「ぼーっとしている人は論外」「一度相手の立場になって考えてみる」イヤなことはすべて『論語』が解決してくれる!

ビジネス

2016/6/8


『まんがでわかる論語 失敗するから、成長できる。』(備前やすのり:まんが/あさ出版)

 『論語』は、2500年前から読み継がれている名著。「子曰わく…」のくだりを学生時代に漢文の授業で暗唱させられた人も多いことだろう。中国の思想家・孔子の言葉を弟子などがまとめた言行録が『論語』だ。

 日本でも、約1400年前・聖徳太子の時代には、「十七条憲法」に「和を以て貴しと為し(和を大切に、争いのない状態がすばらしい)」とある。古来からの思想だと思われがちだが、実は孔子の言葉の引用!! 江戸時代には、孔子の教えを中心とした「儒教」と「朱子学」が一体となった「儒学」が正式な学問とされ、多くの子どもが通っていた寺子屋では、『論語』が必読文献としてさかんに暗唱された。その結果、『論語』は武士を中心に広く普及し、秩序や穏やかさを求める日本人の国民性にも大きな影響を与えてきた。全20篇に500ほどの短い文章がまとめられている。

 『まんがでわかる論語 失敗するから、成長できる。』(備前やすのり:まんが/あさ出版)は、『論語』の言葉まんがでわかりやすく学べる一冊。著者は明治大学教授で、テレビでも活躍中の齋藤孝氏。まんがだけでなく各章末尾に『論語』の言葉を齋藤さんが詳しく解説。【解説】とまんがが併せて掲載されているので、そのシチュエーションを照らし合わせやすく便利。一見とっつきにくい漢文も、「こういうことを言っているのか!」と、するりと理解できる。

 まんがの主人公・草平は高校2年生。少年時代、「ピアノの天才」としてもてはやされていたが、挫折。帰宅部で目的もなく過ごしていたが、ひょんなことから音楽部に入部させられ、四重奏でコンクール出場を目指すことに。つらい過去を思い出し、何も行動できない草平に、顧問で国語教師の咲手先生は、『論語』の言葉をぶつける。

「如之何、如之何と曰わざる者は、吾れ如之何とも末きのみ」
(いかん、いかんといわざるものはわれいかんともなきのみ)

【(まんが)咲手先生の言葉】「だめだだめだと落ち込んでばかりじゃ、なんにもならないでしょ。問題意識を持ちなさい!!」

【(章末尾)解説】何の疑問も持たずに、ぼーっとしている人は論外。まわりの人も助けようがありません。…一番いいのは、まず自分の中である程度考えを煮詰めてから、判断できないことをまわりに相談することでしょう。

 それでも、まだもじもじするばかりの草平は、言いわけする。

「そんなこと言われても、僕…別にやる気があってここにいるわけじゃ」

 そんな彼に咲手先生がたたみかける。

「子曰わく、君子は諸れを己れに求む。小人は諸れを人に求む」 
(しのたまわく、くんしはこれをおのれにもとむ。しょうじんはこれをひとにもとむ)

【(まんが)咲手先生の言葉】「原因は自分にあるの! 人のせいばっかにしない!!」

【(章末尾)解説】人のせいにしたくなったら、一度相手の立場になって考えてみる。…「人に求む」を少し抑えて「己れに求む」ことができたら、たいていの人間関係のいざこざは丸く納まるものです。

 咲手先生の叱咤激励から、一歩踏み出す勇気を得た草平。その後のまんがのストーリーには彼のこころの成長と、場面場面で仲間が投げかける『論語』の言葉がちりばめられている。各章末尾の齋藤さんの解説はかみ砕かれており、わかりやすく、面白い!! 2500年も前のものだが、学び方や考え方、コミュニケーション、人間関係など、「生きる姿勢」が示され、現代にも充分応用可能なのは驚き。

 穏やかで円満な人間関係を作っていくにはどうしたらよいのか――『論語』が教えてくれるのは、こむずかしい理屈や哲学ではなく、毎日を生きていくための知恵なのだ。まずは、「まんが+解説」で、肩の力を抜いて、気楽に読んでみるには最適!!

文=塩谷郁子