「だれかがうまくいった方法」をマネしちゃだめ! 「利き脳」別、リバウンドしない「片づけ」とは?

生活

公開日:2017/3/25

『ライフオーガナイズの教科書』(一般社団法人日本ライフオーガナイザー協会/主婦の友社)

 新生活がはじまる人の多い春。今度こそ、新しい部屋で気持ちよく過ごそうと、完璧に部屋を片づけたはずなのに、なぜかたちまちリバウンドしてしまう……その理由は、テレビや雑誌で見た「だれかがうまくいった方法」を、無理やり自分にあてはめようとしているからでは? そんな片づけ コンプレックスのある人たちから、片づけが習慣化できると注目されているのが「ライフオーガナイズ」という考え方だ。

ライフオーガナイズは、自分の価値観にあった方法と脳のクセから考える片づけの仕組み

 ライフオーガナイズとは、「空間や暮らし、人生を俯瞰し仕組み化する技術」であり、自分の価値観と脳のクセから片づけを考えていく仕組みである。これを学んだ10人のライフオーガナイザーたちの実例を大公開したのが『ライフオーガナイズの教科書』(一般社団法人日本ライフオーガナイザー協会/主婦の友社)だ。本書ではリビングや子供部屋、またクローゼットの中まで、まさに十人十色、10通りの“自分にあう仕組み”の実例を、フルカラーで見ることができる。

 例えば、マスターライフオーガナイザーである瑞穂まきさんの場合。築14年のマンションをスケルトンリフォームしているが、成人した2人の子供と暮らす4人家族とは思えないほど、色が統一され物がすっきりと収納されている。特に洗面所と玄関の横にあるウォークスルークローゼットの中には、大容量のシュークローゼットも収納。玄関で靴を脱ぎ、クローゼットにしまったら、洗面所で手を洗うという一連の動作が完璧にデザインされ、一切の無駄がないことに驚かされる。

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 また、マスターライフオーガナイザーの吉川圭子さんの場合。3人の子供、しかも下2人は双子の小学生! どう考えても散らかり放題の家を想像しがちだが、紹介されている子供部屋は、きれいに整頓された仕切りのないワンルーム。「一卵性なのに、ものの探し方や戻し方のクセも違うんですよ」という言葉通り、引き出しのラベルの貼り方一つとっても、それぞれのクセにあわせながら収納の仕組みを考えているライフオーガナイザーの視点を垣間見ることができる。

片づけられない理由は、「利き脳」にあり!

 ライフオーガナイズの進め方は、まず「思考の整理」と「利き脳」をチェックすることからはじまる。「利き脳」とは、利き手と同じように、無意識のうちに優位に使う脳タイプのこと。これを、物を探すインプット時と物を収納場所に戻すアウトプット時に分類し、4つの脳タイプから考えていく。本書には、指組みと腕組みで右脳と左脳のどちらが「利き脳」であるのかを調べることができる、簡単なテストも掲載されている。まずは自分の「利き脳」から、整理について考えたい人は必見だ。

 物や情報があふれている現代は、住まいや暮らし方も多様化している時代であろう。今や、「片づけや整理は、だれにでも簡単にできる行為ではなく、むしろ高度な技術を要するむずかしい行為」になりつつある。だからこそ物を片づけることは、時間を片づけ、さらに人生も片づけることにもつながるのであろう。片づけが苦手だった人は、自分の利き脳から調べたくなるような一冊だ。

文=富田チヤコ