あの響と義王が帰ってきた!? 20年ぶりにオールスターそろいぶみの『瞳・元気』次世代編、1巻が発売!

アニメ・マンガ

2016/12/20

『ハローハロー NEXT KINGDOM』(藤崎真緒/白泉社)

 1990年代、高校生を主人公に性と愛を真正面から描き衝撃と感動を呼んだ作品があるのをご存じだろうか。その名も『瞳・元気 KINGDOM』(藤崎真緒/白泉社)。主人公は、ある事件をきっかけに男性恐怖症となった女子高生・今井響。両親もなく、一人暮らしのアパートも火事で焼け出された彼女が、イケメンで成績優秀、しかも御曹司という同級生・香坂義王から同居をもちかけられたことをきっかけに始まる恋愛マンガだ。このたびファン待望、20年ぶりの次世代編となる『ハローハロー NEXT KINGDOM』の1巻が発売された。

 このたびの主人公は、藤之宮学院のスポーツ特待生・加賀美由奈。身寄りがなく、お金もなく、寮住まいの由奈は、特待生の資格を失ったら行き場がない。交通事故で膝を損傷し、選手生命の危機に立たされ、途方に暮れている由奈に「ウチにくれば?」と手を差し伸べてくれたのは、学年主席のイケメン同級生・香坂涼だった。エリートぞろいの生徒会、別名「KINGDOM」にも勧誘される彼がどうして面識もない由奈に……!?

 というあらすじだけで、前作ファンはぐっとつかまれることだろう。そう、涼は義王と響の息子。彼は期せずして、両親の出会いを、その母校でたどることになるのである。もちろん、由奈(そして過去には響)が「騙された!」と慌てるのと同様、両親ふくめた家族が不在で二人暮らしがスタートするのも同じ。ついでにいうなら、そもそも義王と涼はそっくりだ。クールな顔して好きな女の子にはてんで弱いのも、言葉巧みに翻弄するように見せかけてただ自分がでろでろに甘えたいだけなのも、さらにあの“特技”も引き継いでいる。もうそれだけで前作ファンはにやにやしながら読めちゃうしろものなのである。

 ちなみに次世代編のお約束、主役以外のキャラクターたちのその後も本作ではぞんぶんに楽しめる。たとえば黒髪クールビューティ―・中原貴子の父は、もちろんあの中原なのだろう……が、その母が誰なのかは明かされていないだけに期待と妄想が膨らむ。ほかにも「そことそこがくっついたか……!」という驚きとともに親世代も登場するので、懐かしの再会を堪能してほしい。

 もちろんシチュエーションが似ているだけで、物語としては本作と前作はまったくの別物だ。「好き」が高じて「才能」へと形を変えたとき、自分よりも周辺が意図に反して動いてしまうもの。めざしていた道が閉ざされかけてしまった由奈だが、怪我をきっかけに期せずして「それ以外」の選択肢を見つけたことになる。走り続けること以外にはあまり自信のなかった不器用な彼女が、涼との出会いを経てどんなふうに世界を広げていくのか、未来に向けてどんな答えを見つけていくのかは読みどころの一つだろう。

 そしておそらくは、義王が響に声をかけたのが気まぐれでも偶然でもなかったように、涼が由奈に好意を抱き始めたきっかけもあるはず。両親とちがって、ややじれったくも甘ずっぱい恋模様を展開させるふたりの行方に、何よりも期待したい。

文=立花もも