結婚生活は「冷蔵庫」のようなもの…『東京ラブストーリー』の柴門ふみが語る、結婚の「嘘」とは?

恋愛・結婚

2017/3/21

『結婚の嘘』(柴門ふみ/中央公論新社)

「大人になったら何になりたい?」
「お嫁さーん!」

 そんな風に答える女の子が、昔は何の不思議もなく存在した。年頃になったら他家に嫁ぎ、子供を産み育て、夫と添い遂げることを「永久就職」とよんでいた時代は今は昔。もはやその言葉自体が死語になりつつある。ここ最近、急速に世の中の結婚観が変わってきている。それは適齢期の男女を取り巻く環境の激変がもたらした、当事者たちの大幅な意識の変化だ。それはしばしば、昔の価値観を引きずった人たち―両親など―との間に軋轢を生む。

 晩婚化、非婚化が進んだ原因のひとつに雇用状況の悪化を挙げる人がいる。業績の悪化に伴い大規模なリストラを断行し、終身雇用制が崩壊した結果、非正規社員が増えた。雇用が不安定で低賃金のため、結婚に踏み切れないのだという。一方、趣味など自分の好きなことだけにお金と時間を使いたいと考える人たちは、結婚に消極的だ。結婚することによって複雑になる面倒くさい親戚関係の渦中に身を投じてわざわざ煩わしい思いをすることに価値を見いだせないのだ。

 そもそも「価値のある結婚」とは何か? それを求める気持ちは千差万別で、さまざまな結婚の形を生んだ。交際期間なしでいきなり入籍する「交際ゼロ日婚」、週末だけ一緒に過ごす「週末婚」、そして社会現象になった『逃げ恥』の、夫=雇用主、妻=従業員とする「契約婚」など。しかし、どのような形であれ結婚は続けていくことが難しい。「結婚とは忍耐である」などといわれる所以である。

 『結婚の嘘』(柴門ふみ/中央公論新社)は、月9ドラマ『東京ラブストーリー』の大ヒットで恋愛の教祖ともよばれた著者の、37年目を迎える“綺麗ごとではない”結婚生活が語られたものだ。主題となるのは本書のタイトルにあるとおり、結婚における「嘘=幻想」について。広告媒体で多用される仲睦まじい夫婦の姿から不覚にも思い描いてしまう「幻想」。本書では、「結婚観の嘘」「結婚の誓いの嘘」「夫婦は理解しあえるの嘘」「結婚はやり直しができるの嘘」「老後は夫婦のきずなが深まるの嘘」の5つの章にわけてその「嘘」がなぜ生じてしまうのかを解き明かしていく。

 既婚者なら誰しも経験するあるある話や、「結婚生活の破綻を招く妻の十一の行動」などの実践的アドバイスも豊富だが、著者がいちばん伝えたかったことは他にある。それは、なんらかの問題をかかえて結婚生活を送っている人たちに、本書を読むことによってモヤモヤした気持ちを吹き飛ばしてほしいということだ。

 最後に本書の扉を飾る、著者が過去に記した結婚に関するエッセイの言葉を引用しよう。

結婚生活とはいわば冷蔵庫のようなものである。
冷蔵庫に入っている限られた素材で、
いかにおいしいご馳走を作り出すか、
それに似ている。
決して、他人の冷蔵庫を羨ましがらないことだ。

文=銀 璃子