佐藤健&宮崎あおい出演で映画化! 号泣必至の『世界から猫が消えたなら』、コミック版最新3巻発売

マンガ

更新日:2016/2/19


『世界から猫が消えたなら』(雪野下ろせ/白泉社)
『世界から猫が消えたなら』3巻(雪野下ろせ/白泉社)

 もしも一日生き延びるのと引き換えに、大切なものをひとつずつ世界から消さなくてはならなくなったら。あなたは自分の命を選びますか? それとも――。

『電車男』『告白』『モテキ』など数々のヒット映画をプロデュースしてきた川村元気の処女小説『世界から猫が消えたなら』(マガジンハウス)。累計100万部を突破し、5月14日より佐藤健主演、ヒロイン役に宮崎あおいを迎えて実写映画が公開される本作の、コミカライズ『世界から猫が消えたなら』(雪野下ろせ/白泉社)最新3巻が2月19日に発売される。

 本作は、もって半年と余命宣告を受けた郵便配達員・成瀬時生が、自分そっくりの“悪魔”と名乗る男に出会うところから始まる。「あなたは明日死にます」、でも「世界から何かをひとつ消す ひとつ消す度にあなたは一日の命を得ることができる」と告げる悪魔。まさしく悪魔の囁きとしか言いようのないそれに、時生はけれど、乗ってしまう。

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 電話。映画。写真に音楽。悪魔は時生の記憶や想いを見透かすように、時生にとっても、時生のかけがえのない人にとっても大事なものをひとつずつ消していく。消すたび思い出は塗り替えられ、友人たちの夢さえも消えていく。時生が明日を生きる、ただその願いのためだけに。けれど同時に時生は、失っていたはずのものも少しずつとりかえしていく。もう二度と会えないと思っていた彼女・映美に最後の電話をかけ、時生の失われていたはずの恋は再び芽吹いていく。長らく会っていなかった友人たちとの交流や、亡くした母の思い出を、時生はひとつずつよみがえらせていくのだ。

 あればあったで、なければないで、成立していく世界。この世に“それでなくてはならないもの”なんて存在しないのかもしれない。けれど確かに、あのときあの瞬間に“それでなくてはならないもの”は存在していた。生き続けたい己の欲望と、大切な人への想いの狭間で揺れ続ける時生の目に映る風景を、コミック版では繊細に描き出していく。忘れてはいけないのが猫の“キャベツ”の存在だ。悪魔の魔法(?)によって何故か時代劇のような言葉をしゃべるようになったキャベツは、コミックならではの愛らしさを発揮して、時生だけでなく読み手の私たちの心も癒してくれる。

 最新3巻では、時生の希望を嘲笑うかのように悪魔はさらなるモノを消していく。映美と自分をつないでいた映画という思い出は、すでに本になりかわった。悪魔はその本さえ消してしまおうと言う。映美がこよなく愛するココアも飲めなくなる。そのすべてを、自分のためだけに消してしまっていいのか――。揺れながらも少しずつ最期を覚悟し始める時生の姿に、涙すること必至。

 タイトルが予見させるラストに、時生はどんな決断をくだすのか。映美やキャベツとともに静かに見守っていきたい。

文=立花もも

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