「子どもも愛する夫もいて、女としても現役、家事も育児もこなし、家族円満でハッピー」なんてバリキャリ女は存在しない!

恋愛・結婚

公開日:2016/3/16


『こじらせ女子の日常』(北条かや/宝島社)

 男性と話しているときや、女友達との会話など、ふとした瞬間に「私ってこじらせてるな~」と自虐的になってしまうこと、ありませんか? 恋に前向きになれなかったり、甘え下手で疑り深い……などがこじらせている人の特徴らしいのですが、要するに“めんどうな人”を指すらしい。

 表紙のコーラルピンクとメガネ女子が印象的な、北条かや氏のエッセイ『こじらせ女子の日常』(宝島社)は、著者が学生時代から続けているブログ「コスプレで女やってますけど」内に書かれた内容を再構成し、こじらせ女子を自負する著者の頭の中が徒然なるままに書き綴られています。ブログタイトルから、ただならぬこじらせ力を感じます……!

 「若い女の値段について」、「“女性の貧困”をエンターテイメントにするな」など、“女”にまつわる事柄を、独自の視点から延々と考察し続けている『こじらせ女子の日常』。

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 数あるコラムのなかでも「“キラキラ働く”のはいいけれど」というページでは、筆者が取材で出会った30代後半~50代のバリキャリ女性たちが言う「私は◯◯を犠牲にしてここまでやってきた」という言葉に着目。

 この◯◯には、出産や育児、家族との時間が入り、大手出版社で働きながら、シングルマザーとして子育てをする40代の女性や、結婚はしているが激務のために出産を諦めた広告代理店の女性を例にあげ、イキイキと働いているように見える彼女たちが、現在に至る間に犠牲にしてきた“何か”を明らかにしています。また、女性に限らず、社会で「上」に上り詰めるために自分の時間をすべて会社に捧げている人々に対して“働きすぎ”という率直な感想も。

 そして「女性誌によく出てくる、“子どももいて、愛する夫もいて、女としても現役で、家事も育児も適度にこなし、家族円満でハッピー♪”みたいな“バリキャリ”女性など、本当はどこにもいない」という結論を導き出します。

 バリキャリ女性の抗えない現実にショックを受けつつも「やっぱりそうなのか」という、諦めを感じたのは言うまでもありません。このように、日本で女性として生き、働き、子をもうけて結婚生活を続けることの難しさを、図らずも学ぶことができるコラムもいくつか掲載されています。多くの女性から羨望の眼差しを受ける“バリキャリ”の現実は、とても厳しい……。

 そのほか、メディアでも話題になった美魔女が嫌われるワケや、筆者のファッションセンターしまむらへの愛が炸裂する「私が“しまむら”を愛する理由」など、独自のこじらせ論を展開。同書を読めば、共感した回数で自分こじらせレベルが判明しちゃうかも?

文=谷口京子(清談社)