アニメやマンガのキャラが描かれた痛車でレースに出場したいとプロジェクトメンバーが思っていたとき、ちょうど二次創作などで盛り上がっていたのが初音ミクだったそう。「ファンと一緒にレースを盛り上げていきたい」と考えていた彼らにとって、これほどぴったりなキャラはいないということで2008年にこのコラボが実現した。ただ車体に初音ミクが描かれているだけでなく、ファンが少額からでもスポンサーになれる個人スポンサー制度を採用していて、その金額やコースによって特典がもらえたり、自分のステッカーを車体に貼ることだってできちゃうのだ。さらに、初音ミクのコスプレをしたレースクイーンやレーシングミクというイメージキャラクターまで登場。自分たちがやりたいと思っていることと初音ミクの魅力や特徴に重なる部分があれば、コラボも上手くいくのかも。

 また、ファッションブランドであるクロスカンパニーの「アースミュージック&エコロジー」とのコラボでは、彼らが大事にしている「可愛い」という価値観を初音ミクに体現してもらおうということではじまった。これも、ただ服に初音ミクがプリントされているものではなく、実際にミクを描いているイラストレーターにデザインしてもらっているのだとか。そして、ファミリーマートとのコラボでは実際の楽曲からイメージして作られた「ペヤングだばぁ」や「ぽっぴっぽー」という野菜ジュースなど、既存の商品ではなく新たに開発した商品が作られた。もともとは、ファミリーマートの入店音と初音ミクのコラボ動画が話題になったことがきっかけだったようだが、この2つのように初音ミクの良さを上手く引き出しながら自分たちがやりたいと思ったこと、ぜひ初音ミクにやってほしいと思ったことを見事に融合させていくのも手だ。

 さらに、ソニーの社長が「初音ミクそのものに関してはクリプトン・フューチャー・メディアさんが作られている世界観を100%リスペクトしています」と言うように、初音ミクを使って何をしたいかではなく、初音ミクに何をしてほしいか。初音ミクが何をしたらおもしろいかといった立場から考えていく方法もある。ゲームソフトやゲームセンターのグッズでコラボしているSEGAも同じようなことを言っていたが、あくまでファンの一員として考えていけば、周りから非難されるほどの商品が生まれることはそうないはず。

 人気だから。売れているからという理由だけでコラボするのではなく、相手の魅力をきちんと理解してからコラボすれば、お互いの良さが何倍にも引き出されるのでは?