頑張れ働く女の子! ますますパワーアップした「アッコちゃん」シリーズ第3弾に励まされる!

文芸・カルチャー

2016/4/6

本を読んでもお腹いっぱいにはならないけれど、心にたっぷりと栄養を注ぎ込んでくれることがある。仕事や恋愛、人間関係などで悩み、八方塞がりになった時、本を読めば自然と頭の中が整理され「物事は色々な方向から眺められるし、解決する方法もいくつもある!」という事実を教えられることは、そう珍しいことではない。もちろん、毎回そのような良書にめぐり合えるわけではないが、「読む」という行為は、手作りで栄養たっぷりの温かいご飯を食べることと、どこか似ているかもしれない。

柚木麻子作の『幹事のアッコちゃん』(双葉社)は、まさにそんな、心に栄養を与え、気持ちを晴れやかにしてくれる短編集だ。特に、仕事や恋に悩む女子にはおススメである。『幹事のアッコちゃん』は、『ランチのアッコちゃん』『3時のアッコちゃん』と続いた、大人気アッコちゃんシリーズの第3弾。物語は、黒川敦子という名の、みんなが「アッコちゃん」や「アッコさん」と呼ぶ、おかっぱ頭の大柄の女性を中心に展開する。アッコさんは、ワゴン販売とジューススタンドをチェーン展開する「東京ポトフ&スムージー」の社長だ。鋭さと無邪気さを兼ね備えたアッコさんの言動のおかげで、悩める働き女子たちは、自分の食生活や働き方を見つめなおし、新たな一歩を踏み出して行くのである……!

今作でも、私たちを奮い立たせてくれる“アッコさん節”は顕在だ。例えば「幹事のアッコちゃん」で描かれるのは、冷めた物言いをする、「さとり」と言われる男性新入社員に、忘年会を成功させる秘訣を伝えるアッコさんの姿。
「相手に合わせるだけではなく、自分のフィールドに参加者を引っ張り込み、幹事自らが忘年会を楽しむ」方法を、5日間連続で、彼の前で実践してみせるアッコさん。自分から他人を信じ、心を開く大切さを教えられる。

また、「ケイコのアッコちゃん」では、昇格して部下ができ、何かと忙しく「プライベートの時間がない」と嘆く三智子に、月曜日から金曜日まで毎日、アッコさんの習い事に付き合わせ、時間を作り出す方法を伝授している。一見余計だと思われることをあえてたくさんこなし、豊かな時間を作りだすアッコさんに、読者はきっと驚かされる。

シリーズ第1弾から登場している、アッコさんの元部下である三智子。第1弾で登場した時は絶望の淵にいた彼女が、アッコさんのアドバイスのおかげで、出世し、結婚もして、仕事でもアッコさんの良きパートナーになるまで成長を遂げていたことに、とても嬉しい気持ちになった。

また本作は、これまでと違った一面も見せる。なぜなら、従業員や顧客の前では決して悲しい顔を見せず、威圧感のあるオーラを放ち、迷うことなく突き進んできたように見えるアッコさんの「弱さ」が描かれているからだ。アッコさんでさえも誰かに嫌われることがあるし、不安で動けなくなりそうな時がある……。冷静に考えれば、アッコさんも人間なのでそれは当たり前のことなのだが、一瞬言葉を失ってしまった。

しかし、その不安さえも全部背負い、前を向こうとする彼女の意志の強さに、さすが!といわざるを得ない展開が待っている。

アッコちゃんシリーズには、女の子を元気にするヒントが本当にたくさん詰まっているのだ。背筋を伸ばそう。今日より明日、1ミリでも先に進もう。自分を労わって、ランチをきちんと食べよう。太陽をたくさん浴びよう。時々ジョギングをして、身体を動かすのもいいかもしれない……! そんなふうに、私たちもアッコさんのアドバイスを通して、自分の生き方を見つめなおし、必要なものは取り入れ、不要なものは捨てる覚悟ができる短編集なのである。

私たちにはきっと、たくさんの選択肢がある。失敗もするかもしれないけれど、そうしたらまた立ち上がればいい。明日も頑張ろう! そう心から思わせてくれる、とても素敵な物語だ。

文=さゆ

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