テレビや広告を見る目が変わる!? 正しい統計学から考えるデータの見方とは

社会

2016/11/8

『広告・ニュースの数字のカラクリがわかる統計学』(涌井良幸/日本実業出版社)

「満足度94%」という映画のCMを見ると、ちょっと見てみようかな…と思ってしまうのが人というもの。しかしこの数字、どうやって算出されたものなのか、と疑問に思ったことはないだろうか。また、内閣支持率や法案の賛成・反対の統計データは聞き方ひとつで大きく変わると聞いたこともあるが…。

 そんな新聞や広告などで公表されているデータについて、統計学の観点から正しく見てみよう、というのが本書『広告・ニュースの数字のカラクリがわかる統計学』(涌井良幸/日本実業出版社)。統計学と言えば、数字を使った複雑な公式などをイメージするかもしれない。しかし、この本は小中学校レベルの算数・数学がわかれば十分に理解できる。様々なデータを見るうえでの“着眼点”を知る、という読み方であれば、中学数学もままならない私でも全く問題なかった。また、アラフォーの統計学の桜井先生と、ちょっぴり抜けた発言が愛らしい生徒の田中君との掛け合いで話が進むため、非常にとっつきやすく、楽しみながら読むことができる。

 まず本書には「統計に対する“2W1H”で対処すべし」と書かれている。“2W1H”とは「WHO(誰が)」「WHY(なぜ)」「HOW(どのように)」データを作ったのかを把握するということだ。例えば、健康サプリメントの広告で「●●%が効果を実感」というデータを掲載しているとする。ここでは、「WHO」はサプリメントの会社、「WHY」は販売促進のため、「HOW」ではその調査対象の母数は何人なのかを確認しなければならない。つまり、“実感”といういわゆる個人の感覚・感想で説得力はあるのか(3人中3人が実感であれば、説得力は乏しい)を考えるべきだという。

 また、棒グラフや折れ線グラフが記載されているデータの中には目盛りが記載されていないものがあるそう。これは、たとえ小さな変化であったとしても大きな変化に見せることができる。さらに、数年前に比べると長時間見なくなったとされるテレビ。しかし、HDDレコーダーなどに録画したものの視聴を含まない場合と含む場合という条件の違いひとつで、大きく結果が違う可能性があるという記載も。

 他にも宝くじや生命保険は得なのか、交通事故死亡者数のホント、内閣支持率や政党支持率の算出についてなどバラエティーに富んだ内容だ。

 ちなみに私は以前、正社員として塾講師をしていたことがある。その時に、塾の折り込みチラシやWEB広告などでは「生徒数」と「生徒総数」という二つの言葉が使われていた。「生徒数」とは在籍している生徒の頭数のこと。「生徒総数」とは1人の生徒が複数受講をしている際、複数受講分も生徒の数に含めるという数え方だ。つまり、集団授業と個別授業を両方受講している生徒は実際は1人であるにもかかわらず、2人としてカウントするのが「生徒総数」となる。これは広告には小さく但し書きがされているが、多くの方は気づかないだろう。このようにどのような調査方法なのかという「HOW」を気にしないと、商品を購入した、あるいはサービスを受けたが、思っていたものと違うということになりかねない。

 もちろん、データを使い宣伝をおこなう企業のモラルも必要だ。しかし、私たち消費者がデータを鵜呑みにしないという意識も欠かせない。本書でそんな心構えを改めて認識することができた。

文=冴島友貴