さまぁ~ずにも学んだ!「モヤさま」が転機となった狩野恵里アナの社会人としての壁の乗り越え方【インタビュー】

テレビ

公開日:2016/3/20

自分の「キャラ」を持つのも覚悟が必要

――「モヤさま」も転機になったようですね。

狩野アナ「はい。モヤさまの担当になってからの3年間は本当に濃密な時間した。アナウンサーである私がさまぁ〜ずのお二人と一緒に1時間半全編にわたって番組に出るなんて、ものすごいこと。だったら恥を捨てて体当たりでやろうと。“番組の知名度があがって会社に恩返しができるならいいや”と発想を転換したら、何も怖くなくなったんですよ(笑)。」

――さまぁ〜ずのおニ人に学ぶこともありますか?

advertisement

狩野アナ「それはもうたくさんあります!お二人は、 とにかくウソがない方たちなんです。カメラがまわっていようがいまいが相手が誰であっても変わらず自然体で。感情を素直に出す所もとても人間らしくて素敵です。そういう方々と毎回10時間くらいロケでご一緒すると、いくら“自分をカッコよく見せよう”と思ってもバレちゃいますよね。“さっきと言ってること違うじゃねえか”と一蹴されてしまいます。おまけに、お二人にはいい意味で誰でも気を許してしまう。それは取材者やスタッフの笑顔を見てもわかります。一瞬にして骨抜きにする技術や人柄も勉強になりますね。」

――近頃は、職場や学校で“キャラの立て方”まで求められるような時代です。狩野さんもずっと悩んでいて、「モヤさま」でキャラを見つけられたわけですよね。

狩野アナ「私には“このキャラでいけばいいんじゃないか?”とかいう気持ちは一切なくて、全力でやっていく中で、自然に“モヤさまの狩野”とみなさんに認知していただけるようになって。おそらく一時的に注目を集めたいなら突飛なキャラを即席で作ればいいかもしれませんが、長い目でみたらそれがハッピーなのかわかりませんよね。
 実はキャラをたてるというのは、覚悟のいることでもあると思います。私自身、確かに「モヤさま」のキャラで認知してもらえて、そのありがたさを実感していますが、その一方でどこかイメージが限定されてしまう不自由さのようなもの、たとえばアナウンサーには真面目にニュースを読むという基本の仕事があるわけですが、違和感を感じる視聴者がいるかもしれないと心配になったり、ある意味、キャラに縛られてしまうこともあるわけです。」

――そのキャラから出られなくなってしまうということですね。

狩野アナ「そうなんです。みなさんの中にある私のキャラは“体当たりで、雑で不器用で、でも全力で何かをやっている”という感じでしょうか。ただ結果として番組の力もあって認知されたキャラでもあり、あえて私が作り出したものではないんです。だから他の番組でもこのキャラを求められてしまうと、ちょっと戸惑うことはありますね。
 自分の中のこれからの仕事での目標とその影響力の大きさとどう折り合いをつけるのか、とても贅沢な悩みとは自覚していますが、まさに今、格闘しているところなんです…。」

――そうやってリアルに悩む姿を、そのまんま見せてしまうのがステキです。本にも先輩アナに対して“どうしてあんなふうになれるのか、うらやましくて仕方なかった”と書いてましたよね。そういう嫉妬心みたいなものをさらけ出してくれると、読者として嬉しいです。

狩野アナ「そうなんですかね。見せたらダメかもしれませんが、マイナス面を書くことに躊躇はありませんでした。だって事実ですし、2年目くらいまでは本当に悩んでいましたから。本にアメリカでの学生時代のことも書きましたが、海外だと個性がないと“存在しない”かのように扱われてしまうんです。それを一度でも体験してしまうと、その恐怖がすごく残るんです。常に周囲から評価されるアナウンサーという職業についたことで、そのキャラとか引き出しみたいなものについての悩みに立ち戻ったのかもしれません。一方で先輩たちが凄すぎて、“先輩に近づきたいけど私は無理かも。育ちが違う”と、いい意味で諦めもつくようになった。だから“このままで行くしかない”と覚悟して、だけど0.5センチでもいいから、ちょっとずつ進歩しようと努力しました。等身大のままで少しずつ変わっていくというペースが、結局は自分の身の丈にあっていたんでしょうね。

――日頃の鍛錬がなにより大事 とのことですが。

狩野アナ「あはは。大きいこと書きましたよね(笑)。読むたびに“ああ、そうそう”って自分で思うんです。実はこの本をトイレに飾ってあって、毎日読んで戒めてから、会社に行ってるんですよ。先日、プロ2年目の野球選手に高校時代の恩師からの色紙を見せてもらったのですが、そこにあったのは「奇跡は努力のつみかさねでしかない」という言葉でした。ズシンと来ましたね。努力しなければ奇跡もおきないと思えば、努力せざるをえないわけで…って、言うのは簡単なんですよねー(笑)。まだまだ日々精進です!」

取材・文=荒井理恵