文系出身者がわくわくしてしまう「モテるやつはどんどんモテる」数式とは?

ビジネス

2016/11/18


『とんでもなくおもしろい 仕事に役立つ数学』(西成活裕/KADOKAWA)

 『とんでもなくおもしろい 仕事に役立つ数学』(西成活裕/KADOKAWA)は、とても面白い本だった。しかし、私は正直に書かねばならない。恥ずかしいことに、本書に出てくる数学の解説は、ほとんどわからなかった。著者の西成活裕氏が私のレビューを読んだら、ひっくり返ってしまうかもしれないが、これが本音である。

 本書は、文系出身で数学アレルギーの持ち主、学校で学んだ数学の活かし方がわ からない人、数学がわからないけど憧れがある人たちに捧げる西成氏の渾身の一冊だ。「数学を使えば、異性にモテる人を数式に表して、将来的にどれくらいモテるか予測できる」「たとえ凡才でも、数式で表せば、将来は何とかなることを保証してくれる」という内容が書かれており、見事に解説してくれている。私は「なんと素晴らしいんだ!」と感嘆し、本書を神棚にまつって祈りを捧げ、そのあと一気に読み始めた。しかし、わ からないのである。西成氏は「数学の細かい話はしない」「わかりやすく解説する」と請け合い、確かに非常に読みやすい文章で解説してくれている。だが、文系出身者には絶望的な数学知識の欠落があり、わ からないものはわ からないのだ。

 A君の人気度が毎日+1ずつ変化するとする。それを式にすると、

 U(t+1)-U(t)=1

 となるそうだ。U(0)が0人だとすると、10日後にはファンが10人になっているという。

 [U(t+1)-U(t)]/1= U(t)

 という式は、「モテないやつはさっぱりモテないが、モテるやつは輪をかけてモテる」ということを表している式らしい。私としては、左辺の「U(t+1)-U(t)を1で割る」意味が全くわからない。何度も表記を確認したが「1」なのである。この式が理解できないようでは、私もまだまだモテなそうだ。

 上記の「モテる式」に関する解説はまだまだ続くが、「文系出身者が理解するための解説」はもう書かれていない。しかし、面白いのだ。本書では上記の式に図をつけて、こう解説している。

 図4-5をごらんください。最初はこのくらいの人気なのに、次はこれだけ伸びて、つぎはもっと伸びて、その次はもっともっと伸びる。最初はぐっと、次にぐぐっと、その次にはぐぐぐぐ~っという感じです。このハッスル感、わかりますか?

 このように、難しい数式をイメージで伝えようとしているのだ。私が本書を面白いと感じた理由は、「わからないけれど、数学ってなんだかすごいんだな」「数学って役に立つんだな」「意外と堅苦しくないぞ」という親近感ではないだろうか。西成氏は本書でそれを実践しており、数学の親近感を伝えようとしているのである。

 また、上記の「モテる式」を理解できる人は、本書はとても役に立つだろう。たとえば、物が壊れやすい場所を言い当てる数式、ロボットや人工衛星の制御に使える数式を紹介してくれている。ここまでくると、私には何のことかさっぱりわからず、数式が「のたうつ線」に見えたので紹介はできないが、工学系の職業の方々は手にとってみる価値があるはず。

 数学でも何にでも言えることだが、わからないからといって敬遠したり、盲目的に避けたりすることは、もったいないことだ。それを手にすることで開ける可能性を自ら手放している。数学を避けている人が試しに本書を手にすると、今までになかった別の扉が開けるかもしれない。私は文系なので、最後までイメージや抽象的な語り口でしか説明できないのが情けない。とにかく、数学を嫌う人は本書を手にとってみること、日常の「食わず嫌い」を直すことが、人生をより良くする一歩だと私は思う。

文=いのうえゆきひろ