先人の知恵はすごかった! 家庭で簡単にできる食材の有害物質を取り除く方法

暮らし

更新日:2016/10/24

『[最新版]家庭でできる食品添加物・農薬を落とす方法 食材の選び方から下ごしらえ、食べ方の工夫まで』(増尾 清/PHP研究所)

 食品添加物、残留農薬、放射能汚染、偽装表示、異物混入…など、食品にかんする不安は枚挙に暇がない。どこから手をつけていいやら、分からないぐらいだ。そうした悩みに答えてくれるのが、『[最新版]家庭でできる食品添加物・農薬を落とす方法 食材の選び方から下ごしらえ、食べ方の工夫まで』(増尾 清/PHP研究所)。同書では、食材の選び方に始まり、下ごしらえの方法や食べ方の工夫、いかに免疫力を上げるかについて、詳しく解説されている。

 具体的に、どんな成分や栄養がどう作用するのか。どんな下ごしらえに除毒効果があるのか。科学的説明やテスト検証に加え、先人の知恵で効果抜群という「おばあちゃんの料理」まで分析し、消費者の不安を取り除く。易しく説かれた同書で、明日からにもすぐに使える情報やできることをいくつか紹介したい。

食品表示をよく見ること、旬のものをいただくこと

 食材を選ぶ際は、生産地や生産者の名前が詳しければ詳しいほどいい。責任の所在が明確になっているぶん、信用度が増すからだ。また、生産・飼育環境の見えにくい輸入ものより、国産のものの方が、基準が厳しくその過程が見えやすいので、やはり安心度は増す。

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 肉では、牛肉が「牛肉トレーサビリティ制度」によって、国産牛は10桁の個体識別番号が表示されるように。これにより、消費者はインターネットを通じて、生産流通履歴情報などを自ら調べることができる。

 魚介類も、JAS法が改正されたため、「漁獲水域名」「解凍」「養殖」の表示が義務づけられている。こちらも、海域なら単なる「○○県産」や「○○港産」よりも、環境汚染地域で獲れたものかどうかがわかるよう、狭い地域の表示があるものを選ぶといいそう。

 また、旬のものも積極的に選びたい。というのも、旬のものは露地で早く生育するため、農薬の使用も少なくすむから。ハウス栽培ものは、季節問わず手に入って便利だが、長く農薬が残留することになるという。昔ながらの自然を尊重した食生活は、安心安全にもつながっているのだ。

ゆでこぼし、流水洗い、湯むき…。すぐ実践したい下ごしらえ

 先人の知恵が詰まった下ごしらえの方法も、さまざまな「毒素」を抜く効果があるものばかり。湯を使ったものだけを挙げても、ゆがく、湯通し、ゆでこぼし、湯むき、湯びき、霜降り、湯ぶりなど多数の方法がある。他にも、洗う方法や調味料につけ込むなど、具体例が数多く示されているのだが、中でも日常よく使う食材や下ごしらえをいくつか紹介したい。

 キャベツやレタス、白菜といった葉物は、いちばん外側の葉がもっとも長い間、農薬を浴びているため、これを取り除くこと。ただし、サニーレタスは病害虫に強く、農薬があまり使われないので、「流水に5分ほど漬け、5回ほどふり洗い」すれば、表皮に残った農薬やダイオキシンが除かれるそう。

 ジャガイモ、にんじん、大根は、いずれも流水でスポンジを使ってこすり洗いをして、皮をむけば、表皮の下のクチクラ層にたまった農薬の殺菌剤や殺虫剤を取り除くことができる。トマトは、流水でこすり洗いのあと、湯むきするのがベター。水洗いだけでは、クチクラ層に浸透した農薬が落ちないからだ。

 果物では、バナナが軸元から1センチの部分に防腐剤や防かび剤などの化学物質が使われているそう。ただし、1センチ以上先には染みこまないので、この部分だけ切り落とせばグンと安心して食べられる。

 食品添加物の多い加工食品の場合、ハムなどは1枚ずつ15秒ほど湯ぶりするだけで、リン酸塩や発色剤がうんと減らせる。同じ理由から、ソーセージも、切り目を入れて1分ほどゆでるといい。有害物質が流れ出したゆで汁はもちろん捨てること。

 こうして食材の不安を減らしても、体内に入る有害物質を完全にゼロにすることは難しい。そのため、そうした有害物質を退治することのできる食事法も取り入れる。それこそが、昔ながらのおばあちゃんの料理なのだという。

 バランスのよい和食は、免疫力アップにも効果的。ご飯、汁物、酢の物、煮物、おひたしなどのレシピを参考にし、実践していきたい。なお、全部完ぺきにやる必要はない。長年こうした食品問題を研究してきた著者は、「100点を取ろうとせず、70点主義でいく」ことを提唱する。

 有害物質を取り除くことにやっきになっても、イライラしてストレスになっては無意味。続けるためにも、要所だけ押さえて細かなことにはこだわりすぎないことがコツだと説く。不安を取り除くには知ることから。同書で学んで、まずは自分にできることから始めてみてはいかが。

文=松山ようこ