宝具作成の力を手に、異世界に転生した少年と駆け出し美少女勇者の織り成すラブコメ異世界冒険譚『緋天のアスカ』

文芸・カルチャー

2016/4/18

「MFブックス」「アリアンローズ」のフロンティアワークスが 、ライトノベルを卒業した大人の男性に贈る、新しいライト文芸レーベル「ノクスノベルス」。今回は、これまでに出版された人気作『ゾンビのあふれた世界で俺だけが襲われない』、『俺が淫魔術で奴隷ハーレムを作る話』に続く、レーベル第3弾の新作『緋天のアスカ』を紹介する。

緋天のアスカ~異世界の少女に最強宝具与えた結果~ 1』(天那光汰/フロンティアワークス)は、小説投稿サイト「小説家になろう」及び「ノクターンノベルズ」での連載作品の書籍化、いわゆる「なろう小説」だ。「なろう小説」では、現代に生きる日本人が、記憶はそのままで異世界に転生したり、あるいは異世界に召喚されたりといった異世界トリップものが主流だが、本作はこれまでの王道の上にさらに恋愛要素を加味したラブコメ異世界冒険譚だ。

将来に目標を持てずにいる高校3年生の柏木悠斗(ユート)は、不慮の事故でこの世を去った。「別の世界に行きたい」という願いは死後、神により叶えられ、生前の肉体と「宝具作成」の力を与えられ異世界へと降り立った。神話級の武器、防具を自由に使い放題なユートは、その気になれば異世界で伝説の英雄のごとく大活躍できる。ただ問題があるとすれば、彼が人並み外れたものぐさな面倒臭がりだったことだ。

異世界で最初に出会った赤毛の美少女剣士アスカ・レトルリバーに目をつけたユートは、自分の代わりに彼女に「宝具作成」で創りだした武具を与え、高難易度の任務を次々に達成させて、王国内でも十指に入る女勇者『緋天のアスカ』に仕立てあげる。分不相応だと思いつつも毎回人助けのために、ユートの口車に乗せられて宝具の力についつい頼ってしまうアスカのお人好しぶりが気の毒になってくる。

そうして富や名声はアスカにすべて差し出す代わりに、ユートはのんびりと平穏な日々を満喫する。お姫様の近衛隊に仕官し、豪邸に住むようになってからは、アスカや、巨乳メイドのサシャとイチャイチャ同棲生活を送り始める。まさに典型的なダメ人間だが、アスカに力を与えているのはユートなのだから、一応のギブアンドテイクは成り立っていて、ヒモと罵られないだけの役割はこなしているのが、なんとも小狡い。

周囲にはアスカのおまけと思われているユートだが、上司である近衛隊長リスティには隠していた力を見抜かれる。訓練と称してリスティに練習試合を挑まれたユートは、勝利を疑いもせず自慢の宝具を持ち出すが、圧倒的な実力の前に敗北してしまう。さすがに悔しさを隠し切れないユートは、リスティに一矢報いる方法を考え始める。普通の人間ならば特訓や改善を重ねて今よりも強くなろうとするものだが、そこで「弱味を握って言うことを聞かせよう」という姑息な手段に走るところが、ユートの怠惰で不精な性格をよく表している。

いろいろあってリスティの秘密を掴んだユートだが、人には言えない彼女の趣味に理解を示したことで逆に気に入られてしまう。ユート自身もリスティの可愛らしい一面を知って憎からず思うようになり、上司と部下の関係を越えた親しい間柄になっていく。いつの間にか急接近しているユートとリスティの仲をアスカが嫉妬して三角関係にこじれていくのだが、この先の展開は読んでのお楽しみだ。

神様から特別な力を与えられても、それだけでは人間関係や恋愛がうまくいくわけではない。異世界で女性問題に苦悩する少年の恋路の行方を皆さんもどうか見守ってやって欲しい。

文=愛咲優詩