【ダ・ヴィンチ2016年5月号】「おそ松さん」特集番外編

特集番外編1

更新日:2016/4/6

【ダ・ヴィンチ2016年5月号】「おそ松さん」特集番外編

今月の『ダ・ヴィンチ』第1特集は、大ヒットアニメ『おそ松さん』です!

編集M井

 サブ・タイトルには「松ロスするにはまだ早い!」と付けさせていただきました。というのも、私自身が「松ロス」に恐れていたからでございます……。

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 思い返せば、編集部(というか私)に、『おそ松さん』ブームがやって来たのは、昨年10月のことでした。本誌の対談インタビューにもありますが、きっかけは星野源さんの取材時のことでした。何気なく伺った一言から、ことの発端が始まりました。

「最近好きなアニメは何ですか?」

 私のその質問に、星野さんはまだ、始まったばかりの『おそ松さん』を丁寧に説明してくださいました。大変恐縮ながら、私は普段からアニメ作品を観る機会があまりありませんでした。しかしながら、星野さんが語る楽しそうなご様子と、「あの『おそ松くん』が成人して全員ニートになってる」というとんでもない設定に、とても好奇心が湧きました。

 帰社後、アニメが好きなスタッフに頼んで、3話分までの録画を焼いてもらうことになりました。すると、そのスタッフは大喜びしながら、こう教えてくれました。

「M井さん、『おそ松さん』は声優キャストが本当に豪華なんですよ! 絶対面白いですから!」

――そして、なんやかんやで数週間後。

 気がつけば、私はナンジャタウンにいました。スマホには、ばっちり『おそ松さん』のキャラクターのストラップが付いていました(笑)。自分でも驚くほど、脅威のフルピードで、このアニメ作品が大好きになっておりました(笑)。

 6つ子から繰り出される、キャッチーでテンポの良い会話に毎回吹き出し、一人で声を出して笑っていました。特に意味もないような回もあれば、しんみり胸が熱くなるような話もある。毎話、別のアニメを見ているのか? と思うくらい、飽きさせることのない魅力が、この作品にはありました。また6つ子の兄弟の仲の良さを見ては、なぜか実家に帰りたくもなったり、のんびりとニート生活を送る6つ子にはどこか「自由さ」を感じることもありました。

……いいな、うらやましいな。 
そんな感じで深夜、仕事が終わって帰宅し疲労感たっぷりな中、『おそ松さん』を再生しては、疲れた心が癒される日々を送っていたのです。しかし、同時に「この私のハマり方現象、なんか懐かしいなぁ……」とも考えておりました。というのも、私自身、過去に同じくジェットコースターに乗ったようなハイスピードで、「ハマったもの」があったからです。

こ、これは! 十数年前に『水曜どうでしょう』を初めて見た時に似ている……。

 ならば、と“あること”が脳裏をよぎりました。「『水曜どうでしょう』みたいに、『ダ・ヴィンチ』で特集を創らせてもらえないだろうか」と。過去に、私は『水曜どうでしょう』特集を担当させていただいていたのです。しかしながら、「いやいや!」と、すぐに思い直しました。

「そしたら多分、先に台本を読まなきゃいけなくなるはず。ともすれば毎週放送を楽しみにしている(自分の)楽しみが減るじゃないか……」

 そんな理由で私は、特集会議に企画を出すこともなく、毎週『おそ松さん』を楽しんでおりました。CDを買ったり、松パーカーを予約したり。クリスマスには十四松のケーキが編集部に届いたりと、充実した「松ライフ」を送っておりました。

 されども、やはり「好きなもの」は誰かと共有したくなってくるものです。誰かとこの楽しさを語り合いたい! 
「わけがわからないけど、面白い」。説明しづらい、この面白さを分かってくれる人が欲しい! 結局、私は『どうでしょう』の時と同じく、後輩のKにまたもや勧めておりました。そして昨年末、挙句の果てに私はKにこう言っておりました。

「おそ松さんが終わるのが寂しい」
「え、1月からもあるんですよね?」
「うん。でも想像しただけでもう寂しい」
「松ロスになりますね」

「松ロス」

……うん、なりそう。
えー嫌だなー。

 そうして気付けば、特集会議で「松ロス対策」に今回の『おそ松さん』特集を提案しておりました。アニメが終了した後の紙面提案ということで、「雑誌なのに後追いしてどうする!」と編集部内での意見もあがりましたが、「いや、だから『松ロス』の企画なんです」と、雑誌の企画としては稀な理由で、押し通しておりました。

 そして今号の第2特集でお世話になった乙一さんとの打ち合わせに私も伺い、「おそ松さんのスピンオフを書いていただきたいんです!(できれば6つ子で)」とお願いしておりました。ただただ個人的に、付録が欲しかったので、「付録を付けたい」と言い出し、「6つ子のしおりにします!」と印刷所会社さんを困らせたりしておりました。

 また、キャラクターデザインの浅野直之さんと以前からご交流がある星野さんにも「対談をお願いできませんか」と依頼をしておりました。結果、今月号は大泉洋さんの表紙で、『おそ松さん』特集という、個人的にも至福の号になりました(笑)。

 『おそ松さん』は深夜帯で放送されていたアニメです。先にもありますように、今作は赤塚不二夫先生の『おそ松くん』が原作で、6つ子が成人して全員ニートで童貞という設定があり、『さん』の方では、6つ子に全員個性があります。今回の特集では、その個性にさらに息を吹き込んだ、声優の小野大輔さん、入野自由さんに、“振り返り”インタビューをさせていただきました。

 また放送の度にネット上ではこの作品が話題沸騰となり、ツイッターのホットワードには「●●松」という言葉があふれていました。各企業とのコラボも多数、情報番組等でも度々取り上げられるほどの人気を博していました。特集紙面ではその騒動と放送回を合わせて、まるごと振り返るとともに、ファンの皆様からのお声をアンケートでいただき(たくさんのご協力ありがとうございました!)、「松ロス」や「松エピソード」を掲載させていただきました。いただいたアンケート回答を読んでは、「わかります、わかります!」と頷いておりましたが、作品がどれだけ愛されていたかを感じ、ぐっとくることも多々ありました(自分も好きなだけに)。

 赤塚作品という大きな土台が、意欲的な製作陣の力でさらにアップデートされて、現代でよみがえったのが『おそ松さん』です。それぞれに楽しみ方はあれど、私自身はたっぷり「癒された」作品で、「ハマる人はどハマるから見てください」とたくさんの方に薦めたい作品であります。というのも、私のように誰かにお薦めされて、どハマりし、しかもこの歳でキャラクターグッズを買ったりするほど「好きなもの」が出来るのは、とても幸せなことだと、改めて思ったからです。

 また『おそ松さん』には、それほど人を虜にする「不思議な力」が多分にある作品だと思います。DVDやドラマCDも順次発売されております。今回の特集を機に、さらに「おそ松ファン」が増えることを期待しております。これから小説が発売されたりイベントやグッズもどんどん展開されていきます。いま、ちょっとだけ「ロス」になっているかもしれませんが、まだまだ「松ロスするには早い!」と言いたいです(自分にも)! 『おそ松さん』ファンの皆様には、ひとまずは『ダ・ヴィンチ』を存分に楽しんでいただければ幸いです。第2特集での乙一さん特集でもちらほら「松ワード」が散りばめられておりますので、そちらもくまなくご覧ください。

 そして、今回特集に多大なる協力をいただきました『おそ松さん』スタッフの皆様に、御礼を申し上げます。皆様のおかげで、より一層『おそ松さん』が好きになりました。

 最後に、別企画ですが……! こちらも特集同様に力を入れた企画ですので、大泉洋さんのファンの皆様、表紙だけでなく、ぜひ中面紙面もチェックしてみてください!